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蜂月の終わりに

久しぶりの東京。

緊急事態宣言が発令する前の週に大阪へ発って以来だから5ヵ月ぶりだ。東京の春を味わうことなく、気付けば夏が終わろうとしていた。来てみたら、みんなマスクをつけて、香水みたいに手に消毒スプレーを振りまいて、楽しそうに過ごしていた。あの頃と変わらない笑顔がそこにあった。

あの日からぼくはたくさん文章を書いた。そうだ、東京の住まいから離れた日から僕は毎日文章を書き続けていたんだ。

この3月26日から、休むことなくnoteを更新している。「オンラインで取材する」ということを覚えたぼくは、移動がなくなった分、さらに文章を書く量が増えた。絹糸を吐き出す蚕みたいに、言葉を書き連ねていった。ぼくの「シルキーな日々」がはじまった。

恐怖を共に過ごしたからだろうか。不安を共有したからだろうか。お互いに支え合ったからだろうか。とにかくぼくは、ウィルスが地球を襲う前よりもみんなとの距離が縮まった。ぼくはたくさんの人に助けてもらったし、今もまだ助けてもらっている。そこには感謝しかない。

オンラインバーを開店して夜な夜な秘密の約束を交わした。きゆか賞というぼくにとって大切な宝物をもらった。信頼する仲間とブリリアントブルーというオンライン番組をはじめた。千原さんが本に名前をつけてくれた。アニさんと会ってインタビューをした。広沢さんと一緒にプロジェクトを立ち上げた。Muse杯で仲間ができた。

それらは全て仕事ではないところ。でも、仕事以上に深く記憶に残っていて。それらの一つひとつが、恐怖から身を守り、明日への生命を繋いでくれたような気がする。10年経った時に振り返った光景は、その一つひとつのような気がする。

八月、もとい、蜂月が終わる。

Muse杯のコンテストが締切を迎える。でも、ぼくたちの生活を続くし、コンテストの結果は発表されなければならない。今日、久しぶりにれもんらいふで千原さんに会った。

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中断していたプロジェクトが再開した。ぼくはインタビュアーとして、参加させてもらっている。千原さんの言葉を聴いて、その話す表情を見て、「やっぱりこの人が好きだ」と思った。

蜂月が終わっても、人生は続く。世界は広がっていく。そう、世界はこんなにも輝いていて、瑞々しいんだ。

やりたいことがいっぱいあるよ。

夜にcotreeのひらやまさんと二人で話した。ケララと笑うその表情が好きで、ぼくの心も踊りはじめる。蜂月が終わっても、また新しい楽しいことがはじまる。ひらやまさんは二人で「わるだくみ」をしましょうと言って、また屈託のない笑顔を浮かべた。おもしろいよね。みんなが笑顔になるようなことをいっしょうけんめい考える「わるだくみ」。

そうなんだ。笑顔に救われて、笑顔に惹かれていく。ぼくは笑顔が好きなんだ。



「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。