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#31 Field of view「突然」は「心に染みる」曲なのか?

「最近、心無い人が増えた」「この頃の映画は心に残らない」。「心」に関する感想は色々ある。タイトルの通り突然ではあるが、今回はある年代の方々にとっては懐かしのバンド、Field of viewに関する記事である。この曲はサブスク配信がされておらず、YouTubeで聴く人が多いのではと思われる。コメント欄に目立つのは、このような感じの内容だ。



「色褪せない名曲」
「今このように心に染みる曲はない」
「懐かしい気持ちになる」

「Field of view 突然」YouTubeコメント欄


自分がこの「突然」を知ったのはTikTok。ボーカルの方の衣装がかっこよく惹かれる。そして、TikTokでもこういったコメントが占めていたように思う。では本当に、「突然」は「心に染みる」曲なのか。またそうだとすると、現代には「突然」のような「心に染みる」曲はないのか。


「突然」の特徴

1秒目、ブレスから始まるサビで一気に掴まれるこの曲。右耳から聞こえるのはマンドリン?の優しい音色。ドラムには常に強いリバーブがかかる。歌が始まる前はマーチング。

歌が始まるとウェットな高音で歌うボーカルが曲を引っ張る。小室進行。Bメロは見事な王道進行と、メロディの下降音形が美しい。

小室進行の変形のようなサビは、サビが始まった所からまた新たなストーリーが始まりそうなワクワク感がある。王道進行でシメる。

アウトロは「終わりなき旅の終止」からのマーチングで締める。


...凄まじい力のある曲...

「突然」は時代を超えて、相当なトップレベルの「作り込み」である。ある種、今このような曲がヒットチャートにないのも仕方ない、のかもしれない。


「突然」は本当に心に染みるのか?

「心に染みる」曲というのは曖昧な表現ではあるが、このように解釈すれば理解出来る。青春時代、独身時代、働きはじめた時代、なんでも良いのだが、その人が多感だった時代に流行した、時代を象徴したスタイル。そのスタイルを背負った曲。これは確かに人の心にストレートに刺さってきて、当時の心情をプレイバックさせるような効果があると思われる。

ある人にとってはシカゴであり、ある人にとってはクイーンなのかもしれない。現代人ど真ん中の心情とはちょっと違うのだろう、こういった曲は現代では流行っていない。


現代の「心に染みる」候補曲

こういう目線で考えるとどうだろう。「突然」を聞いていた人達がいま思うこの感傷を、現代の若者が30年後に感じるのはどんな曲だろう。「心に染みる候補曲」を考えてみよう。

例えばMy First Storyの「I'm a mess」はだいぶ「突然」に近い路線だ。まずはじめブレスで始まるし、堂々たる小室進行サビで、サビにストーリーがある。

この曲は直接的な恋愛の曲ではないため、「突然」ほどのエモさはないのかもしれない。


次に推したいのが、ちゃんみなの「Never grow up」だ。一聴すると雰囲気はだいぶ違うかもしれないが、まさにこれがY2K世代にとっての「突然」のリバイバルであろう。時代をまとったアレンジと小室進行のミックス。

コメント欄ではやはりこんなコメントが見つかる。

「この曲を聞くと学生の時に付き合っていたたぶん人生で1番好きだった彼の匂いや声、当時過ごした場所を思い出して、胸がギュッてなります」

YouTube

これぞ「心に染みる曲」の特徴である。


やはり「突然」とだいぶ時代が変わったなと思うのは、特にボーカルだろう。この記事のために色々と曲を聴いてみたが、「突然」のようなボーカルの曲はほとんど見つからない。現代はともかく「ウィスパーボイス」の時代であるようである。


ともかく、どんな世代の人にとっても「心に染みる曲」はいつか現れるといえるかもしれない。


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