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だっぴしたい

だっぴしたい。

爬虫類や甲殻類のように。
ズルンと一枚皮をめくりたい。

人間はなぜだっぴしないのだろう。
どうして歯は二回しか生えてこないのだろう。
サメみたいにいくらでもやりなおしたい。

とにもかくにも、
だっぴしたい。


もちろん比喩表現として。


硬い殻を脱いで、果実のような瑞々しさを。
古くなった皮を剥いで、母乳の香りのする肌を。

原風景へ回帰する。
思春期の不完全さを思い出す。

だっぴをするとは、
そういうこと。

人間はだっぴする。
古くなったものを捨てることができる。
常識の檻から抜け出すことができる。

人間はだっぴしない。
だからこそ、かけがえのないものを慈しむことができる。
朽ちていく姿に美しさを見出す。


人間はだっぴできるし、
人間はだっぴできない。


だっぴしたい。
もちろん比喩表現として。



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