倉沢良弦

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イデオロギーの敗北

今回の衆院補選を総括するとき、繰り返し書いているが、自民党が候補者を擁立しなかったことを、さも自民党が3敗したと書くのは、いささか早計ではないかと思えてならない。 そもそも、共産党が画策して自民党内派閥の政治資金の取り扱いについて告発させ、社会問題に祭り上げて自民党政権を追い込む戦略に出たが、政治資金規正法と政治資金の取り扱いについては、以前から法の抜け穴は指摘されていて、今回はそれを殊更、大袈裟に取り上げたに過ぎない。 では日本共産党の狙いはどこにあったかと言うと、単に

    • 現実を見せつけられた衆院補選

      選挙期間が終わったので書かせていただくが、今回の東京15区補選におけるつばさの党の選挙妨害行為は、自分たちの思惑とは正反対に、公職選挙法改正に繋がることになるだろう。 はっきり言えば、つばさの党はバカの集まりでしかないし、元々、金儲けにしか関心がない黒川敦彦は、過激な行動で知名度を上げて、支持者を集めておいて、自らのビジネスに引っ張り込もうという腹づもりだった。 しかし、その行動があまりに過激すぎたことで、公選法改正が叫ばれる事態に発展した。つまり、本人たちは法律の範囲内

      • 移民を受け入れたい人々

        青山繁晴議員が怒りまくっている。 自民党所属の参議院議員でありながら、自民党を徹底的にこき下ろしている。 見方によれば、自民党総裁選に出馬すると公言している青山議員が、CMプランナーとしての力量を発揮しているとも言えるが、その話の中身は傾聴に値すると思う。 というのも、現在、欧米先進国を揺るがせている最も大きな問題が移民政策だからだ。特にEU諸国は、EU設立後、移民受け入れに大きく舵を切った結果、現在、不法移民も含めた移民がその国の文化や習慣、法律までも自分たちに都合の

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        • 結局、誰が勝つの?

          今回の衆院補選は折り返しを迎え、現時点での大勢は立憲民主党有利と言えなくもない。 中でも注目の的になっているのが東京15区だが、自民党としては唯一候補者を出している島根選挙区が重要になってくることは間違いない。と言っても、ここで大胆な仮説を立てると、今回の補選、むしろ自民党は勝つ必要は無いと考えているのではないだろうか? 同様の考え方は、拙稿で折りに触れて取り上げている通り。 つまり、昨年末の段階の自民党の考え方と、今年に入って以後は大きく変化していると見るべきだ。政治

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          新旧交代する東京15区

          東京15区の騒ぎの本質自民党が立候補者擁立を回避したことで、今回の補選よりその先にあると言われている解散総選挙の方が注目が集まっている。 東京15区の騒ぎはその表れでもあって、諸派が入り乱れており、その主張もバラバラだ。とはいえ、今回の東京15区で起きている選挙妨害行為については、各党からコメントが出されるほど、過去に例を見ない状況になっている。と言うのも、SNSや動画サイトが発達した結果、今回のような選挙活動と称して再生数を稼ぐお金儲けの手法が広がったことで、選挙はお金に

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          新旧交代する東京15区

          解散前夜

          衆院3補選と岸田総理の本音今回の東京15区、島根1区、長崎3区の衆院補選は現在のところ、自民党の2戦敗は決定している。島根1区については、立憲候補の亀井亜紀子氏が知名度の点で一歩抜きん出ている印象がある。ただ、島根は保守王国とも言われ、元々、自民党の強固な基盤があった地域であるため、自民党県連が一枚岩になれば、或いは錦織候補の勝利もなくはないという状況だ。 自民党選対は、今回の3補選に積極的に候補者擁立を見送った形だが、それは解散総選挙の可能性を睨んでのものだろう。 東京

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          賃上げと財政出動と解散と

          今年度の賃上げ後の動向今年の春闘は、上場企業を皮切りにバブル期を超える勢いで賃上げが進んでいる。 現在は、中小企業がどの程度追従出来るか?が目下の関心事だ。一方で、実質賃金が上がらないとの報道が目立つ。もっとも、この数字は2月までの速報値で、インフレ率も含め、春闘の数字は反映されていない。 NHKによれば、中小企業の回答状況は概ね、高い数字を示しているが、やはり大企業には及ばない。 この状況下で労働者不足が深刻な中小零細企業は、厳しい選択を迫られている。しかし、今、踏ん

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          戦争したい人々

          戦争をしたい専制主義国家ウクライナーロシア戦争の状況は、双方での情報戦があり、戦況を確実に知る術は無いに等しい。その中で、かろうじて現地の映像で判断するに、ロシア側はお得意の兵士の大量投入と、旧式の弾薬の大量投入、そしてミサイルを中心にしたピンポイント攻撃が行われているようだ。一方、ウクライナ側は、ゼレンスキー大統領は欧米に対して武器弾薬の供給して欲しいと訴えている。このニュースだけを観れば、ウクライナが戦況的に厳しい状況にあると考えがちだが、むしろウクライナはドローン攻撃の

