N高についての理解度が少し高まった話



皆さん、N高って知ってます?

NはNetとかNeutralとか色々意味があるみたいですが、

要するに通信教育を提供する高等学校です。

ただ、普通の通信高校と違って、あのKADOKAWAと株式会社ドワンゴが経営統合してできたカドカワ株式会社が運営する学校法人角川ドワンゴ学園が経営する学校で、生徒数は毎年1500人ぐらいが入学するほどの規模らしいです。

なぜ今回この話をするかというと、『ネットの高校、はじめました』っていう書籍を書店でたまたま見つけて、気になって読んでみて、結構面白い取り組みでだなと思ったからです。

以前にこの記事を読んで、「ついに始まったか、、、、」って思わせるメインビジュアルに胸躍らせた記憶があり、読んでみましたが、結論、通信制の高等学校の実情や、N高立ち上げまでの話、実際に通っている生徒や教師、保護者の人物像などが一部描写されていて、面白かったです。

通信制の高等学校=不登校の生徒の受け皿、という印象が僕自身の中にもあり、実際に1982年には通信制の高等学校に通う生徒の約60%が定職についている、つまり、経済的な理由を元に(純粋にお金を稼ぐ時間に日中は当てる必要があるので)、通信制の高等学校という選択肢を取っている生徒が多かったが、1994年には半分の30%まで下がっていました。

2001年頃からは不登校の小中学校の生徒の数が全国で13万人ぐらいに上り、そこから大体11~12万人ぐらいを推移していて、40人のクラスに1人いるぐらいの割合だろろうです(確かにそんなイメージもする)。

2003年の構造改革特別区域法で株式会社も学校を作れるうようになり、通信制の高校は需要と供給の関係で、徐々に増えていっているみたいです。

で、N高って何が違うの?何がすごいの?って僕も思っていたのですが、

・通信制の高校に通う=ネガティブな選択、というコンテキストを変えたこと

・カドカワ株式会社の技術力やコンテンツの優位性を教育現場で応用していること

・本気で教育のスタイルを変えようとする、運営側の熱意が凄まじいこと

この3つかなと。

1つ目は、N高校は生徒に提供する教育プログラムを"実践レベル"にフォーカスして組み立てているらしく、全国の自治体と協力して、例えば、北海道での酪農体験から山口県でのイカ釣り漁体験、佐賀県の武雄市図書館での司書体験など、初年度で18プログラムを作ったり、授業も現場で働くクリエイターや、現役の小説家、プログラマー、個人で本を出版している有名塾講師など、そもそも教える立場の人を現場から誘致している段階で、だいぶ本気だなと。

目的意識を持っている人で、普通の高等学校でただ過ごすのは時間が勿体無いと感じる人や、スポーツなどで海外に行く機会が多く、普段学校に直接行けない人などが、N高を選ぶなどのケースもあるらしい。

もちろん、身体的な理由で不登校になってしまって、高卒認定のためにN高を選ぶ生徒もいるが、N高に入ってから居場所を見つけられる生徒も多く、それは、オンライン上でのコミュニケーションをニコニコ動画などでカスタマーサポートを担当していた方が生徒に積極的にコミュニケーションを取ったり、生徒同士の仲を取り持ってくれるとのこと。ネットコミュニティ開発部はslack以外も監視体制を敷いているとのこと。

嘘は嘘であると見抜ける人でないと(掲示板を)使うのは難しい。

という、2ch開設者のひろゆきさんの言葉もあるが、インターネット上でのテキストでのコミュニケーションは解釈の余地が大きすぎるので、最初にクラス(そういえばちゃんとチャンネルはクラスや趣味というクラスタであるらしい)に入るときは、学級員的な人が個別に連絡をくれて、同じタイミングでslackに入ってくれて、紹介をしてくれるなど、障壁を下げる取り組みは色々しているとのこと。

前提として、ネットから遠ざけるような教育は既に社会からの逸脱をより招く自体で、ネットのリテラシーを教える行為の方が重要で、そこがカドカワの強みが生かされる場面なのかもしれない。

2つ目は、ニコニコ動画自体が既に双方向性が強い、もしくは視聴者側の一体感を作りやすいサービスだったので、コメント機能や配信の技術などは、N高の授業にも多分に含まれている。

授業は事前にslackで案内され、オンラインで配信される。アーカイブも残るので、繰り返し観れたり、授業に参加できなくても、後から見ることもできる。個人の都合に最適化された環境で受けれるのが、学年制を採用している普通科の高校と明確に異なるところだ。

生徒はマイページで課題の進捗を確認して、毎月25日にレポートを提出しなければならないので、授業をサボったツケはどこかで回ってくる仕組み。

アンケート機能を使って、その場で回答を促す場合もあるそうで、回答をするとアカウント名が表示され、参加している感を出すことも、出席率を高める1つの手段である。

ちなみに、N高の本校は沖縄県の伊計島の廃校を活用した校舎で、スクーリングと呼ばれる、実際にオフラインでの指導の時間も各教科で決められているため、このようにオンラインで何となく授業を一緒に受けている仲間と、非日常の空間で一緒に授業を受ける機会も用意されているようです。

3つ目が、最も重要であると思います。

優位性や構想はできても、それを実行に移すのは、前例のないことであれば、時間がかかったり、失敗が多く、なかなか素早くは達成できないと思います。

ただ、この構想から実際に開校するまで、1年半しか掛かっていないのが、何よりも驚きで、ものすごい熱意を感じる期間だなと。

特にN高等学校の校長先生をしている奥平さんという男性の方は、小学校の教員→学習塾教師→通信制の教員→ドワンゴ社員→N高も校長先生という経歴だが、沖縄では名前は全く知られていない東京のIT企業の名前を提げ、「1年半後にあの校舎を新しい教育を育てる学校にしましょう!」を旗を上げる行動力と熱意と、本当に生徒の心情を理解するリテラシーの高さがこの事業の成功を左右したんだろうな、と勝手ながら読んでいて思いました。


色々非難もあるし、最近もN高起業部のプレゼンの件で堀江さんのコメントが話題になってましたが、教育の新しい選択肢は間違いなく示せてると思うので、引き続きウォッチしていこうと思います!



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