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【トレードテクニック】配当落調整金狙いについて

【注意】先に申し上げておきますが、これはある程度株に関しての知識がある方向けのお話です。文章中にテクニカルタームもそれなりに含みます。リスクもありますので自己責任でお願いいたします。


株のトレードテクニックである配当落調整金狙いをご存じでしょうか。

正確には「配当金-配当落調整金狙い」ですがここでは単に配当落調整金狙いと表現することにいたします。

配当の権利確定日に現物買いと信用売りを同時に行うことにより、現物買いによる配当と信用売りによる配当落調整金支払いの差額を得るテクニックを指します。

難しい説明を抜きにして一言で表すと、これを行うことにより「配当金の15%をゲット」できます。

リスクは?デメリットは?

もちろんあります。いくつか列挙します。

①逆日歩でやけどをする可能性
信用売りを権利確定日に行うので当然逆日歩で焼かれる可能性があります。

②売買手数料や金利・貸株料といった確定的な経費
信用取引を行うので数日分の金利と貸株料がかかります。ちなみに信用買い→現引きというテクニックを駆使することで現物買い手数料を0にすることができますが、信用買い1日分の金利はかかります。
余談ですがこの信用買い→現引きというテクニックは配当落調整金狙い以外にも多くの場面で使えます。本題とは少し離れるため、ここでは詳しくご説明しませんのが、ご存じでない方は是非調べてみてください。

③薄利
配当という一般的にあまり多くはもらえない金額のその更に15%です。それなりの規模の運用資金がなければスズメの涙程度の利益にしかなりません。
むしろそれなりの規模の運用資金ですらスズメの涙です。

④確定申告が必須
配当金は税金を引かれた額が株式口座に入金されるので見かけ上損したようにみえます。
例えば配当金が100000円の場合、税金が引かれた額の79685円が得られ、配当落調整金として85000円引かれるので見かけ上-5315円損していることになります。
実際確定申告を行わない場合、損をします。
しかし確定申告を行えば税金は還付されます。
その年に株式での利益がプラスなら還付されたうえで20.315%の税金がかかります。マイナスなら当然無税となります。

⑤利益が出たとしてもそれが享受できるのは結構後
上記④に関連しますが、結局その利益が享受できるのは確定申告後なので「今すぐにお金が欲しい」場合は不向きです。

ここからは具体例を提示しながらご説明いたします。2020年6月に私が行った配当落調整金狙いです。


6月は12月末決算の企業による中間配当の権利を得ることができる月です。

多くの企業は3月末が決算なので12月末が決算の企業は多くありません。有名な大手企業は日本たばこ産業・ブリヂストン・キヤノンとたったの3社です。すかいらーくもありますが、あちらは配当落調整金というより優待を狙う銘柄なので考慮しておりません。

多くの企業の決算月である3月とその中間である9月は分散して仕掛けることによりリスクヘッジができますが、そうでない6月と12月はリスクを覚悟で突撃しなくてはなりません。

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前日の株不足とは6月25日のものを指します。ちなみにこの時点での配当利回りは、ざっくりですが日本たばこ産業>>キヤノン>ブリヂストンの順で良いです。

キヤノンは既に株不足が多く、配当落調整金狙いにおいてリスクがやや高いと判断しました。加えてちょうど去年の2019年6月に配当落調整金狙いでキヤノンに突撃し、利益はでたもののかなり逆日歩で焼かれたという苦い記憶があったことから、今回は日本たばこ産業とブリヂストンに仕掛けることにしました。

懸念点としては、日本たばこ産業のその高すぎる配当利回りでした。権利付き最終日に同様のことを考えるトレーダーがいた場合、かなり焼かれる可能性があります。
加えて、日本たばこ産業は権利落ち日にかなり下落する傾向があるとトレーダーの間では知られており、配当落調整金を支払う覚悟で空売り特攻してくるトレーダーの存在も懸念材料でした。

しかし日本たばこ産業の総株数は20億株もあり「焼かれたとしても大したことないだろう」と考えていました。

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ごちゃごちゃ見づらくて申し訳ありませんが、以下にライブスター証券の取引履歴の画像を転載します。

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5000株ずつ仕掛けております。

そして6月26日の夕に当日の株不足速報が出ました。

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日本たばこ産業の株不足が急増しました。「ちょっとヤバいかな…」と少し心配しましたが、同時に「とはいえ20億株もあるんだし多分大丈夫だろ」と高をくくっておりました。結果は。

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日本たばこ産業の逆日歩にかなり焼かれましたが、64036円のプラスとなりました。

加えてこれは後で判明したミスなのですが、ブリヂストン5000株は信用買い→現引きのテクニックを使わない方が安く済みました(テクニックを使った場合の金利が1112円で普通に現物で買った場合は880円)。まさに策士策に溺れる。

ちなみにすかいらーくも日本たばこ産業と同程度の株不足でしたが、あちらは逆日歩2000円/100株とかなりの逆日歩っぷりでした。

しかしすかいらーくの株数は約2億株、日本たばこ産業は20億株です。すかいらーく基準なら日本たばこ産業の逆日歩は200円/100株でいいじゃん…と思うのですが、逆日歩額を決めている日証金の気分で決まるので仕方ないです。
※気分じゃなく何らかの計算を元にして決定しているらしいですが詳細不明です。

数千万円を動かして高々数万円の利益です。負ける可能性もあります。やる価値はあるのでしょうか?

個人的にはそれなりに期待値はある行動だと思っておりますが、バックテストやシミュレーションを行っているわけではありません。なんとなく今まで負けなしなので続けております。危なっかしいな。

以上となります。この記事が誰かのお役になれたら幸いです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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