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【商品考察】ファンドラップ(17)~新ほったらかし投資の始め方~



ファンドラップのコア資産化を研究テーマにしているので、シリーズで書いている。

残念ながら、noteの中でもファンドラップは全く人気がない。

noteでファンドラップを検索すると、よしもと福岡ダイワファンドラップ劇場の関連投稿が、ヒットする有様だ。

情報がほとんどないので、自分で考察している。

私がファンドラップに興味を持つのは、単なる偶然ではなく、

約20年のITシステムの運用一任の実務経験から、金融の投資一任の有効性を直観的に感じる点と、

約10年の顧客対応のシステムエンジニア経験からも、対面証券会社の資産コンサルタントの業務スタイルと多くの共通点を感じ、そのサービス形態に愛着を持っていることが主な原因だと思う。

少し前の事だけど、ファンドラップ界で、ちょっとした事件があった。

23年6月末の金融庁の『投資信託等の販売会社に関する 定量データ集』の中でファンドラップが、投資信託と同等の資産形成商品に分類されたことだ。明確に、仕組債と外貨建て保険とは別扱いになっている。


別扱いになった理由は明確ではないが、

で書いたように、23年のプログレスレポートで、ファンドラップの費用控除前パフォーマンスが、バランス型ファンドに劣らない結果だったことが原因だと思う。少し前までは、ほとんどのファンドラップのシャープレシオが、バランス型ファンドに劣後している!と、高らかに公表していたのに変わり身だけは、非常にはやい。こんな金融庁のことだから、油断していると、仕組債グループにまたすぐに入れるかもしれないが。

理由はともあれ、

自称プロの方々が、マーケティング手法を駆使し、自社サービスへの誘導の為に、ファンドラップを貶める枕言葉として、とりわけ人気の高かった、

『金融庁も問題視している。。。』

云々が、やっと死語になりそうだ。でも、ファンドラップから自社サービスへの切替は儲かるので、しばらくは『以前、金融庁も問題視していた』と少しだけ変えて、しばらく、愛用されるに違いない。

『金融庁も問題視と流布し、自社サービスへ誘導する悪徳業者の闇』という記事も、今後出てもおかしくない。

最近は、このレポートを受けて『金融庁が注視する…』と少しトーンダウンしつつある。

それでも、相変わらず批判的な記事を多く見かける。


アンチラップの代表選手は、楽天証券の山崎元さんだ。


金融庁のように豹変することなく、ご自身のロジックを真正面から繰り返し展開されている。

「ファンド・ラップ」は全てがダメだと言いたいくらいダメな運用サービスです。

利用している人、全員アホでマネーリテラシーゼロということらしい。

プロとして評価するなら、複数のファンド・ラップを実際に保有した上で、もっと中身に踏み込んで、どの投資理論、数学的手法に問題があるのか、どの相関性分析が、顧客が求めるリターンを阻害しているかを具体的に指摘して頂きたいと思う。

アンチラップの方々のコストへの強いこだわりは、長年、カモってきた又は、カモっている人に囲まれた環境にいたことで、自分自身や他人が『カモられる』ことに、極度に執着する、一種の業界病のような違和感も感じる。

考え方の差異を精査しようとしても、ギャップが大きすぎて不可能だ。

根本的に住む世界が違うのだろうとは思う。

ファンドラップは、金融資産が単に効率よく増えればいいという投資サービスではない。あくまで求めるリスク水準の中でのベストを選択し、期待するリターン達成(ゴール)の確率を重視する投資だ。


2年間考察してきたので、ファンドラップを保有するスタイル、

自らも投資を継続しながら、コアとなる金融資産の運用は任ることで、資産の安定性を確保しつつ、難しい非金融資産周辺の課題解決に、集中して取り組むことができる投資スタイル

ひとことで言うと、

敵は、非金融資産にあり!

という、明智光秀的なイメージはできた。

AIとビックデータを駆使する陣営との戦いで、今後のファンドラップ自体の有効性は不透明ではあるが。。。

最近、私は、3世代の資産運用を前提にしたフレームワークをずっと考えている。このフレームワークの一番の肝のところを、新しいほったらかし投資として、会話形式で書くことで、現時点の考え方を今回まとめておこうと考えた。


新ほったらかし投資の始め方



20代後半の乙女と、60代の数学博士との、ある秋晴れの日の午後3時、公園のベンチでの会話。

■老後のお金が不安です

乙女「難しいことはわかりませんが、老後のお金が不安です。博士、お金の増やし方を教えてください」
博士「簡単か、難しいかの違いが、わかる賢い子が、何が不安なのかい?」

