愛の嵐
映画「愛の嵐」
1974年のイタリア映画です。
監督は女性のリリアーナ・カヴァーニです。
物語の舞台は冬のウィーンです。
とあるホテルのフロントで働く男。演じるはイギリスの俳優ダーク・ボガード。
男は元ナチスの将校で、身分を隠し働いてたんですね。
そこにひとりの女が客として現れることで話しは動きだします。
女を演じるのが同じくイギリスの女優シャーロット・ランプリング。
イギリスはシェイクスピアの国ですから、やはり芝居がしっかりしてます。
男と女は過去に面識があったんですね。
ナチス時代、収容所に女はいたんです。そこで当時将校であった男に性の対象として扱われていたんですね。
ホテルのフロントで再会したふたりの脳裏に当時の体験がよみがえります。消し去りたい過去の記憶ですね。
冬のウィーンの色。収容所の薄暗さ。いい映画からは空気が伝わってきます。
記憶というのは体に、筋肉に埋め込まれてるんですね。
何十年ぶりかで再会した男女。
体が覚えてるんですね。消し去りたいはずなのに、振り返りたくない過去のはずなのに、体は反応してしまうんですね。
ふたりは愛に溺れていくんです。
時代がかわり、立場がかわったふたりが溺れていくんですね。
男と女がウィーンの一室でからみあっていきます。
ラストはいかにも映画らしい終わり方です。
成熟された果実を一滴も残さずしぼり出すかのような、上等な映画です。
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