コックと泥棒、その妻と愛人
映画「コックと泥棒、その妻と愛人」
1989年のイギリス・フランスの映画です。
なんとも興味をそそる題名ですよね。
あるレストランが物語の舞台です。
長いテーブルには真っ白なクロスがかけられ、綺麗な食器、豪華な食べ物が並べられてるんですね。
今日も、このレストランの経営者である男が、妻をひきつれて店にやってくるんですね。
この男の仕事は泥棒なんです。この男、なにかとグルメぶるんだけど、食事中に女性の胸をつかんだりと、食のことなんてなにも分かってないんですね。
この泥棒をマイケル・ガンボンが演じてます。ロンドンの舞台から出発したベテラン俳優ですね。映画「ハリー・ポッター」では校長先生の役ででてますね。
この泥棒の男、妻の扱いもひどいんですね。暴力はあたりまえなんですね。まわりは皆んなこの男のこと怖がり、嫌ってるんです。
泥棒の妻をヘレン・ミレンが演じてます。
イギリスの名女優ですね。2006年の映画「クィーン」で演じたエリザベス2世は素晴らしかったです。
イギリスの役者は舞台からキャリアを積んでいくでしょ。だからいい役者多いですよね。
物語ですが、妻は不倫してるんですね。しかも、このレストランのなかで不倫してるの。レストランのコックが逢引の手伝いしてるんです。
夫が食事してる最中に、妻は数メール先のトイレのなかで抱きあってるんです。
食事の肉と、トイレで抱き合う肉と肉ですね。
なんと言ってもこの映画、場面ごとに画面の色がかわるんです。
レストランのテーブル席の場面は、赤で統一されてます。絨毯もカーテンも、グラスも、登場人物の衣装、口紅まで、赤で統一されてるんですね。赤は欲が増す色ですね。
そして、トイレの場面では真っ白、白一色で統一されてるんです。
真っ赤な部屋で肉をほうばる画があり、カメラそのままカットせずにトイレへと移動していき、今度は真っ白なトイレでからみあう男女の画が現れます。
面白いですね。
そして妻は、泥棒の夫に不倫がバレるんですね。ひとの痛みを知らない夫です。不倫相手の男は、夫の手下によって殺されます。
手下の役で、ティム・ロスがでてます。タランティーノ監督作品の常連俳優ですね。
不倫相手の男というのは本を愛する男だったんですが、愛する本のページを呼吸器官に詰めらて殺されるんです。映画的ですよね。
ヘレン・ミレン演じる妻は、夫でもあるサディスティックなこの男へ復讐にでます。
この復讐のしかたが凄いですよ。誰も考えつかない方法で復讐にでます。夫でもあるこの男は、生まれて初めて痛みを知ることになります。
この映画は色の洪水ですね。まるでオペラの舞台観ている気分になります。舞台化しても面白いでしょうね。
衣装を、フランスのデザイナー、ジャン=ポール・ゴルチエが担当しており、この映画を大胆なものにしてます。
監督はイギリスのピーター・グリーナウェイです。平安時代に書かれた「枕草子」を元にした作品もあります。常に変化にとんだ作品を送りだす監督ですね。
イギリス映画って、王室の綺麗さを描きながら泥にまみれた汚さも徹底的に描きますよね。
豪華なご馳走がこの映画を彩りますが、最後に描かれる復讐という名のご馳走は徹底してました。
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