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此れまでの組織と此れから

今まで、組織に関する内容を書いてこなかったので、今回の調達をいい機会に筆を取ることにしました。まだまだDay One、”We’re just getting started”な状態ですが、ご贔屓くださるお客様も少しずつ増え、組織も少しずつ拡張していかねばという段階になってきているので、これからのQuollioの組織について、私の起源やアイデンティティ的な部分についても触れながら、本日は記載したいと思います。


データの可能性に魅せられて

私は、Quollio創業の前はKPMG Japanにいましたが、実はその前に2度の起業を経験しています。一度目はスモールビジネスでローカル英会話教師の派遣事業、二度目はシェアリングエコノミー関連のiOSアプリを作るスタートアップ。どちらも学生起業で、どちらも失敗しています。
特に二度目の起業をしていた頃、当時はシェアリングエコノミーが大流行りしていて、海外だとUberやAirbnb、国内だとメルカリが話題の中心でした。アフターデジタルという本を読み、デジタルが活用された美しい世界の可能性に心底惹かれ、ITスタートアップとやらに興味を持ったのが私のスタートアップ人生の始まりです。今から、約6年前になります。
私達も例にもれずToCサービスを開発しましたが、メンバーが入ったり去ったりを繰り返し、事業も伸びず、2年の格闘の末やがてチームは解散。今もまだまだ未熟ですが、当時20歳の私は今よりももっと未熟で、市場感覚もマネジメントについても、多方面で反省だらけ。とあるシードVCの方に言われた「君たち、一度大企業に就職して修行した方が良いよ」という言葉は、当時は相当に心と反骨精神に刺さった覚えがあります。(振り返ると、物凄く全うな意見だったととても感謝しています。)
その後、資金調達も上手くいかず項垂れていた頃、とある記事でPalantirという会社を知ることになります。元Paypalのピーターティールが率いる、米国FBIへのデータ分析ソリューションの提供を中心とした秘密結社です。当時は日本でPalantirの話をしてる人は(少なくとも私の周りでは)あまりおらず、でも米国では確実に注目されている。テロや犯罪をデータ分析によって防いでいるらしい。社会的に大きな難題をとてつもないスケールで解決しにいくその事業に、私はとても興味を持ちました。アフターデジタルで語られていたAIもデジタルも、突き詰めるとデータであり、私がマーケティングサイエンスや情報管理専攻だったシナジーもあって、この分野で社会的なイノベーションを起こす事業に関わりたいと思うようになります。

大企業のスケールと構造への経験

社会的なイノベーションを起こすとは何か、大企業スケールでのデータ活用とは何か、それを先ず自分で見る必要があると考えた私は、「デジタルで次世代の監査を作る」と標榜していたKPMG Japanに入社しました。採用を受けたのはコンサルではなく本部機能で、あずさ監査法人Digital Innovation部、KPMG Global、KPMG Ignition Tokyo(DX子会社)3社の狭間で、プロジェクトオーナーとして色々なDXプロジェクトに従事し、また一分析者として監査データの分析業務に多数関わりました。就職活動ではコンサル部門やデータ分析会社も受けていましたが、まず事業会社としての自社を変革するリアルを体験したいと思っての選択でした。
大企業組織の構造と業務、グローバル本社との力関係、エンジニア組織のトポロジー、外国人メンバーを擁する複雑さ、加えて、信頼と精密さが常に求められる監査という事業構造など、企業にリアルに存在している様々な制約の中で、全社レベルのDXを行う難しさを何度も体感しました。その中でも、”組織横断でのメタデータ共有” にDXの大きなボトルネックを感じた私は、データカタログ・データガバナンスという領域に注目し始めます。
日本経済を代表する一大企業がDXで変容するということは、すなわち一産業が大きく変わるということに等しい。DXがあらゆる大企業で次々起これば、社会全体が変わると言えます。つまり、データ共有が多くの大企業でDXのボトルネックになっているのであれば、それが変われば社会的なイノベーションに繋がる。そう考えた私は、社内で課題を解決するのではなく、外からより多数の企業に対して働きかけられる、スタートアップという手段を再び意識するようになります。
当事者としてデータ分析に関わり、大企業で様々なDX業務を行い、学生時代から事業を起こすことを志した自分が、このタイミングでこの領域で行うことは社会的に意味がある。そう思い、当時のプロジェクトがひと段落した後に、会社を出てスタートアップへの扉を再び開くことになります。Quollio Technologiesの始まりです。

Quollio Technologiesとは?

