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14階に、いる。


これは私がまだ10代の時に体験した出来事です。

って事で動画繋がりで怖い話を一つ。

https://youtu.be/bvxgaKP9s5g


ガチ体験談です。



自分の動画をずっと見てくれてる人は知ってると思うが、自分の地元は北海道の苫小牧。
そこで起きた出来事。




苫小牧には苫小牧を一望できるホテルがある。
一応名前は伏せておくが検索すればすぐでてくる。

ただこのホテル、建設時からある噂が飛び交っていた。
それは・・・




「幽霊ホテル」


大きな大病院の跡地に建設したもんだから、作ってる段階で、
「幽霊がでるぞ~!」
そう言われていた。そりゃそうだ。
大病院の跡地に何が悲しくて高層ホテルを建てなければいけないのか?

実は大病院とホテルは同じ経営者【会社】で、なおかつ大病院の跡地は駅前から歩いて5分もかからずなので立地的には最高の場所だったのだ(当時は)


「それからどうした」

ホテルが完成し凄い賑わいを見せていた。
苫小牧を一望できるほどの高さ。
結婚式開場、イベント会場、レストランとしても機能するため、連日大賑わい。
芸能人、有名人もイベントでよく来ていた。


「高校2年生」

自分が高校2年のある日、そのホテルがアルバイトを募集していた。
正確にはそのホテルと連携している「派遣会社」。
時給は680円。
当時の苫小牧の高校生時給としては高いほうだ。

面接に行きその場で採用。
合同研修には10人以上いた。

実はこのアルバイト。
今なら違法レベルですぐSNSに投稿されるくらい「ブラック」だったのだ。

主な仕事はホテルのイベントでの手伝い、結婚式での準備、料理運び、片付け、最上階にあるレストランの手伝い。
移転した大病院の食堂の手伝いなどなど。

もうほんとにとにかく難しいし、怒鳴られるし、蹴とばされるし、皿を割ると給料から強制的に引かれるし。
夕方から22時まで働くも、10分の休憩ももらえない。
ぶっちゃけトイレに行く暇もないくらいに忙しい。

土日も強制的に出勤させられ、結婚式が多いため、昼前に出勤~夜の10時に退社という、高校生には無理なレベルだった。
【もちろん土日も休憩という休憩はもらえない、なのに給与から1時間分は引かれていた】


働いて10日、研修時にいた10人は自分以外みんな辞めていた。
それくらい入れ替わりが激しい。
当時の苫小牧の学生やフリーターはみんな、一度はここで働いた事があるんじゃないか?そう思うくらい、入っては辞め入っては辞めの繰り返しだった。
働いて3週間前後・・・自分もそろそろバックレようかな?そう思っていたそんなある日・・・。

「最上階のレストラン」


いつもイベントや結婚式場担当だった自分が最上階のレストランの手伝いに切り替わった。

実はレストランフロアの人達と更衣室で仲良くなり、口利きをしてもらったのだ。

尋常じゃないほどの激務の結婚式やイベント会場から、優雅なレストランフロアに変わった事で、一気に最高のアルバイト先となった。

ホテルの正社員の人やフロア長、料理長は優しいし、時間に追われることもない。
料理の試食はさせてくれるし、せかせかと動かなくていい。

正に楽園・・・だったのだ。
そんなある日、自分をとてもかわいがってくれてる男性正社員の
加藤先輩【仮】
からこんな事を言われた。

「使わないと思うけど、12階から最上階までの非常階段は使うな。
幽霊でるから笑」

と。
笑いながら言っていたので自分も
「まじっすか!!すげ~本当に幽霊でるんだ!!」
と大はしゃぎ('ω')ノ

そりゃそうだ、高校生の多感な時期に「幽霊」なんていうもんを聞いたらテンションあがらないほうがおかしい。

だが加藤先輩は更に足す。
「いいか!絶対だぞ!エレベーターが来なくても、必ず待て。
非常階段は使うなよ」

さっきよりもさらにおどけた感じではあったが、しっかり自分に何か伝えようとしていた。のだと思う。

当時の自分はもうテンションMaxでそれどころではなかったが・・・。




「遅刻!遅刻!!」


行くな!と言われて行くほど自分は愚かじゃない。
なんてカッコイイもんではなく、自分も幽霊とか怖い話は大好きだが、かなりのビビリでもある。
故に話を聞いて1ヵ月近く・・・近寄る事もなく、非常階段へ繋がる重い扉を触ることもなかった。

