今月&先月読んだ本の、まとめ!
① 泡坂妻夫「乱れからくり」
玩具会社の関係者が次々に不慮の死を遂げる連続殺人事件を描くミステリ。
からくりに対する雑学が散りばめられた蘊蓄系のミステリであり、かつそれがトリックやオチに深く結びついた完成度の高い作品になっています。
② ウィリアム・L・デアンドリア「ホッグ連続殺人事件」
一見すると被害者同士に繋がりがない、ミッシング・リンクものの有名作。
犯人からの手紙に書かれた署名"HOG"の意味について、関係者がこじつけじみた
2023年4月に読んだ本
今月読んだ本の、まとめ!
① 高野和明「13階段」
仮釈放中の青年と刑務官のコンビが、死刑囚の冤罪を晴らすべく奮闘する物語。死刑制度を取り巻く制度的な問題や、民間側の感情的な問題に触れつつ、さらに二転三転する展開でエンタメとしても完成度が高い傑作!
② 西澤保彦「七回死んだ男」
同じ一日を何度も繰り返す「体質」を持った主人公が、殺人事件を防ぐために奮闘する特殊設定ミステリ。癖の強い登場人物達、特殊設定を活かした独特な謎、ループの度に発生する様々なトラブル... 名作だ
2023年2月に読んだ本
今月読んだ本の、まとめ!
① N・K・ジェミシン「輝石の空」
岩石や鉱物をモチーフにした独自設定ファンタジー三部作の完結編! 第一作「第五の季節」の時点で、練り込まれた世界観や独特の重層化された語り口によってボリューム感のある物語だったけれど、さらに空間的、時間的に様々な勢力の思惑が交錯する物語に。
これまでの物語でも描かれていた「危機に立ち向かう力を持った能力者達は、その能力故に恐れられ管理されなければならない」という作中世界の思想が挿話から垣間見えていて、「じゃあど
2023年1月に読んだ本
今月読んだ本の、まとめ!
① ニー・ヴォ「塩と運命の皇后」
東アジアっぽい架空の世界を舞台にしたファンタジー中編2編を収録。
主人公が歴史の記録を使命とする聖職者という設定なので、独自設定ファンタジーの魅力である「ここはどんな世界なのかが明かされていくワクワク感」が楽しめる物語になっています。冒頭から「先帝に封印された湖」とかが出てきて雰囲気も抜群。
歴史を記録するために調査を続ける主人公だけれども、話を聞く相手によって伝承が異なった形で伝わっていたりするのも面白いと
2022年12月に読んだ本
今月読んだ本の、まとめ!
① フェルディナント・フォン・シーラッハ「犯罪」
ドイツの現役弁護士による、犯罪についての短編集。
語り手は刑事でも探偵でもなく弁護士なので、手に汗握る追跡劇やどんでん返しの推理シーンがあるわけではありません。むしろ、報告書じみた筆致で淡々と語られることで、それぞれの犯罪が生々しく描かれていきます。
収録作の中では「棘」がお気に入り。直接的な因果関係は確定できないものの、事務手続きの不備が数十年の時をかけて犯罪を醸成していたのかもしれない..
つぶやきProcessing四大元素
今年作ったつぶやきProcessingを振り返っていたところ、何らかの自然物(?)のように見える作品が結構ありました。
そこでこの記事では、私が今年作ったつぶやきProcessingを四大元素(火、水、空気、土)になぞらえて紹介します。つぶやきProcessing用に圧縮する前のコードもコメント付きで記載したので、何かの参考になれば幸いです。
ちなみに、Processingではpythonモードを使用しています。
火文字通り炎のような効果を狙った作品。確かDark So
今月読んだ本の、まとめ!
① 村田沙耶香「信仰」
短編7編とエッセイ1編を収録。短編では、作中で語られていない部分への想像が膨らむ「書かなかった小説」がお気に入り。
エッセイでは、自分の奇抜さが受けいれられた喜びが書かれる一方、いつのまにか「クレイジー」という分かりやすいラベルで分類されてしまったことへの後悔が綴られます。作者が現在の世間からの扱いに思い悩んでいる様子が読み取れるのですが、私としてはすでに出版されている作品だけでもとても多くのものを頂いているので、無理は
2022年10月に読んだ本
今月読んだ本の、まとめ!
① アン・マキャフリー「歌う船」
1960年代に書かれたサイボーグSFの古典的名作。身体に障害を抱えて生まれた主人公は、神経を機械に接続して宇宙船の頭脳として生きることに。サイボーグ船である主人公は人間のパイロットと協力し、ときには喧嘩し、数々のミッションに立ち向かっていきます。
主人公は人間とは違う存在ではあるけれど、別に「人間」に未練があるわけではないのが印象的。自立した、強かに生きる存在としてのサイボーグが描かれます。
② 前野ウルド浩
2022年9月に読んだ本
今月読んだ本の、まとめ!
① 郷内心瞳「拝み屋怪談 花嫁の家」
とても怖いという評判は聞いていたものの、長らく入手困難だった作品が角川ホラー文庫から復刊! 評判どおりの怖さでした。
「拝み屋」を営む主人公のもとに舞い込む様々な依頼や怪談。色々な怪談を収めた短編集なのかな? と思って読み進めていくと...
② 幸田成康「100万人の金属学 基礎編」
1960年代(!)に出版された、一般読者向けの金属学の本の復刻版。
合金の相図や強度、疲労といった工学系の話題に加え、