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贋作モデリング

がんさく【贋作】(名)
偽物を作ること。また、その偽物。「〜の仏像」「名画を〜する」(大辞林より抜粋)

 まぁ贋作というと、大概悪い意味で使われる事が多い言葉ですが、『贋作モデリング』というのは僕が作った造語で、過去に他のモデラーが発表した作例を、完全コピーした作品を作る事を意味します。

 皆さんもモデラーであるのなら、子供の頃に雑誌で見て憧れた作例とかって無いですか? その作例を真似しようとして、プラモを切り刻んでみたものの、技量が及ばず惨敗した苦い思い出は無いですか? ありますよね? あるはずですw。

 でもそれから何年か経ち、技量を充分に積み重ねた今なら、あの頃のリベンジが叶うのではないか…。憧れのあの作例を手に出来るのではないか…。そう思って始めたのが『贋作モデリング』です。

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 80年代のガンプラブームを牽引した少年誌、コミックボンボンに掲載された、この作例をご記憶の方も多いのではないでしょうか? MSVシリーズのこのザクは、現在では一般にデザートザクと呼ばれる事が多いですが、この頃は砂漠用装甲強化型ザクと呼ばれていました。漢字が多くてかっこいいですね♪ この作例はストリームベースの小田雅弘さんの手による物で、同じ作例がハウトゥビルドガンダムなどの書籍にも掲載されており、当時は非常に有名な作例でした。

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上の写真は、講談社の『SFプラモブック1 機動戦士ガンダム』に掲載された写真で、同作例を最も詳細に写した1枚です。

 当時の僕は小学6年か中学1年だったと思いますが、御多分にもれず、コミックボンボンの記事を参考にして製作に挑戦したクチでした。すでに完成していたザクを再度切り刻んで製作したソレは、お世辞にも良く出来た物ではありませんでしたが、一応完成し、高い満足感が得られた事を覚えています。その作品は現存しないのが残念ですが…。

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 その思い出の作例に近年再挑戦して完成した物が、上の写真の作品です。つまり『贋作』です。記事に書かれていない改修ポイントも徹底的に解析し、塗装やマーキングに至るまで『完全コピー』を目指して製作しました。それなりに苦労はしましたが、その工程は非常に楽しく、最後まで充実して完成させる事が出来ました。

 この製作過程で気付いた事なのですが、贋作を製作するというのは、単に子供の頃に憧れた作品を手にする… といったノスタルジックな願望を叶えるだけでなく、下手をするとオリジナルを作るより高度な技術と審美眼が必要になってきます。オリジナルを作るのは、その時の思い付きで気楽にサクサク進めればいいだけですが、贋作を作るには、その作者の気まぐれを解析し、足跡を辿らなければならないので当然ですね。

 古い資料を紐解いて、当時の小田さんの足跡を辿る旅は、考古学にも似て、普段のモデリングとは違った楽しみがありました。同時に、自分の現在の技量を推し量る意味でも、有意義だったように思います。あの頃憧れたあのモデラーに、僕はどれくらい近付けただろうか…? 技量的には追い抜いたかもしれませんが、小田さんの卓越した造型センスには、終始唸らされっぱなしでした。アニメモデルに限らず、スケールモデルでもフィギュアでも、そんな作例があなたにもあるのでは? 一度完コピを目指して、『贋作モデリング』を試してみませんか? 楽しいですよ (^。^)

 ちなみに、このザクの製作工程はTwitterのモーメントにまとめてありますので、よければ以下のリンクから御覧ください。
贋作モデリング/砂漠用装甲強化型ザク

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こちらは贋作モデリング第2弾として製作した、1/144アッガイです。モデルにしたのは、同じく小田雅弘さん製作のアッガイですね。こちらの製作工程は動画としてYouTubeにまとめてあります。以下のリンクから御覧ください。
Webでパチポチ・伊藤霊一

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