が・・・

働き始めて4ヶ月くらいだろうか・・・・
ある日、出勤をして制服に着替える時に思い出す。

前回の勤務で制服が食べ物で大分汚れていたのでクリーニングにださなくてはいけないことに。

ホテルの地下に更衣室はあり、それに併設するようにクリーニングルームがある。
自分は制服をクリーニング担当のおばちゃんに渡して替えの制服を貰ったのだが・・・サイズが合わない。

普段はSを着てるだが、この日貰った制服はMサイズ。
なんかぶかぶかで動きづらい。
おばちゃんにSサイズはないのか?と尋ねると、
「急いで用意するから10分待て」と言われる。

出勤時刻は昼の11時、現時刻は10時50分。
内線でレストランのフロア長に少し遅れる事を伝えた・・・。


「階段ダッシュ」


結局制服を貰えたのは11時少し過ぎ。
急いで着替え最上階のレストランへ。
しかし・・・エレベーターが来ない。

この日は土曜日。どこのフロアも忙しく、従業員用のエレベーターも全く来ない・・・。

自分は意を決して非常階段でダッシュすることに。

先輩の話は覚えていたし、気にはなっていたが、
今はまだ昼の11時。
幽霊ってのは夜出るものだし大丈夫だろう。

そんな安心感があった・・・。

今思えば地下から16階まで上がろうとするなんて正気の沙汰ではないが、遅刻だけは大嫌いな自分は必死だったのだ。

優しいフロア長や正社員の方々に迷惑をかけたくない。
その一心で猛ダッシュ。

今では考えられないくらい体力はあったのでテンポよく階段を駆け上がっていった・・・。

そして息が切れてきた7~9階あたりで・・・
上から気配を感じた・・・。

なんだか泣いてるような・・・すすり泣く声が・・・
確実に聞こえる。

ゼーハーゼーハー言いながらも必死に息を整え、耳を澄ます。

確実に聞こえる・・・。

走った汗とは全く別の汗が噴き出す。

出口はもう少し登らないとない。
よくある階と階の間にいる状態。

でも上がりたくない。

アワワワ!!!
となったが無我夢中で階段を上がり、重い扉に手をかけようとしたその時!!


視界の端に女性従業員が入ってきた笑

どうやら叱られて非常階段で泣いていたようだ。

高校生の自分はなんて声をかけていいのか分からず、息も上がってるし、汗だくだし、急いでるしで・・・。

「だ、だいじょうぶですか??」

と他愛もない言葉を投げかけたが返事はなかった【と思う】

自分は無視されたならそれでいい。と思い再び階段を上りだし先を急いだ。

何だか一気に可笑しくなってしまった。
ニヤニヤが止まらない。

先輩方が怖がっていた幽霊の正体って怒られた女性従業員が非常階段で泣いてるを勘違いしただけじゃん笑!!って。

良い笑い話ができた~!

そんな気持ちで足取りが軽くなり最上階まで一気に駆け上がっていた。

しかし14階あたりに差し掛かったあたりで、非常階段の電気が突如消えた。

元々屋内の非常階段なので照明自体はやや暗めだが、真っ暗闇に近い状態になると話は別。
だがその時の自分はどうかしていた。
そのまま上り続けた。
後、少しだし!!

しかし上ってすぐ途中で後悔した。
ガチで怖い。
怖すぎる。真昼間といえど、幽霊がでると噂される非常階段を上ってるという認識が高まり生まれてはじめてすくみ上った記憶がある。

あと少し上ればドアがあるから、そこからもう出よう!!

