登山の魅力(山梨県・瑞牆山)

2020年頃から、登山を始めた。

登山の動画を見ていたら、急に山に登りたくなって、2日で登山道具を揃えて、
山梨県にある瑞牆山(みずがきやま)に登った。

日本百名山となっているこの山は中級者コースだったみたいだけど、
普段から運動をしていたからか、特段疲労感もなく、山頂に到着した。

『日本百名山』という本がある。
文筆家(小説家のち随筆家)で登山家だった深田久弥さんが
日本各地の山に登り、実際に登頂し、100山を選んだ山岳随筆集。
(初刊は1964年7月に新潮社で出版。第16回読売文学賞を受賞)

この本を登山バックに入れて、山頂で読むことにした。

瑞牆山は標高2230mの山。
山頂から見える景色の素晴らしさに、感動してしまった。
『日本百名山』の瑞牆山の項を読む。
1964年よりも前に、深田久弥さんが実際に見た景色と、きっと何ら変わらない。

そのことにとても感動したのを覚えている。

東京の街は、すぐに形を変えてしまい、ここに何があったのか?
思い出せなくて記憶から消えていく景色が多い。

瑞牆山の山頂から見た景色は、四方八方が山々で、山は明るい緑色に覆われていて、自分が生きている街では、決して見ることができない景色が広がっていた。

この景色は、登った者にしか見ることができない。
初めて誰かに「景色を見せたい」「伝えたい」と思ったが、
どんな性能のいいカメラでも、この肉眼で見た景色には敵わない。

山はどんなに金持ちだろうが、一歩一歩登らないと、山頂には辿り着けない。
この山の頂上に立つためのスキップはない。それも登山の魅力。

それ以上に魅力に感じたこと。

10年前、50年前、100年前。
この山に登った者が見た景色は、きっとずっと変わらない。
2000年前にこの山の頂上に辿り着いた人も、同じ景色を見たんだろう。

地形は変わらないから。山の位置も変わらないから。
家々は見えない、高い建造物も見えない、街は一切見えなかった。
そこにあったのは、連なる山と空だけ。

時代の違う人と、今、同じ景色を見ている。
そのことを考えていると、何か心に来るものがあった。

山にはまっていった理由は、
こんな登山の魅力を心で感じたからなんだろう。




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