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常に、自分と相手で、一つ

なめらかな対話よりも、問題を抱えたコミュニケーションから学べることの方が多い。

共通意識があると、様々な工程をスキップできる。だから、意思疎通の速度ははやく、認識のずれも起きにくい。心地良いラリーが続き、密度の高い時間を過ごすことができる。ただ、収穫が多いのは、うまくいかないコミュニケーションの方だったりする。

普段から、しばしば相談を受ける。主に人間関係について。悪意がないのにこじれる関係性がある。悪意がないだけに「なぜ破綻するのかがわからない」と言う。「何を考えているのかわからない」「自分の気持ちが相手に伝わらない」「自分の好意を受け取ってくれない」。とめどなくことばがあふれだす。

多くの場合、問題を抱えているのは相手だけでなく、自分にもある。そのことに気付けないから泥沼化する。そもそも、相手が何を考えているのかを知ろうとしない。相手の気持ちを受け取ろうとしていない。自分の好意が、相手にとって“良いもの”だと決めつけている。そこを整理してゆくだけで、沼から一歩抜け出せる。

当然、“関係性”は自分だけではない。自分と相手で一つの関係性なのだから、相手にも一歩近づいてもらう必要がある。第三者として、俯瞰で自分と相手を観察すると見えてくる。どこにほつれがあり、何が欠けているか(あるいは、過剰であるか)。

そこを修繕してゆくことで、少しずつコミュニケーションは建設的になってゆく。なめらかに機能しない関係性を観察すると、問題点が浮き上がってくる。それを一つひとつ改善してゆくこと。当然、「構築しない」という選択肢も存在する。その吟味や工夫から、わたしたちは多くのことを学ぶことができる。

うまくいく人から学ぶこと以上に、「なぜ、うまくいかないか」を考えることも、対話力を育む上で重要な経験である。



「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。