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ヒトコブラクダ層ぜっと

僕が個人的な好きな作家ランキングの上位に入ってくる万城目学さんの『ヒトコブラクダ層ぜっと』を読みました。万城目さんの小説はいつもトッリキーな題名ですが、今回は過去1かもしれません。過去作としては『鹿男あをによし』『偉大なるしゅららぼん』『鴨川ホルモー』など
 なかなか中身が想像できない作品ばかり。それでもドラマ化されたり、映画化されたりしている作品も多く人気の作家さんです。万城目ワールドと呼ばれたりするんですが、現実世界と異世界がうまく交錯しながら物語が展開していくところが面白くて、ありえないのにありえそうと思える世界が僕は好きなんだと思います。

 歴史の壮大さ
 
 今回の作品は恐竜化石やメソポタミア文明まで歴史が深く関わってきます。さらに日本だけでなく世界中を舞台にしています。梵天、梵地、梵人の三つ子の兄弟が持つ3秒の特殊能力。3秒間だけ、それぞれ、地下を見ることが出来る、どんな言語も聞き取ることが出来る、未来を見ることができるという能力を持っています。
 それぞれが持つ能力が歴史の中に埋もれてしまった謎を解き明かす。人類最古の文明といわれるメソポタミア文明にはいまだに多くの謎が残されている。滅びた文明や言語、なぜ滅びたのか?なぜ繁栄したのかはいまだに多くの論が戦っている。それは文明が栄えていた場所が、イラクという国に変わり他国をなかなか受け入れない国になり、発掘が十分に行われていないことも原因となっている。
 作品中ではさまざまな歴史に基づいた話と、作者の創作部分が入り交じっているらしい。僕自身はメソポタミア文明や楔形文字などは知っていても詳しくは知らないので、どこが真実でどこが創作なのか分かりませんでした・・・
 それでも作者が歴史についての造形が深く、かなりの資料を読みこんだうえで作品を書いたことがよく分かる内容だったので、上・下巻のかなりの大作でしたが、あっという間に最後まで読み切ることができました。

#読書の秋2021 #ヒトコブラクダ層ぜっと

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