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秘密と嘘

映画「秘密と嘘」
1996年のイギリスの映画です。
監督はイギリスの名匠マイク・リーです。

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ある黒人の女の子がいるんです。
この子は養女なんですね。実の母親を探すため役所に行くんです。そこで養子縁組の書類を見て、自分の本当の母親が白人だという事実を初めて知るんですね。

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このシーンの女の子の芝居がすごいですね。

思いもしなかった事実を知り、自分のアイデンティティをゆるがされ涙があふれてきます。


この映画脚本がありません。

全編、役者の即興による芝居なんです。

演じる女優さんも、観客である私たちと同じで、このシーンで初めて事実を知るんですね。

実際、この養子縁組の書類にどういったことが記載されていたかはわかりません。

本当に役所の書類なのか、それとも、この女優さんのパーソナルな部分に関することが書かれていたのか、それはわかりませんが、撮影当日、初めて目を通した紙で、なぜここまで深い芝居ができるのか驚きます。


黒人の女の子と、もうひと組の家族がでてきます。写真家の男がいる。仕事も軌道にのり、奥さんと一緒に暮らしてるんです。
奥さんは不妊治療に通ってて、それはふたりにとって家族の秘密ごとなんですね。

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男にはシンシアという、お姉ちゃんがいるんです。シンシアは小さなころからずっと家族の世話をおしつけられて生きてきた。娘を女でひとりで育ててきたけど、娘とうまくいってないんですね。シンシアいつもひとりなんです。

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そんな家族のもとに、あの黒人の女の子が訪ねてくるんです。黒人の女の子の母親いうのが、シンシアだったんですね。


この映画は私たちみんなの話しですね。
みなさん秘密と嘘をかかえて生きてるでしょ。それが家族だと思います。

役者が素晴らしいですね。

否定的に、決めつけて演じてません。

シンシアを、ただ孤独な人間だと決めつけると紙芝居みたいな芝居になっちゃいますよ。

ひとりがいいなんて思ってる人はいないよ、どこかで自分を見てほしいって思ってますよ。少しでもいいから幸せになりたい、そう思ってますよね。

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登場人物に、映画全体に、希望がみえる作品です。だからこの作品は大好きです。

監督のマイク・リーは、役者とどうやって、即興でこの作品をつくりあげたんでしょうか。
どうやって役者とここまで信頼関係をつくりあげたんでしょうか。

現場をみてみたいですね。

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