Quollio Technologiesは、上述したDXの根本にもなるデータ共有の課題解決に勤しんでおり、現在は大企業の組織横断でのメタデータ管理を支援するQuollio Data Catalogという製品を開発・提供しています。2021年8月に会社の創設、2022年1月に共同創業者ジョインによる本格創業を経て、現在2期目の真っ只中を全力で走っています。ちなみに、会社ミッションに刻まれている"Connect the Dots"や、会社ロゴの猫(袋猫:Quoll)の背中にある斑点は、「データの共有と繋がり」を意味しています。
企業IT動向調査2022 によると、国内1兆円企業の約87.5%が組織横断データ活用体制を既に構築している・あるいはその一歩手前の段階にいますが、一部署を超えてデータ活用を行う際には、そのメタデータ(=データの定義や品質状態、生成背景、使用実績や禁止事項等、あるデータが付随して持つそのデータ自身についての付加的なデータ。)を持続的な方法で管理し、横断的に参照できるように整える必要があります。このニーズを解決するのがデータカタログであり、同レポートによると、1兆円企業の約7割がメタデータ管理に関して、既に何かしらの取り組みを始めているという喫緊の課題になっています。
メタデータやデータカタログと聞くと、「なんだデータに関することか、、エンジニア向けの製品かな?抽象的で難しそう、、」と思われる人も多いと思います。しかしその名前に反して、Quollioがプロダクトとして提供しているのは主にアプリケーション、語弊を恐れずにいうとSaaSです。
例えば、Salesforceが営業データ管理を、SmartHRが人事データ管理を、Freeeが会計データ管理をそれぞれUIと共に提供しているように、Quollioはメタデータ管理(=データofデータの管理)をUIと共に提供している、というと少し身近に感じられるでしょうか。それでも、ホリズンタルSaaSで印象強い事業ドメイン(採用、HR、営業、マーケティング等々)に比べて少しTechyに聞こえるかもしれません。
データインフラ系製品を紹介する Modern Data Stack にカテゴリとして存在するように、データカタログは主にデータインフラ系製品として括られ、データインフラ系製品と一緒に利用されるという事実上もTechyであるのは正しいのですが、Quollioの主なユーザーにはDX部署を始めとした非システム部署が多く、ミドルウェアを主戦場にするような他のデータインフラ系製品カテゴリとは少し性質が異なります。データインフラとSaaSの中間に位置する、ようなイメージでしょうか。

今までの組織と、これからの組織

Quollio Technologiesは、冒頭に挙げたような私の起業経験や企業人経験からの教訓を糧にスタートしています。反省は数え切れない程ありますが、その中から、この会社を行う上で大事にしたいと思う事がいくつかあります。これらは、全て過去に気をつけたかったもの、あるいは大切されて欲しかった価値観で、当社で定めているOur Valueにも、同じ想いが染み出しています。

  • 年齢に関係なく、優秀で結果を出すメンバーを評価すること。

  • 責任感とイニシアティブを持ち、チームを率いるメンバーを昇進させること。

  • 個人にも組織にも、意味ある失敗は評価し讃えること。

  • 言語(英語)には常に気を付け、厳密に意味や想いを伝えること。

  • 本当にニーズのあるプロダクトを作ること。

  • ビジネス成果に繋がる結果には、必ず報酬で報いること。

今日の組織の話をすると、創業からこれまでの約1年半は主に初期プロダクトを開発する段階だったので、開発・エンジニアメンバーが割合を占める状態でした。しかし、ここから2年はQuollioの創業期後半を担っていく新チームとして顧客開発サイドを徐々に組織化し、エンプラ営業とカスタマーサクセス、PMMを中心として体制拡大を行っていきます。これまでのシード期から脱皮し、スケーラビリティを持ってGTMが行える初期体制を作っていく段階です。