乙女「少子化で年金が減るとか、円の価値がさがるとか、いろいろごちゃ混ぜで」
博士「どこで、そんなことを聞くんだい?」

乙女「テレビとか、ネットとか」
博士「キミは某タレント事務所の問題をどう考えたかい?」

乙女「難しいけれど、テレビとか新聞、専門家の話とかを単純に信用しちゃいけないことが、よくわかったわ」
博士「なるほど。そんな不正をする企業や人をどう思うかい?」

乙女「一切かかわりたくないわ」
博士「同感。で、お金のことだけど、何か自分なりのイメージはあるかい?」

■手数料のやすいネット証券がいいらしい

乙女「投資するのがいいかもって。手数料のやすいネット証券で、投資信託というものを、コツコツと、ただほったらかして積立てれば、銀行預金よりは、増えやすいって、本に書かれているし、そうなのかなって」
博士「なるほど。自分で調べるのは大切だね。その本には、長期、分散、低コストの原則なんかが書いてあって、全世界に分散投資するインデックスファンドがいいとか書いてあるんだよね」

乙女「そうそう、そんな感じ。さすが博士」
博士「その為に、まずネット証券に口座をなるべく早く開くことへ誘導する。それを、どう思う?」

乙女「そうね。AIとか、もっとすごくなると思うので、世界はまだまだ発展すると思うの。宇宙ステーションにも、そのうちに住めるハズだわ。戦争とかもあるけど、少しづつでも良い方向に進むハズ。だから世界の有望な企業に分散して投資すれば、お金は増えると思うわ。それにネットで買う方が安いことが多いので、ネット証券でいいと思うわ」
博士「そうだね。そこまでイメージがあるなら、結論から話すよ」

■7人の大人で考える

博士「一番大切なことは、毎日が幸せかどうか、楽しいかどうか、ワクワクしているかどうかで、お金ではないよね」
乙女「そうだけど、デザートは、お金がないと食べれないわ」

博士「そうだね。でも、キミは一人じゃない。人間なら、産みの親がいて、ご両親にも親がいる」
乙女「そうよ。おばあちゃんはやさしいし、親戚のおじさんも、お土産をよくくださるわ」

博士「それは、なぜだい?」
乙女「みんな仲がいいからかもね」

博士「そう、それはキミのことが好きだからだ。で、長生きすると、ずっと国からご両親へ年金が支給されたりもする。資産の余りは、普通に考えれば、キミに、相続されることになる」
乙女「そうかもね」

博士「だから、キミ一人で、老後の問題を考えるのではなく、まずは、ご両親。その次は、ご両親のご両親、つまりキミもたして7人の大人で考える。すべてはそこからだよ。インデックスファンドとか、銀行の窓口へいっちゃあだめとか、いろいろ言う人たちがいるけれど、そんなの一番最後の話。そんな人たちは、所詮、同じ釜の飯を食べている人種なんだ。結局、金融村の中で生計を立てているからね。自分たちの商材の中で、相対的に比較して、こっちがいいとか、いやいやこれとか、制度や状況が変われば、すぐに意見が変わるよ」
乙女「そうなのかしら」

博士「普段から、お金のことしか考えていないから、視野が偏っている。キャリアをよく見ればいい。金融村から1歩も出たことがない。伝統工芸の人間国宝ならともかく、金融界しか経験がないのは、ハンディでしかない。退社した証券会社の暴露話とか、なさけない。だから、ネット証券で口座を開き、インデックスファンドを買わせることぐらいしかアイデアがでない。もちろん金融村の中でも、視野の広い人もいる。でも、そんな人たちは、インデックスファンドだけ買えばいいとか言わないよ」
乙女「なんとなく、わかる気もするわ」

博士「想像してごらん。ご両親と話して、生活のお金がたらない時は、あそこの土地を売ればいい。それより、キミがしたいことをして、楽しくすごしてくれれば、それが一番いいって助言してくれたらどうなる?インデックスファンドとか、世界の株価なんか関係ない。そうなると、株屋さんは儲からなくなるので、そんなことは何も言わない。キミは、少しだけ不動産売買の知識を得れば、あとは一番したいことをすればいい。ただ、それだけのこと。最近は不動産売買の仲介は、対面証券会社なら受けてくれるけどね」
乙女「それはそうかもしれないけれども」

