見出し画像

そもそも「プロクラブ」って、なんだ?

昨日のテキストについて、仕事でも大変お世話になっていて、また日々クラブやアカデミーの方向性を考えるときに何度もそのご著書に助けてもらった、佐伯さんにコメントを頂きました。

(「教えないスキル」に関してはまた別途。必読です。)

「プロクラブは、つくるものか。成るものか。」

持論結論からいくと、本質的には社会が、地域が、ファンが、つまり他者がプロであると認めるかどうかが肝要だと思っているので、なので「成っていく」ものなんだろうな、と。

ただ、プロクラブである以上は、もちろんクラブは公器でありコミュニティでありシンボルでもあるとはいえ、組織自体に明確な主体と意思があるべきだと考えてるので、その意味においては、つくって行きたい、とも。

フィロソフィーやビジョンをもって試行錯誤を繰り返し、仲間を増やしながら「つくる」過程で、多くの人に認めてもらって「成る」ことができたら最高です。

一方で、より具体的にそもそもプロクラブってなんだ?と考えたときに、一つの指標としては「プロリーグに所属するクラブ」という定義はあるかもしれません。

昨年の9月に、日本でも初となるプロの女子サッカーリーグ「WEリーグ」が開幕しました。現在そこに所属しているのは11クラブ。Jクラブの女子チームや、企業スポーツ的チーム、女子単独チームなど、様々です。(あくまで外からのイメージ的な言及です。精緻にはとてもではないけどこんなカテゴライズはできないことは承知しています。)

どうしたらWEリーグに参入できるかというと、求められる選考基準は多岐にわたるものの、プロ選手の保有条件にある、「プロA契約(年480万円以上)が5人以上、プロBC契約(年270万円以上)が10人以上」という部分が、一番わかりやすかもしれません。そこに監督などのスタッフ人件費、チーム運営費用、プロの興行を開催する費用、その他原価などが加わっていくと、ミニマムでも男子のJFLやJ3の平均より少し下、他競技だとB2クラスの事業規模が必要になってくると算出できます。つまり財務基盤。

大和シルフィードでも、まずは事業規模で1.5億〜2億円を中期ターゲットに置いていますが、第2期予算計画上ではまだその1/3を越えられるかどうか、2/3までは迫りたい、というのが状況です(それでもスタート時に比べると、スポンサー収入は2倍以上になっており、支えて頂いている企業や多くの方への感謝しかありません)。

そしてそのGAPをどう埋めるかというと、残念ながら1試合の観客数が1,000人に満たない中でチケット収入には見出せない(もちろん、その固有性が原資にはなり得る。そのことはまた別途)。放映権収入もグッズ収入も難しい。となると、例えば1億円のビッグスポンサー1社と契約するのか、100万円のスポンサー100社と契約するのか。クラファン型やトークンなどを含む多様な資金調達を実現させるのか。新規事業を回すのか。その全てか。

その全てなんだと考えていますが、戦略上の「順番」をどうしていくか、換言するならば何をメインに売っていくかの順番は、悩みが尽きませんし、日々修正の連続です。どのマネタイズ方法であっても、提供すべき対価やプロダクトが必要であって、時にそれは「夢」かもしれないし、具体的な目に見えるサービスかもしれない。でも、どんな形の価値であっても、その根源には必ず我々のビジョンである「トリプルコミットメント」を置きたい。魅力的なフットボール→最高のサポーター→社会的影響力、でも、社会的アクション→共感したファン→フットボールの成長、でも、どんな回り方でも良いのですが(というか正解は分からない)、その部分での主体性を見失ったら、それは例え事業規模が満たされたとしても、やはりプロクラブと呼ばれることはないのではないでしょうか。

冒頭のタイトルに戻ると、そのクラブならではのフィロソフィーを軸にした主体と意思を持ってアクションやマネタイズに結びつけられる集団であること。その結果として、一定の事業規模に達していること。

そんなプロクラブをつくって、プロクラブに成っていきたい、です。

オオタワ

(プロの女子サッカークラブって、どうやってつくればいいんだろう。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?