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ゲームにおけるHPとその他ステータス

SNS徘徊してたら、めちゃくちゃ面白い投稿を見つけた。

こちら

なるほど、確かにHPと連動して攻撃力が上がるシステムは数あれど、下がるシステムはあんまり聞かない。

直感として、「HPの減少に対して攻撃力が下がる」というデザインは良くないなーと感じました。なんでだろう。

既に該当投稿にいくつかリプライがあり、納得のいく回答もあるが、自分なりに考えてみました。

ロジカルな側面からの問題

端的に結論を出せば、ゲームバランスの理解が恐ろしく難しくなるように思う。
一般的なRPGでは、所謂攻略推奨レベル或いはパラメータが設定されていることと思う。そこでHPに連動して攻撃力が下がるとすれば、必要な攻撃力の数値に到達しているか否かの判断が極めて難しくなりそう。

次の画像を見てほしい。


公式さんから拝借しました。
世代ならおなじみの光景

ポケモンをプレイしたことがある人なら、一目して自軍が有利という判断がつく場面ですね。レベルは負けてますが、属性では有利が取れてます。
処が、HPによる攻撃力減退がつくと、当然ここに自モンスターのHP残量という要素を加えて判断をします。。
となると、相手モンスターに有効打撃を与えることができるのかわかんなくなりますね。

例えば、ポケモンの場合、素早さによる先手後手がありますから、単なる属性相性のみじゃなくて、「素早さ防御HPの相関から、カメックスがリザードンに〇レベル差があると有利が消える(ただし満タンに限る)」と言われても、こまります。じゃあ、HP半分だとレベルなんぼいるんだと。

ポケモンから少しはなれて、単純にシステムとして評価した場合、「ダメージの総量が不透明になる」というのは、結構ストレスに感じます。
というのも、多くのユーザにとって攻撃か防御(回復)かを判断選択する際に、「攻撃で押し切れるかどうか」は判断のウェイトの大半をしめます。
例えば、双方のHPは100として、40ダメージずつ与え合う状況では、攻撃と回復するかの判断はどう考えますか。
おそらく、先手が取れるならば攻撃を選び押し切ることを選び、後手てあれば倒されてしまうので、回復を選ぶでしょう。

処が、このシステムでは、次のターンのダメージが正確には解りません。双方HPの残りが60ですが、大元の体力によってはダメージが思った以上に落ち込むことがあり得ます。これがややっこしい。
仮に、此方の最大HPが200で相手は100だった場合、相手は自ターンは40の0.6掛けで24として、此方が与えるダメージは…えーっと50%出力で40だったから本来は80で、そこに現在HPの60は全体の…(ここで考えるのが面倒になった)

また、仮に相手にも同様のシステムを持ち込む場合、防御の側面から見たときにはキルターンの予測以外の煩わしさがあります。
要はこのシステム、此方が攻撃すればするほど、相手の攻撃力は下がるので、次ターンの被ダメージはこちらの現ターンの与ダメージが影響します。とすると、毎ターンのダメージから回復行動を予定する戦略。例えば、100HPに対し30ダメージを継続して与えてくるなら、2~3発もらったら回復する等の戦略は、このシステムでは相手も攻撃するたびに与ダメージが変動ため取りにくくなります。

さらに、先に書いた回復における回復量の判断もややこしい。
通常相手が与えてくるダメージ以上の回復力を持つ手段を選ぶのが常道ではあるが、どの程度であれば十分かという点に予測が立ちにくい。
30ダメージを予測して、40HP回復をしたところ、帰ってきたダメージが10だった時は何となく徒労感…。

要は、ダメージが変動することで、結果の予測が立ちにくくなりそれを前提にした読みの世界が極端に難しくなるんですね。
そうなってくると、ゲームの体験がよくなくなる。
読み切ったというより、何となく耐えきった何となく倒し切ったという体験になってしまうのは、システムとして良くないと感じます。

この状況を一言で表すと、ゲームの状況把握が簡単ではなくなる。ということになるのでしょうか。
ちょうど、長ったらしいテキストのカードが「効果の作用が直感に及ばない」みたいな感覚に近いと思います。


