【商品考察】ファンドラップ(13)~資産運用業プログレスレポート2023の考察~
ファンドラップのコア資産化を研究しているので、ダイワファンドラップを保有しながらシリーズで書いている。
春恒例、金融庁の資産運用業プログレスレポートが公表されたので、ファンドラップの部分について確認した。
感想としては、残念ながら、お疲れ様でしたという感じ。
顧客からのクレーム等から、そのボールを拾って、
調査して、課題提起しました。おわり。
そんな感じ。
そうとしても、金融庁が公表している資料だけを見ても、非常に幅広くお忙しくて、深堀できないのだと思う。
関係するレポートは、2つだ。
・資産運用業高度化プログレスレポート2023
・運用会社のKPI測定と諸論点に関する分析について
個人投資家としては、
あまり新しい発見がなかったが、整理した。
資産運用業高度化プログレスレポート2023
ご丁寧に、概要版をいつも作成して頂いている。
概要版→詳細版の流れが良いだろう。
概要版については、全テーマに目を通した。
私にはワクワクするページはなかった。
概要版(P2)わが国の資産運用業の全体像
は、ステークホルダーが少なすぎると思う。
少なくとも、厚生労働省(国民年金、iDeCo)、国税庁、デジタル庁は、全体像のスコープの中に入れて議論して欲しいと思う。
概要版(P3~6)透明性確保
資産運用会社の経営、運用体制、ファンドの保有銘柄に関する透明性に関して、整理している。海外と比較し無難にまとめている。
情報開示不足は、ファンドラップを保持する上での一番の不満項目だが、本レポートでは本質をついていない気がした。
少しは共感できるキーメッセージを切り出してみた。
詳細版には、細かく解説されている。
いいたいことは、理解できるが、それがどうしたの?という消化不良になる。
詳細レポートでご指摘のように、代表的なファンドで、ファンドマネジャーの情報をホーム上で公開し、運用報告説明会を定期的に開催し、投資家の質問に直接答える等、投資家との接点を持つように努めている資産運用会社はある。但し、公開内容が稚拙で、パフォーマンスが振るわなければ、本末転倒だ。
投資信託の運用担当者の氏名開示は、ファンドラップや、EVなどのテーマ型アクティブファンドなら開示して欲しいが、統計で処理して議論されても困る。
ファンドラップに組み込んだファンドとその組み込み銘柄をExcelファイルで提供してくれたら、ファンドラップの運用意図の推測はできるが、投資一任しているメリットが薄れる。
海外と比較して統計処理するのではなく、あるべきモデルとのギャップから、トップダウンで整理して欲しい。
概要版(P9)ファンドラップの付加価値の明確化
ファンドラップに関しては、
ファンドラップの付加価値やコストがよくわからない、という声に対して、調査して、感想を述べているだけ。
あいかわらず結論も何もなかった。
2022年度版より、さらに薄い内容になっている。
その理由は、後ほど分かった。
概要版に抽出されたキーメッセージは2点。
(詳細版の方は、もう少し踏み込めている)
はー、そうですねという感じ。
顧客目線では、よくわからない会社のファンドラップは、買わないだけのことだ。
金融庁にビジョンがなく、ボトムアップでやっているので、いつまでたっても、どこかに収束しそうもない。
唯一、参考になったのが、
【図表14】ファンドラップの手数料開示の好事例
で、コスト開示事例を公表している。
これは、三井住友信託銀行さんかな?
