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八月の鯨

映画「八月の鯨」

1987年のアメリカの映画です。


この映画はひとつの事件ですよ。


リリアン・ギッシュ、ベティ・デイヴィスというアメリカ映画を支えてきたふたりの女優が共演した歴史的映画です。


映画の父D・W・グリフィス監督に育てられたリリアン・ギッシュ。映画創世記からスクリーンに希望をあたえ続けた可憐な花のような女優です。

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かたや1930年代、ハリウッドの光り輝くスターシステム全盛期にあらわれた黒い花、ベティ・デイヴィス。ほかの女優が敬遠する汚れ役をあえて演じ、スクリーンに自分の個性をもってきた女優です。

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そんなふたつの花が初めて重なり合った映画なんですね。

撮影時、ベティ・デイヴィス79歳、リリアン・ギッシュは93歳です!


ふたりは姉妹役なんですね。海辺の家にふたりの小さな別荘があるんです。

小さい頃、八月になると入江に鯨がやってくるのを、姉妹は楽しみにしていたんですね。

花に囲まれた別荘、眼前には真っ青な海が広がってます。この別荘が物語の舞台です。

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ベティ・デイヴィス演じるおばあちゃんはわがままで、言葉がキツイところがあるのね。それをリリアン・ギッシュがうまくなだめ、ふたり生活してるんですね。

そんな姉妹の夏の日々をゆっくり丁寧に描いていきます。


僕たち日々の生活のなかで見落としてるものたくさんあるでしょ。そんな落し物を気づかせてくれる映画ですよ。

リリアン・ギッシュがほんとに可愛いいんですね。静のリリアン・ギッシュと動のベティ・デイヴィス。ふたりの掛け合いに、くすっとなったり、愛しくなります。

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ハリウッドを、映画界を、長年生きぬいてきたふたりです。台詞ひとつに重みがあります。

鯨がくるのをふたりは今日も待っているんですね。

監督はイギリス人のリンゼイ・アンダーソンです。

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この映画をつくった監督に拍手ですね。

そして、自らの老いをスクリーンにさしだし、最後まで女優であり続けたふたりの女優に拍手です。

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ありがとうと抱きしめたくなる映画ですよ。


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