感情的な側面

結局、僕たちがゲーム体験で求めるものは何かという部分。

ダメージを受ける都度にどんどん弱くなっていってジリ貧に陥るヒーローをみたいわけではないし、唐突に回復して圧倒的に優位に立つ姿でもない。

僕たちが見たいもの、それはボロボロになりながらも、最後まであきらめず最後は大技で相手に勝利するヒーローでしょう。

世代的には、ドラゴンボールの孫悟飯がセルに放った「かめはめ波」がめちゃくちゃ印象的でした。

そこいくと、このシステムはどーにもかみ合わない。
最後の最後に繰り出す大技の威力が、どう考えても初手のそれよりしょぼいくなる。
なんなら、追い込まれるほどに、逆転の目が摘まれていく。


最近追い込まれて逆転の目がなかった子。

これがリアルだといえば、そらそうかもしれませんが、僕たちはゲームしてまでそんな世知辛さを体験したいのだろうか…。

逆に言えば、この辺の逆転劇を求めるからこそ「HPの減退に応じて攻撃力が『上がる』」システムは受け入れられているのでしょう。

スパロボの底力とか、ガッツはその典型ですね。
機体のHPがが下がると、攻撃力が上がる上に何故か防御力も上がる。
機体の装甲って、ダメージ受けると固くなるの???

逆に、ボスの粘りというか、そこの強さにも使われますよね。この手の強くなるシステム。
そしてそれは違和感なく受け入れられている。

実際にあるのか

実際、そのようなシステムがあるのか、あったのかと思案を巡らしたところ、類型が2つありました。
一つはスーパーロボット大戦シリーズにもう一つは、メダロットです。

少し振り返ってみましょう

スーパーロボット大戦GC(XO)

現在30年以上続いている同作の中に、HPと攻撃力(とその他spec)が連動する作品がありました
それが上記、スーパーロボット大戦GC(XO)
タイトルが2つになっているのは、GCにリリース後、Xboxに移植されるにあたりタイトルが変更されたためです。


ライジンオー初参戦

システムとしては、従来のHPに変えて、head・body・arm・legの4部位についてHPが設定され、bodyがやられると撃墜。それ以外はダメージに応じて攻撃力が下がったり命中率が下がったりする仕様でした。
実装当時は、よりリアルな設定にちょっと喜びはしたのですが…

実際やってみると、かなりまどろっこしいものでした。
特定の部位を攻撃できる、できないという細かい仕様の問題もありましたが、何より、ダメージを受けて攻撃が下がるという状況が、直感的に受け入れがたい。
特にシリーズ傾向として、高火力=高耐久&低回避という図式が顕著なので、高火力ロボットが雑魚敵に削られてボスに辿り着くころには攻撃力の最大値が10~20パーセントほど落ちてるとか…

作り手側も失敗と判断したのか、以後の作品ではお目にかかることがなくなったシステムでした。

メダロット

ダメージごとに機体の性能が下がる作品といえば、メダロットを思い出しました。

正確には、ダメージを受けて部位を破壊されるとその武器が使用不能になるというシステムなので、元の投稿が示唆したシステムとは少し状況は異なります。

このゲーム小学生当時やってたのですが、部位が破壊されてスペックが落ちることに対してそこまでストレスはなかったんですね。

というのも、システム的に頭部が破壊されたら終わりなので、頭部でなくてよかったという思いの方が先行してました。
さらに、脚部やられると目に見えて不利益だったのでこれはやばいなと思いながらプレイしつつ、その状況からでも、相手の頭部一発で逆転が出来たので、その辺に祈りを託して遊んでたのでしょう。

掘り下げてみると、スペックが落ちた=劣勢表現になるので、そこから一発逆転の要素さえ見えていれば、それ自体はエッセンスとして消化できなくはないということでしょうか。

この辺は、大人の今になって遊んでみないとわからない部分もあるので、今度買ってきて遊んでみようと思います。

終わりに~HPという概念~

ごちゃごちゃ書きましたが、結局ゲームの歴史上長く採用されていないシステムにはそれなりの理由はつけられるという話。

ただ、この話を掘り下げている中で少し気になったのは、作り手はHPという概念にどこまで表現を取り入れているのだろうかということでした。

つまり、シンプルにバイタルという意味合いでしかないのか、疲労や裂傷といった戦闘コンディションの悪化までを表現したいのか、それともなんとないただの数値でしかないのかです。

むかしむかしのドラゴン討伐のころは本当に管理できる数値が少なく、同様に表現できる幅も限りがありましたが、現代のゲームではその気になればスタミナを実装できますし、それに関連したバフデバフも思いのままです。

ゆえに、今のゲーム環境において改めて、HPとはというものを見直す機会があってもいいのかなと思いました。



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