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Honey-Come * Be Born

シンガーソングライターの広沢タダシさんと新しいプロジェクトをはじめました。

それは、グレープフルーツのように瑞々しくまばゆい初夏の日差しの中で構想は生まれ、もぎたてのことばたちを静かな日陰で熟成させていました。白ワインに漬けこんだ日向夏、グレープフルーツ、パイナップル、メロン、ハーブはどっさりと。さながら夏のフルーツサングリアのようなきらめきと爽やかさを閉じ込めて。

ことばと音楽で物語を紡ぐ

その物語は対話的なアプローチで紡がれる。一つの大きなストーリーを描くのではなく、しゅわしゅわと泡立つようにナラティブなにぎわいをみせる。この場所から作品が生まれ、幾重ものドラマが生まれる。

吟遊詩人はことばを紡ぎ、曲を奏で、語り部となって世界を巡る。それは、果てしなくピュアに求め続ける創作への情熱とふくよかに香り立つ知性を醸しながら。あらゆる行為にポエジーは宿る。そう信じる者が、集い、結託し、夢を描く。

「教育」という意味を持つ〈Education〉ということばは、ラテン語の〈educare(エデュカーレ)〉に由来する。エデュカーレとは「引き出す」という意味である。「対話」もまた、相手の中からことばや思考を引き出す行為であると言える。

作品を生み、届けるだけでなく、出会いや物語を生む場所として。ことばを詠んだり、音楽を奏でたりするだけではなく。それが届く全ての人の創作表現になり得る余白をデザインして。たとえば、それは「Muse杯」というコンテストの副産物として生まれた作品と参加者たちの間に生まれた数々の物語のように。

「つくる」を繰り返しながら、「引き出す」をしつらえていく。その一つひとつの物語を縒り、紡ぎ、編み、思いもよらない物語を構築していく。設計思想の根本にはダイアログデザインがある。物語の中に偶発性を織り込み、ポエティックなタペストリーを形にしていく。

その母胎にぼくは「Honey-Come(Honycomb)」と名付た。

Honey-Come

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「ハニカム」と呼びます。蜂の巣のハニカム構造からイメージしました。その盤石な正六面体の部屋には、黄金色の蜂蜜や赤ん坊が収納されます。いのちをつくる場所として機能しています。「ハニカム」は、創作者にとってのいのちをつくる場所です。創作者にとって蜂蜜は「インスピレーション」であり、いのちは「作品」。Museという女神(女王蜂)に捧げ、産み落としてもらう。

本来、蜂の巣という意味の「ハニカム」は「Honeycomb」と表記します。「Honey-come」としたのは、Muse(Honey)が訪れる(Come)という意味を重ねました。また、ぼくも広沢さんも笑う時は二人とも恥ずかしそうにハニカムという意味もあったり。

ことばと音楽でユニークな物語を編んでいきます。それはどこまでも対話的に、ナラティブなものとして。天赦日という最上の日に、ご報告を。

現地点のメンバーは、広沢さんとぼくと朋子(妻)。新しい参加クリエイターやロゴなどは随時発表していきます。



最後に、「Honey-Come」をイメージしてつくった詩を置いておきます。

蜂の巣の美しさ。

クリアな黄金色の蜜で満たされた部屋が並ぶ六面体。「ハニカム」という言葉もキュートで、思わず口角が上がる。僕たちの関係性も、蜜月でピュアな光を内包していて。月の光に濡れた蜂蜜は美しく、愛する君を呼ぶにはそれ以上に相応しい言葉はないのかもしれないね。星屑を閉じ込めたドンペリニヨン。栓を抜くと上空へ次々と星が流れていく。

正六面体の完全美。まどろみの中で記憶の扉を開く。その夢と現の狭間にミューズは降り立つ。「蜜月」とはよく言ったもので、神秘的な瞬間というのは、月の灯りがよく似合う。女王蜂に捧ぐ、花の蜜を集めて。あるいは、産み落とされる卵の部屋として。

ファム・ファタールにインスピレーションを授かり、黄昏に飛び立つフクロウへの敬愛を込めて。胎の中にハニカムを孕ませる構造を描く。物語がはじまる。

それは大きな一つのストーリーではなく、複数の小さな物語がそれぞれの中で、泡立つように息吹く。



「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。