博士「全世界株式のインデックスファンドは、ごちゃまぜの鍋料理だよ。良い企業も、悪い企業の株式も全部入っている。不正や戦争に加担している企業もきっと含まれている。そんな鍋料理を、お金を出して買うのかい?その行為にワクワクするかい?ただ効率的にお金が増えればいいって、どこか変じゃないかい?金利がいいからって個人向け国債なんかも勧める。金利の損得の先に、国債が実際に有効に活用されているかが重要だよね??もしキミのご両親が投資をしていれば、インデックスファンドではなく、キミが選んで入社した会社の株をきっと買っているよ」
乙女「お話はわかる。でも、相続に期待するのも不安があるわ。何か自分でもはじめてみたい」

博士「先の事だからね。いっそのこと、投資先の選定や配分を信頼できる会社に依頼する、投資一任というサービスもある。自分でも、常に考えながら、専門家と二人三脚で投資する手段だよ」
乙女「わかった。家族と話すとして、その先はどうしたらいいの?」

博士「家系図を書くことから始める。家系図に友人や恩師、会社の上司も含めてもいい。人生はプロジェクトじゃ。プロジェクトの体制図は、そのプロジェクトの目的や範囲、リスクや課題が投影されるもんじゃ。いいかい、お金ではなく、今の生活を起点とするんじゃ。家系図がキミの今の姿であり、未来でもある。それから、自分の持っている資産をすべて書き出す。保有資格とかもね。それが、投資のスタートラインだよ。その後、家系図と資産一覧を俯瞰しながら、また考えなさい。君ならわかる。君と君のご両親なら、きっと何かがわかると思うから」
乙女「わかった。やってみる」


■乙女よ、大志を抱け!

博士「コネクテッド・ドッツを知っているかい?」
乙女「ジョブスさんよね」

博士「そのとおり。ワシは、それよりも、プロバビリティー・イズ・エリア(The probability is the area)、確率は面積である、がすきじゃ」
乙女「???」

博士「幸せの円があったとして、その円を追及していく時に、その幸せの円の周りに四角を書き、ランダムにドットを打つ。そうすると、円の中のドット数と四角の中のドット数の比、すなわち円の中のドット数が、幸せの確率と同じということ。好きなことをずっと続ければ、目指す幸せに収束し、何が自分にとって重要であるかの輪郭がわかるということじゃ」
乙女「難しいけどわかった気がする。ただ、やりたいことだけをやればイイって素敵ね!」

博士「そう。自分が心の芯から楽しいと思うことをやるだけじゃ。乙女よ、大志を抱け!お金や利己的利益の為ではなく、ましてや他人の評価でもない。好きなことを全てやりつくす大志を抱くのじゃ。楽しいことしかしないことが、結果的に新しいほったらかし投資になるはずじゃ」
乙女「ハーィ。ラジャーです」


以上、書ききれたかな?

今家族がいない場合や、誰も知り合いのいない場合の家系図は、天国にいるご両親と、とりあえず、日本の内閣総理大臣と住んでいる町の市長と、一番好きなアイドルの名前を書けばいい。

私のファンドラップへの探求は続く。。。


(参)『確率は面積である』の引用元(1分30秒ごろから)

上手く引用できなかった。。。



まとめ


Bingさんに依頼すると、いろんな家系図を、しかも無料で作画してくれる。全くの想像できなかったイラストが目の前にパッと現れる。

まるで曼荼羅図だ。

3世代家系図 By Bing


最近、おもしろい概念を知った。

More is Different.

P.W. AndersonのScience(1972)誌掲載の論文の題名

1997年のApple Computerの広告でのスローガン"Think different"に似ているけれど、

直訳は、多は異なる、だ。

物理学の世界では常識のようだ。

素粒子⇒原子⇒分子⇒細胞⇒生物⇒社会と下位階層の法則を順番に明らかにしても、かならずしも上位階層を説明できないということ。基本法則から全てを導けるという考え方は、スケールを大きくすると容易に破綻し、むしろ全く異なる性質が現れるこという主張であり、すべてを単一の理論で説明するのは不可能という考え方らしい。

来年からはじめる新NISA口座での投資は、相性の悪い方が推奨する単一の投資法はあえて避けて、多様性のある投資を模索していきたい。


【今日のひとこと】


地球は先祖から受け継いでいるのではない、
子ども達から借りたものだ。

(フランスの小説家、飛行家 サンテグジュペリ)


私有資産は自分のものではなく、生きている間に自由に使っても良いよと、子供から支給されたお小遣い。なぜなら、未来は子供たちの為にあるのだから。

だから、お金を大切に扱い、人生で得たすべての叡智をかけて、すべてをフルインベストし、余りを子供に返却するのみ。

それが、新ほったらかし投資だ。

孫から見ると、大人たちを、ほったらかして自由に投資してもらい、成果をいただく投資法ということだ!



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