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「浄土真宗の救いのよろこび」の原案

現代版領解文の制作は、2005年の「親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画」において「時代に即応する教学の総合研究」の事業内容として掲げられました。その成果は、2009年に発刊された「拝読 浄土真宗のみ教え」の中に収められた「浄土真宗の救いのよろこび」です。これが領解文のよき伝統とその精神を受け継いだ文章として制定されました。

2016年に発行された「親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画総括書」には、「浄土真宗の救いのよろこび」の原案ともなる文章が掲載されていますので、ここに3案紹介します。とても綿密に制作されていたことが伺えます。

なお、名称に関しては、「現代版領解文」という呼称が、様々な憶測・議論を生むことを懸念し、仮称として「暗唱法文」とされています。また、「現行の領解文は現代においてもよく用いられており、重要な位置を占めるものであるので、意義を再確認し、そのまま存続させることも念頭に置く」とあります。


「暗唱法文」第1案(2006.9.6)

浄土真宗の教えをいただく私たちは、
嬉しいときも悲しいときも、
阿弥陀如来の大悲につつまれています。
 
阿弥陀如来はいつでもどこでも、
「必ず救う、我にまかせよ」と
よびかけておられます。
 
このよび声にしたがって、
南無阿弥陀仏と称えつつ、
いのちあるものすべてとともに、
互いに敬い支え合い
真実(まこと)の道を歩みます。
 
この世の縁の尽きるとき、
さとりの国に生まれ往き、
迷いの世界に還り来て、
あらゆるいのちを救います。
 
宗祖親鸞聖人と、多くの方に導かれ、
遇いがたきこの教えに今出遇い、
報謝のくらしを喜びます。


「暗唱法文」第2案 詩的表現①(2006.9.6) 

み仏の慈悲なればこそ
必ず救うまかせよと
愚かな我に呼びかけり
 
み仏の呼び声を聞き
仰せのとおり順って
南無阿弥陀仏と称えなん
 
み仏の願いをしれば
あらゆるいのちと睦み合い
支えあってぞ生かされん
 
み仏の浄土(みくに)に生まれ
さとりの智慧をいただけば
すべての衆生を救いなん
 
み仏のみのりに遇ふは
親鸞さまのご恩にて
報謝のくらし努めなん


「暗唱法文」第3案 詩的表現②(2006.9.6) 

みほとけのよび声は
今遥かなる時をこえ
われに帰せよとよびたまう
 
あたたかなお慈悲は
ひろくあまねくゆきとどき
我らの心包みこむ
 
喜びも悲しみも
念仏とともに受けとめて
この人生を歩みます
 
このいのち尽きるとき
浄土に生まれさとり得て
あらゆるものを救いとる
 
ああ不思議のこの教え
はからうことなく聞きうけて
報謝のくらしを喜びます 


浄土真宗の救いのよろこび(2009)

阿弥陀如来の本願は
かならず救うまかせよと
南無阿弥陀仏のみ名となり
たえず私によびかけます

このよび声を聞きひらき
如来の救いにまかすとき
永遠に消えない灯火が
私の心にともります

如来の大悲に生かされて
御恩報謝のよろこびに
南無阿弥陀仏を称えつつ
真実の道を歩みます

この世の縁の尽きるとき
如来の浄土に生まれては
さとりの智慧をいただいて
あらゆるいのちを救います

宗祖親鸞聖人が
如来の真実を示された
浄土真宗のみ教えを
共によろこび広めます

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