比率から考えると、50%割引後のグラフに見えた。
意外とコンサル分が約0.5%で大きい。
実際のコストモデルでは、利益やコンティンジェンシーコストを積むものだが、外部に出す資料なので、按分されている。ただ実際のコストモデルでないと評価はできない。利益を10%とる会社と、30%とる会社を比較できないからだ。このあたりは想像するしかない。
三井住友信託銀行さんは、投資一任業務の概要を公開している。コンサルに丁寧な四半期報告も含まれているなら、納得できる。
関連しそうな資料も見つけた。
素晴らしいというか、あたりまえというか、他社がやらなすぎというか。。。
https://www.smtb.jp/-/media/tb/personal/saving/fund/fundwrap/pdf/fw_unyou.pdf
少し話はそれるが、
大きなITプロジェクトの中で、
ホームページのメンテナンス業務を受けていたことがある。
その業務で、1つ忘れられない経験がある。
ホームページのメンテナンスの主な内容は、
キャンペーンのページを作ったり、
ホームページに季節感を出したりする仕事だ。
配下に、デザイナーを雇っていた。
案件ごと、デザインの見積りをとるのだが、
デザイナーという人種は、お金にルーズで
同じような画像でも、コスト見積りがバラバラだった。
ほんとうに適当なので、会議を持った。
そのときのリーダーの発言が忘れられない。
そんなこと言われても。。。ということだけど、
常にお客様思考だということ。細かい見積金額の大小なんて言うなと。そういうことだった。
金融アドバイザーとは、本来こういうものだと思う。
だから、コストの内訳何%が人件費ですよ、というようなことではない気がする。顧客が満足しているかがキーだろう。
結局、本件は、画像作成単価とは別に、サイト管理料のようなコストに定額上乗せして、運営することにした。
発注側も、そのトータルデザインやアイデアの価値を検証できる力量が求められる。デザイナーの熱い想いを、顧客とその先のホームページの利用者へ伝えきる責任もある。
次回は、
『ファンドラップの付加価値やコストがよくわからない』
という課題認識を、資産運用会社だけに目を向けないで、顧客側の課題にも踏み込んでほしい。
運用会社のKPI測定と諸論点に関する分析について
QUICK資産運用研究所へ、丸投げして作成させているレポートだ。
もう、数年したらAIに代替されるだろう。
(4)ファンドラップ(SMAを含む)の費用および平均パフォーマンスに、パフォーマンス状況が記載されている。
2023年度は、当然ながらパフォーマンスは悪化している。
まあ、もともとこんな大雑把な丼ぶりレポートは無意味なので、どうでもいいのだが、
今回はファンドラップの費用控除前パフォーマンスが、バランス型に劣らない傾向が指摘されている。
つまりそこそこ、投資一任運用の効果があった傾向がみられたということ。だから、今年のレポートは少しトーンダウンしたのだと思う。
外貨建(ドル建)保険も、一時期悪名を轟かしていたが、円安で利益が出たら、スルーされているのと同じだ。
前回までは、
ほとんどのファンドラップのシャープレシオが、バランス型に劣後している!と、何か新しい事実を発見したかのごとく、高らかに公表していたのに。。。
でも、この変化に対する考察はない。
これでは、小学生の夏休みの観察日記だ。
この集計自体に興味がないので、集計方法まで確認し、その変化の理由を考察する気はないが、
ダイワファンドラップを保有している感覚では、オルタナティブ資産を組み込んでいるファンドラップとドル資産に偏ったファンドラップは、昨年の相場でも踏んばれたので、それなりの結果が出たのではないかと推測した。
ということで、プログレスレポート2023の確認を終える。
まとめ
プログレスレポートに関しては、
特に追加でいいたいことはない。
一方、ファンドラップ保有3年目で、
もう、まとめの時期なので、
これまで顧客満足度調査で、ダイワファンドラップの不満をフィードバックしてきたが、なかなか改善の光が見えないので、
たとえ回答が得られなくても、
正面から不満点を質問してみようと考えた。
これまで、プロに対して質問することに少し躊躇していた。
渓流釣りクラブの私の師匠の教えの第一原則に従い、
その回答にアタリがなければ、
別の場所に資金移動するのが渓流釣り師として定めだ。
【今日のひとこと】
成功するとか失敗するとか僕には関係ない。
それをやってみる事の方が大事。
(野球選手 大谷翔平)
日ハム時代、大谷さんのMLB挑戦に対して、指揮官の栗山監督が、「俺に説明してくれ。なんでアメリカに行かなきゃいけないんだ」との問いに対する回答。
カッコいい。
そんなことをいってみたい。
天の声「なんでファンドラップにこだわるんだ?」
儲かるとか儲からないとか、僕には関係あるけど、
やってみる好奇心を抑えられない。。。
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