デンマークの授業で発言がしやすい理由
デンマークに留学して半年以上が経った。
これまで、大学での講義に加え、自主的に通い出した語学学校での授業など、様々な形で勉強を積み重ねてきた。
そんな中感じたことの1つが、デンマークでの授業は日本の授業に比べて発言がしやすいということだ。
何故発言がしやすいのだろうか。日本の授業でも同様に発表のしやすい空気感を作っていくにはどうすればいいのか。
考えていきたい。
要因その① 周りの反応
まず大きな要因の一つとして考えるのが、周りの人達のリアクションだ。
「海外の人達は自分の意見をはっきりと主張する人が多い」という印象を持っている人も多いのではないだろうか。
それは間違っていないと思う。しかし、海外の人達は自分の意見をはっきり主張する分、他人の意見にも真剣に耳を傾けてくれる。
人が発言する時は必ずその人の方を向くし、頷いたり、笑ったりなどのリアクションをとりながら、話を聞いてくれる。
自分と違う意見だからと言って嘲ったり、敵対心を露わにしたりということも殆どない。
なんだか、発言することで自分がその場にいることを承認されているような感覚だ。
だからと言って、発言しない人に対して「何故発言しないんだ」と圧力をかけることない。
積極的に発言する人、そうでない人、それぞれの個性を尊重しているような空気感だ。
そんな空気感だからこそ、良い意味でリラックスして授業に参画できるのだと思う。
要因その② 先生の寛大さ
先生の立ち振る舞い方も、発言しやすい空気作りに大きく影響していると考える。
先生は、必ず授業中に質問を取る時間を取ってくれる。
「質問があったら遠慮なく言ってくださいね」
と繰り返し配慮もしてくれる。
質問の返答にはよく”Very good question!”と言ってくれるし、個別の質問に真摯に対応してくれる。
また、生徒が間違った発言をしてしまっても全く責めることはせず、明るく振る舞ってくれる先生が多い。
こうした先生の寛大さも、良い空気感の醸成に一役買っている。
要因その③ 少人数制という環境
個人的に感じることの一つとして、デンマークでは生徒と先生の距離が非常に近い。
それは、上に述べたような雰囲気の違いもあるかもしれないが、少人数制が基本であることと関係している気がする。
勿論、大学の人気の講義とかだと受講生徒が100人を超えることも珍しくない。
しかし、生徒が多い授業では、TAの方が複数名いて、演習やグループワークの時には最大20人程度の生徒に対し必ず1人以上のTAが割り当てられている。
日本の大学で授業を受けていたときは、授業にもよるが、100人を超える生徒に対し教授が1人で授業をするということは珍しくなかった。
デンマークの学校では教える側の人員が豊富であり、比較的少人数での学びが可能である。
日本で発言しやすい授業を作っていくには
上で挙げたような要因は、文化や国民性の違いだと言ってしまえばそれまでかもしれない。
日本人に、ラテン系のノリで明るく授業してくださいといっても難しい人は難しいだろうし、無理に明るく振る舞うのも不自然だ。
また、デンマークのように高税率高福祉でない日本において、少人数制授業の導入は簡単ではないだろう。
ただ、「授業中の発言が少ないのは生徒達のやる気がないからである」と考えるのは、間違いだと僕は思う。
僕が今まで小中高で出会ってきた先生の中にも、このような考え方の先生はいて、発表しない人にキツく当たる人もいた。
しかし、果たして先生側が、発言しやすい空気感をうまく作ることができていたのだろうか。
発言を無理に強いるような態度は生徒達にプレッシャーと緊張感を与えてしまい、逆に発言しづらい環境にしてしまいかねない。
どんな発言、質問でも許されるということ。一人一人の発言に真剣に耳を傾けること。そして、一人一人の個性を尊重し、真摯に向き合うこと。
こういった空気感をうまく教室内に醸成させていくことが、良い授業に必要なんだと思う。
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