「人狼ゲーム マッドランド」を観て

※ネタバレ含みます。


前に観た人狼ゲームの映画とテイストが似ていたので、多分同じ制作会社?だと思う。今回は、人狼一人と占い師・用心棒が一人ずつ、そして残り全員が、人狼側チームの狂人という狂人村だ。最初は直観的に人狼側が有利なように感じるが、人狼と狂人はお互い特定できないという性質を考えると、これはこれで均整がとれているのかもしれない。

自分が友達と人狼をやっている時のことを思い返しても感じることだが、あのゲームにおいては自己理解の精度というものが重要になるように思う。口がうまかったり、頭が良かったりという、一見人狼ゲームに有利そうな特質を持った人間が割と序盤で死んだり、大人しそうな人間や臆病そうな人間が結構終盤まで生き残ったりする。人生全般についても思うことだが、最後に残るのは自分にできるのできないことをよく知り、他者に対して採長補短のスタンスを取れる人間なのかもしれない。

話はそれだが、初夜に誰を処刑しようかという話が始まる。だが、このゲームは狂人村で一般的な人狼とはセオリーが違ってくる。占い師など出るはずもなく、むしろ人狼が率先して名乗り出るという奇妙な状況だ。「狂人村」という言葉は、人狼界隈?では結構一般的なものなのだろうか。

人狼が二人名乗り出ることになった。このうちの一人の男が、顔は悪くないように見えるのだが、俺様で嫌なやつだ。やたらと他人に命令したがり、支配しようとする。結局人狼二人は残しておき、他の一人が処刑された。

死に様に人間の本性が出ると思うので、そこの場面の演技は見所だとは思うのだが、グロテスクで嫌なので飛ばしてしまう。もったいないことをしているのかもしれない。そういえば小学校の頃の、人の内臓の映像?なんかも見ていたら気持ち悪くなってきて保健室に行ったりしていた。

夜が明け、誰も殺されなかったのだっけか。多分用心棒に守られたのであろう。この辺のゲーム展開はあまり正確に記憶していない。それよりも、人間ドラマの方に興味があるのかもしれない。死に引かれている部分もあるかも。

俺様の横暴さがエスカレートしていく。他の男に靴を舐めさせたり、土下座させたりしていた。だがのちに、占い師によって彼は人狼ではないことが判明する。狂人からしたら、人狼として名乗り出るのは自分が処刑されたり殺されたりするリスクを減らせるうまい一手に思う。嫌なやつだが、結構賢いやつなのかもしれない。

中盤で、用心棒の主人公と、占い師がつながる。村人が四面楚歌で、人狼と狂人ばかりの村なんていうのは考えてみれば地獄のような状況だが、もしかしたら現実にもこんな社会はあちこちにあったりするのではないかとも思った(いじめが蔓延るクラス・会社とか、、)。だがそれだけに(?)二人の村人側の女は強い絆で結ばれることになり、占い師の女が殺される時も、死の直前に用心棒の主人公の立場を良くするための工作をして死んでいった。

この作品を観ながら、信用と信頼の違いについて考えたりもしていた。最初のうちは、二人は利害関係で結ばれているのだから、連帯・協力するのは当然だと思っていたが、最期まで相手を思いやる姿には、信用よりも大きなものを感じ、この無惨なゲームの中で彩りのある関係を感じた。

結局この工作が生きて、主人公は最後の一人になるまで生き残ることになった。高校野球の監督が、人は他の人を思って何かをやるときに、存分に力を発揮できる、みたいなことを言っていたが、そのようなことが起こっていたのかもしれない。

金のために他人の命を奪い合うという残酷なゲームだが、その中に、自分を知り、他の人と協力する、という人間として本質的に価値がある(?)と思えるようなことも感じ取らせられる作品だった。


感想いただけると嬉しいです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?