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哲学ドルチェ

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毎日、コーヒーをドリップして飲む少しの時間だけ考えごとに耽る。その時、書いた文章を“哲学ドルチェ”と呼んでいる。決めごとは一つだけ。大そうな話はしない。たかだかコーヒーの時間であ…
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#エッセイ

カメラは、撮る人を写しているんだ。

写真家のワタナベアニさんの『カメラは、撮る人を写しているんだ。』を読みました。シルキーな…

生きる意味考えるときはたいていね 暇ができたり雨がふるとき

男心が難しい。 わたしは「男」なのだが、男性の気持ちがよくわからない。歳を重ねるごとにそ…

SNSで生まれる対話

わたしが利用しているSNSは、主にTwitterとnoteです。 ここでの出会いが与えてくれたこころの…

人間は思考する、快楽は美しい

その編集者は、よく鼻毛を引っ張った。 どうやら、考えごとをする時に癖のようだ。ひとたび考…

わすれておしまい

年を重ねるごとに、シンプルになっていく。 それまでは「あれもしたい」「これもしたい」とい…

妻は人気者

妻は人気者だ。 いろんな人からお声がかかる。彼女と話していると、心労が癒され、新しい発想…

祈りとか、呪いとか

「人の話を聴く」という仕事をしているからだろうか。わたしの元へ、よく手紙が届く。 それは紙だったり、メールだったりして、その想いが刻印されたことばは願望や後悔や祝祭や哀惜として結晶化されたものだ。精製された情念の塊は、祈りや呪いとなって空気やわたしのこころに溶けてゆく。こちらにも覚悟がないと、その怨念のようなものに引きずり込まれてしまう。 相談が目的の人もいれば、「ただ聴いてほしい」という人もいる。「この人であれば最後まで聴いてくれる」と思ってもらえているのだろう。内容は

ただ、そこに居る

昔、演劇を勉強していたことがある。 脚本を書いたり、演出したり、舞台にも立った。自分とは…

さようなら

出張から帰ると、二番目の犬の様子がおかしくなっていた。 玄関の扉をひらくと、わたしたちを…

恐怖の在りか

とあるウィスキーのテイスティングイベントに参加したことがある。あるシングルモルトの限定版…

「お誘い」のお誘い

TwitterのSpacesで、自分がホストとなって対話型のインタビューをしている。 「対話パーティ…

Take it easy.

わたしには三つ年の離れた姉がいる。 彼女は、写真が好きで、十代の頃から世界中を旅してそこ…

4630

とある町役場で、4630万円を一人の男性の口座へ誤送金した事件が話題になった。 男性は振り込…

モラルとの闘い

社会には規律と道徳がある。 法のおかげで安全な暮らしができているのだが、同時に“モラル”という空気のようなものでもコントロールされている。「確かに法律は犯していないけれど、人間としてどうなの?」という線引き。「煙草は吸ってもいいけど、ポイ捨てはダメだよね」みたいなこと。 さて、文学的なおもしろさはこの境界線上でのゆらぎにある。わたしはそう考える。ルールがある中で、いかにマナーを崩せるか。そこの葛藤に、わたしたちの中に息づく小さな非道徳的な要素が共鳴するのだ。 人間の業が