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          東京15区の混沌と欧米の奴隷商人

          東京15区の衆院補選と移民問題が関係あるか?と言われれば、相関関係は無いが、底流にあるものは同じだと感じる。 今回の東京15区補選にみる候補者乱立の状況を分析してみると、自民党の弱体化した選挙には往々、リベラルを自称する候補者が乱立することになるという典型例がそこにある。日本の政治環境では必然だが、同時にその先にあるものを注視する必要があるだろう。 自民党の対立軸ジャーナリストの長谷川幸洋氏が、ご自分のYouTubeチャンネルにおいて、「日本の政界における対立軸の本質は、

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          令和6年度予算成立のその後

          令和6年度予算が衆参で可決され、決定したことで、通常国会は種々の法案の審議に移ることになる。 野党は自民党の政治資金不記載問題を理由に支持率の回復と、来る衆院解散に向けての潮流を作り出そうとしたが、必ずしもそれは成功したとは言い難い。 各メディアの支持率を見ても、決定的に野党が次期政権を狙えるところにはいないことが、明確だ。 今年度予算は過去2番目の規模になるが、予算フレームの中身で見ると、税収の伸びと公債費が減ったことで、規模的には若干縮小した。 令和6年度特別会計

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          中国撤退を決めきれない経営者たち

          チャイナリスクの高まりは日毎に増すばかりだ。 特に目立つのが、中国国内の経済を回す為の石炭となっていた不動産市況は下落の一途であり、不動産関連会社のデフォルトは続く。 中国の地方政府もまた中国国民も資産形成に不動産を使っていたが、売れない、作れない状況が続く中、仕方なく中国なりの不良債権処理として、安値で不動産売却を行う動きが加速している。そもそも、売りたくても買う人がいない状況で、不良債権処理など出来よう筈もなく、結果、資金難に陥った不動産会社はデフォルトすることになる

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          ロシアのテロ事件の背景とは?

          複雑すぎるロシアの国内事情3月24日、ロシアの首都モスクワの郊外にあるコンサート会場「クロッカス・シティ・ホール」が武装集団に襲撃されるという事件が起きた。 この事件では既に多くの可能性が指摘されており、ISISも犯行声明を出しているが、2014年前後より数年間シリアとイラクのISISの動向をウォッチした経験と、現在のウクライナとロシアの戦争の状況を踏まえつつ、いくつかの点を指摘する。 ソ連が崩壊して後、エリツィン初代ロシア連邦大統領に移行したが、それ自体は非常に脆弱な体

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          再エネ賦課金の先にある問題とは?

          2013年以前、旧民主党時代に決定した再エネ賦課金が、令和6年4月から平均的な家庭で1世帯あたり月額1,396円になる。 この負担増の諸悪の根源は、産業用太陽光発電であることは明白だ。 現在、太陽光発電が賄っている日本国内における総発電量の割合は8.3%〜9.9%と言われている。 数字に若干変動があるのは、太陽光発電システム自体が不確定要素が大きく、発電量にムラがあるためだ。 旧民主党以前の自民党政権時より、デフレ不況下における電気料金を軽減する施策の一環として家庭支

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          今の中国を作り上げてしまったのは日本

          何度か中国共産党の悪政について触れているが、究極のところ、今の中国を作り上げたのは誰か?という問いに一定の答えを導き出してはどうだろう? そのルーツを探れば、中国との付き合い方が理解できるだろうし、欧米諸国への提言ともなるだろう。アジア人以外は、日本も中国も韓国も同じに見える。それは身体的特徴も文化的な特徴においてもそうだ。つまり、今、世界から疎まれつつある中国とどう向き合うべきなのか?を最も理解しているのは、日本ではないだろうか? 断っておくが、私は中国と仲良くしようと

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          日銀の政策転換の意味とは?

          令和6年3月19日は大きな歴史の転換点になった。 日銀がこれまでの量的緩和政策から、それ以前の短期金利を見据える政策に転換した日だ。 私はこの前の拙稿で、春闘の途中経過でゼロ金利政策の見直しは拙速であると指摘してきた。 これまでの量的緩和策によって、インフレ状況に転換したと言っても、10年間の日銀の政策によりインフレ状況が作り出されたとは言えず、あくまでもコストプッシュインフレでしかない。 野村総合研究所の木内登英氏が指摘するように、所謂、継続的なインフレ状況とは言い

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          日本は外国人労働者を受け入れるだけの国か?

          「春闘」と日銀の利上げ政策への転換おどろおどろしい題名を付けているが、最後までお読みいただければ、筆者の危惧するところをご理解いただけるものと思う。 日本以外の国が利上げ政策などでインフレ対策に苦しむ中、日本はようやく金融緩和の好影響により、コストプッシュインフレの影響下であっても、安定的な賃上げが行われるようになってきた。 令和6年度「春闘」は、昨年度を上回るベアが実現しつつあり、自民党の政務調査会が行った中間取りまとめの中を見ると、自民党が政府に提言する骨子も見えてき

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