唱和推進の慎重性を求める請願書

2023年2月22日~3月3日まで行われた本願寺派の議会「宗会」において、「唱和推進について慎重性を求める」請願書を提出しました。請願書の提出はとてもハードルが高く、本願寺の施設等で働く宗務員をはじめ、各地域の組長や副組長などにも請願を出す資格がありません。それらに該当しない者が請願書を出す権利があり、その上で紹介議員10名以上の署名が必要でした。請願書を提出するにあたってはチームで動いていたため、唱和に反対している議員の協力を得られましたが、個人で物申したいと思っていても届かないルールでした。
>> 宗会規定 第8章 請願

また、紹介議員を集めるにあたり、初めて会派という存在を知りました。本願寺派の議員は現在4つの会派に別れており、今回賛同してくださった会派は1つだけです。それ以外の会派の方は、個人の想いとしては賛同してくれても、署名の段階になると参加出来ないという人が何人もあらわれました。驚いたのは、ひとりの方は会派を脱退して署名してくださったのです。また、採決の場で退席することによって意思を表明する方もおられました。それほどに会派のしばりが強く、総局側にノーを言えない体制になっていることに落胆しました。

そして、最後は宗会議長に請願書を受理されるかどうかという難関です。そもそも、ご門主に批判的な内容は受理されず、それ以外でもいろんな理由をつけて取り下げようとする対応に思えました。今回は、とにかく受理されることを第一にした結果、「唱和推進について慎重性を求める」というマイルドな内容になった次第です。

それだけの関門をくぐり抜けて提出した請願書も、当初チームメンバーに聞かされていた通り、惨敗で否決になりました。

宗会議員は、総長、議長、副議長、僧侶議員35名、門徒議員30名から構成されています。採決においては、このような結果になりました。
反対(僧侶議員)30名、反対(門徒議員)25名
賛成(僧侶議員)14名、賛成(門徒議員) 2名
退出4名、欠席1名

この結果は、総局に圧倒的な政治力があることや、間近に迫った慶讃法要に向けて事業案はすでに進んでいることなどがあげられますが、特に象徴的だったのは宗会において公文名眞議員の発言でした。

唱和・普及を懸念する内容の請願書が採択されれば、結果的に宗務の基本方針が否定されることになり混乱を招きかねない。

中外日報2023.3.8号

新しい領解文の問題を議論する以前に、大人の事情が立ちふさがっていました。おそらく請願書に反対した議員の多くは同様の考えなのではないかと思われます。また、この請願書は唱和を推奨するという政策に対して物申しているわけですが、唱和を推奨されたのはご門主自身であるという見方から、そのお言葉に対して批判は許さぬという揺るがない壁もあるようです。はたして、これで事態はまるく収まるのでしょうか。信仰に関わる問題を置き去りにしたことは、何よりも大きな遺恨を残したと思います。

それ以降、全国各地の僧侶をはじめ、勧学の方からも異議の声が高まっています。Facebookグループ「新しい領解文を考える会」の参加者も、宗会前は300人ほどでしたが、宗会後に急増して現在(2023年4月)1,400人を超え、不安、批判、落胆の声で溢れています。このような状態のまま、親鸞聖人のご誕生850年、浄土真宗が開かれて800年の慶讃法要が行われることに、とても不安を感じています。

「納得出来ないなら読まなきゃいいだけ。静かにしておけばそのうち忘れられる」という意見もあります。しかし、今回の推し進め方はこれまでのものとは違い、「2023年度宗務の基本方針」の支柱に定め、2026年までに全寺院100%唱和を掲げるという驚愕の目標を立てていますので、慶讃法要や関連施設での行事をはじめ、関係者にとっては避けがたい状況です。必然的に門信徒の浄財もすでに流れています。


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