見出し画像

提案する人

仕事ができる人は、反応がはやい。

訊かれたことを、いち早く理解し、適切な答え(あるいは、問い)を導き出す。相手が伝えようとしている内容に対して、咀嚼と想像で、ドラマティックに対応する。これができない人は、おでこの上に歯車が現れ「loading……loading……」、くるくる回り続ける。

視野と想定する幅が広いこと、呼吸するように思考すること、判断に慣れていることが、反応のなめらかさに現れる。不思議なもので、年齢や経験と比例するわけではない。経験が浅い人でも反応のはやい人はいるし、ベテランでも反応の鈍い人はいる。

これは「正しい解答を出せる」という基準ではない。状況把握の速度だ。回答を出す前に、今現在目の前で何が起きているのか(目の前の人が何を話しているのか)を、最小限の誤差で受け取る力。相手の状況を理解した上で(緊張している、語彙が少ない、誇大な表現をしているなど)揺らぎの幅まで想定した上で、内容を知覚する。

あることに気付いた。

反応がはやい人は、提案する人だ。アイデアが採用される、されない関わらず、提案ができる人。反応が鈍い人には、主体的な提案が苦手な印象がある。もしかすると、“反応のはやさ”はクリエイティビティと関連しているのかもしれない。つまり、問いを立てる能力であり、自分の力で答えをつくる能力。

「反応をはやくしろ」と言っても、どうすればいいのかわからない。ただ、わたしの仮説が正しければ、提案を出す練習をすれば、反応ははやくなるはず。

打ち合わせの時間、誰かが話している内容をメモするだけでなく、自分でも提案してみる。いつもの対話、傾聴するだけでなく、何か一つ提案をしてみる。アドバイスじゃなくていい。むしろ、アドバイスがじゃない方がいい。主体的なお声かけ。

その瞬間、プロジェクトや時間は“自分ごと”となる。

ここに秘密があるのかもしれない。



「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。