私の幸せ #幸せをテーマに書いてみよう
『ただいま〜』
『今日の夕飯なに〜?』
そう言いながら、息子が私のいるキッチンに入ってくる。
『やったー!今日は生姜焼きか〜!』
フライパンを覗いて、テンションが上がる。
毎日毎日息子の好物というわけにはいかないけれど、うちの食卓にはかなりの頻度で息子の好きなものが並ぶ。
何故かと言うと、私が「今日の夕飯、何にしようか」と聞くと、答えを返してくれるのが息子だからだ。ちゃんと献立名で。
夫ときたら「何でもいい」とか「何か言ったらそれが出来るの?」なんて返ってくるのだ。しまいには「美味しいもの!」なんて返ってくることも。
美味しいもの作れって、作ったものが美味しくなかったらどうするの。そんな感じで、夫の一言は当てにならないから、だいたい息子の希望が叶うことになるのである。
私はけっして料理上手ではないし、手抜きしまくりだし、いつもマンネリで悩んでいるし、最近はTwitterの料理アカウントやcookpadのレシピから拝借することも多い。それで何とか日々の料理をこなしている。
美味しいものの定義は人それぞれだろうけれど、何をもってして美味しいと言うのか。結局は好みとか口に合うということなんだろうな。
今のところは私の作るものを美味しいと言って満足してくれているらしい。主婦歴の長さとは関係ないかもしれないけれど、彼らの口に合う料理を作るという点ではまぁ、伊達に26年も主婦をやってない、というところだろうか。
うちの人たちが満足してくれる。
それで私も満足なのだ。
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幸せって、なんだか抽象的な概念。もちろん人それぞれに違う幸せの定義があるだろう。
お金があること?
有名なこと?
仕事で成功すること?
うちにはそのどれもない。
夫はもう定年になり、今は嘱託社員として勤務している。つい先日まで所長だったけれど、解任してもらい、平社員に戻った。給料は多分以前の半額以下だろう。でも収入があることで、まだ年金はもらえない。
私も8月でパートを辞めてしまった。
義母は認知症で老人ホームに入所しており、月に20万ぐらいかかる。
健康でいることが幸せと言う人もいるかもしれない。
その面でも、夫は30代で胃癌になり、胃を全摘しているし、その3年後には肝臓も癌で切除している。私も喘息で入院したり、甲状腺の病気になったり。今はそれらは大丈夫だけれど、今度は目の病気になってしまった。
こんな生活で、将来に不安がないわけではない。
こんなの幸せじゃないって言う人もいるかもしれない。
(金銭面でひとつ救いなのは、次男が来春大学院を卒業し就職する予定だからだ。幸い就職先も内定している。今は関東圏のアパートで一人暮らししていて、親が居住費も負担している。就職したらまた別の関東圏で、親元から離れているのは変わらないけれど、全て自分でやってもらう予定でいるので、授業料含めここにかかっていた費用がなくなるのは大きい。)
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先程言ったように、これでは幸せとは言えない、と思う人もいるかもしれない。
確かに金銭面や健康面での不安は残る。
でも、私にとっては、
日々健康に気遣いながら生活していく家族がいること。
同じテレビを見て笑い、泣き、感動できる家族がいること。
今日会社であったこと、行った場所、そこにこんな花が咲いてたよ、なんて会話できる家族がいること。
何より、作ったものを美味しいと言って食べてくれる家族がいること。
こんな些細な、本当に小さな日常が幸せなのだ。
多少の不安は、この家族がいれば乗り越えられると信じている。
私にこの幸せをくれた夫、長男、離れたところにいる次男、そして老人ホームにいる義母。
みんな、ありがとう。
2019.11.11 りょう
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この記事はあきらとさんの企画 #幸せをテーマに書いてみよう に参加させていただきました。
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