そう思い手すりに掴まりながら上っていくと突然話しかけられる。

「RY!!何やってたんだ!危ないだろ!さっさと上がってドアから出ろ!!」

真っ暗闇の中から加藤先輩の声がした。

本当に心臓が止まる!と思うほどびっくりした。
しかしそれと同じくらい安堵が大きかった笑

「電気消したの先輩ですね!!危ないっすよ!もう!
まぢびびりましたYo~!!」

そんな返答をしつつ、何とか非常階段の扉を見つけ脱出する。

扉を開けると静かな客室オンリーのフロアが広がっていた。
「先輩も早く!」
と振り向くと誰もいない・・・。

というか、暗闇の中で先輩の声を聞いたけど姿は確認していなかった。
でも真っ暗闇でも人のような影というかシルエットは見えていたのは確か。

一瞬、ぞわっとしたが、すぐに
「また脅かそうとしてる!!」と思い気にせず扉を閉めた。

そこから急いでエレベーターを呼び16階の最上階に向かった。

そして数分後、レストランにたどり着いた。
フロア長も、他のスタッフも汗だくの自分を見て少し笑っていた。

非常階段で地下から上ってきた事、途中で従業員が泣いていたことを話すとさらにみんな笑っていた。

そして最後に加藤先輩にイタズラされたことを告げると、若干、
「はっ!???」って空気が流れた。

もうお分かりだろう。
その日、加藤先輩は休みだったのだ。
出勤していないのだ。

瞬間ゾワっとなった。
その時はかなり混乱したが・・・
ふと思う。

まだこのフロアに顔をだしてないだけで、ホテルにご飯を食べに来てるのでは?とか別の場所【フロア】で働いているのでは?と。

加藤先輩は正社員なので、派遣の自分とは事務所が違う。だから本当に出勤してるかどうかは確かめようがない。
ただ一つだけ手立てはあった。

それは入室欄表だ。

このホテルは正社員だろうがバイトだろうが派遣だろうが、みなすべからくホテルの裏側から入らなくてはいけない。
その時警備員に名札をチェックされ、なおかつ入室表に自身の名前を書かなくてはいけない。

お昼が過ぎ3時頃だろうか・・・・。
その入室表を見に行くと・・・・

加藤先輩の名前はない。

ぞわぞわと鳥肌が立ったのは言うまでもない。

そして加藤先輩のPHSに電話をすると、普通に出た。
どうやら彼女といるらしい。

そして事の顛末を早口で話した。

すると加藤先輩は真面目な声のトーンで、

「そうか、無事ならそれで何よりよ!良かったな!
悪いやつに絡まれなくて。」

と言った。
なんだか肩透かしをくらった感じだったが、その後はあまり記憶にない。
きっと疲れたのだろう。


エピローグ


その後、もちろん非常階段は一度も使わなかった。
しかし約3週間後くらいして、ブライダルシーズンで大忙しになり、自分も再び結婚式・イベントホールの方へ戻された。

そして久しぶりの料理運びで、大皿に入ったエビチリを転んで皿ごと床にぶちまけた笑

その後、こっぴどく叱られ、おまけに本気のローキックを数発お見舞いされ、皿と料理の弁償代として5000円が給与から引かれると怒鳴られた。

そこで自分はプツンときてしまい、トイレに行ってくると告げた後、そのまま帰宅した。
時給680円で夕方5時から10時まで働いても5000円にはならない。
なのに罰金5000円に納得できず親に相談した。

次の日、親が派遣会社に怒鳴り込んで行き、無事?解決。
もちろんそのまま辞める事になったのは言うまでもない。


後日、急遽ひどい辞め方をしたにも関わらず数人のレストランスタッフの方が、送別会として焼肉を御馳走してくれた。
そして酒がはいった先輩方は口が緩み話してくれた。

どうやら非常階段には色んな「何か」がでるらしい。

車いすの音が聞こえたり、ナースコールのようなブザーが聞こえたり、
人が通ると電気が消えるのは当たり前だったり。
時にはものすごく視線を感じたり、上の階のらせん状から誰かが覗いてたり・・・。

自分が遭遇したのも何かだったのだろう。
だが遭遇した後も特に変わったこともなかったし、不運にも見舞われてないから特に問題なしとして今日まで生きてきた。


私の話はこれで以上だ。
もう20年も前の話。
ホテルには当時働いていたスタッフなんて数名も残っていないんだろうな~と北海道ツーで行った時によく思い出す。

あッちなみに去年の北海道ツー2022ではこのホテルの14階に泊まりましたが特に何もありませんでした笑




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