エンプラSaaSであるQuollioの成長は、エンプラ営業が鍵を握る

私はエンジニア出身とまではいかないですが、過去の経験の多くをソフトウェア開発やクリエイティブが作っており、そういう意味ではQuollioを創業するまで営業に疎いキャリアを送ってきたと思います。そんななか創業から約1年半、売上高数兆円を超える大企業のCDOやCIO役員の方々、DX部長の方々に何十社と営業をさせていただく中で、エンプラSaaSにおける営業の不可欠性、難しさから遣り甲斐まで営業というロールについて日々学び咀嚼してきました。その中で、1つ確信が芽生えています。

  • 間違いなく、国内向けエンプラSaaSであるQuollioの成長は営業チームが鍵を握っている

ということです。
年間数百万・数千万を料金とするエンプラSaaS事業において、プロダクトがPLG的に一人歩きして購入まで至り、自分で価値を出していく事はあり得ないと考えています。相手は人ではなく組織であり、様々なステークホルダーを経て意思決定をし、事業を営む企業体です。そんな中、購入から価値創出まで、様々な障壁を段階を経て解消していくことが必要。プロダクトの価値を分かって頂ける担当者の方に信頼いただいた上で結託し、どの部署・ユースケースを対象とするか。どういうプロセスで導入するのが現実的か、またその後はどういった風に展開し、価値を最大化していくのが良いか。営業やカスタマーサクセスがリードし、一蓮托生してお客様を支援していく必要があります。
また、"プロダクトの解釈"も重要な仕事です。大企業のシステム・業務フローや社内法系は個別最適化され、独自の複雑な進化を遂げていることが多くあります。しかし他方で、安易にN1の顕在ニーズを起点としたプロダクト開発をしてしまうと、最適化されすぎてしまいSaaSとしての汎用性は失われるでしょう。プロダクトは個社別・ユースケース別のニーズを捉えた上で、できるだけ汎用化して開発するべき(=汎用化で得られる市場規模 vs 個社・ユースケース最適化による顧客価値向上、のトレードオフが加味される)であり、こうして汎用化されたプロダクトを再度N1ニーズに解釈して製品価値を最大化していくことも、営業やカスタマーサクセスの重要な仕事だと考えています。コンサル営業のような、より高度な営業スタイルが必要な所以でもあると思います。
長くなりましたが、ここまでを纏めると;大企業の導入プロセスを乗り切るのに優れた営業が不可欠という事実のみならず、サービス価値全体を鳥瞰的に見ると営業はプロダクトの一部であり、優れた営業なしでは開発部隊の「プロダクト」価値は成り立たない、ということです。

採用を行っています。是非ご応募ください

組織の直近の注力領域も踏まえて、本日は営業やカスタマーサクセス等の顧客サイドの重要性を多くお話ししましたが、Quollioではプロダクトと顧客開拓チーム、この両輪が理解し合い共存する状態を作りたいと考えています。(プロダクトも非常に面白いのですが、プロダクトのお話をすると3倍ぐらいの分量になりそうなので、今回は省略しています。)
2023年現在、国内でARR100億円を達成している多くのSaaS企業がSMB中心であり、エンタープライズに対してソフトウェアサービスを提供するスタートアップは未だ少ない状態にあると認識しています。エンタープライズど真ん中を行くQuollioでの事業を、日本経済を支える大企業の心臓となるプラットフォームに進化させ、データの力による社会的なイノベーションを起こしていきたいと考えています。Quollioで働くことに興味のある皆様、ご連絡をお待ちしています。

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