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ひとつ形にして、またひとつ

「生活する」というのは海を泳ぐことに似ている。

ぼんやりしていると波に流される。流される先が行きたい方向であればいいけれど、たいていは波に逆らって泳ぐことになる。小さな波がざぶんざぶん、たまに大きな波がざざざぶん。時に軽やかに、時にあっぷっぷとなりながら、波を越える。越える、越える、越える。

そう、越えども、越えども、次から次へと波は訪れる。もしかすると「平穏」などはないのかもしれない。波の越え方(泳ぎ方)がうまくなるか、その波を越えることを「遊び」だと捉えることができるようになるか。いずれにしろ、流されっぱなしにならない限り、波を避けることはできないのだから。

ひとつ形にして、またひとつ。小さい波だからといって、おざなりにしないように。変わらずに丹精を込めることができれば。波のことが少しはわかるかもしれない。それ以上に、自分のことが少しずつわかってくるのかもしれない。

波とひとつになれたらな。海の一部になれたらな。月から滴る雫は、ささやかな甘美。そのひと雫に、厳しさや冷たさや静けさが、まろやかになる。

がむしゃらに抵抗するよりも、波の力を利用して、遥か遠くへ飛んでいきたい。ひとつ形にして、またひとつ。今のぼくにはそれしかないのだよ。



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