ミックスダウンの悩み解決!ケンカしないキックとベース 〜Logic Pro X でのミックスダウン〜
はじめに
ミックスしているときにキックとベースがケンカする人〜
筆者は「パンク!パンク!」といっておきながら、HipHopのぶっといキックが大好きなわけでして、よくキックとベースがケンカします。
打ち込みであれば、キック鳴っているときにベースを外せば良いですが、バンドだと難しいし、今回のようなハードコアなトラックだとまぁカブりますよね。
曲のイメージ ※飛ばしてもOKです
今回の曲は「今日、狂。明日、凶。」という凶悪な言葉のフレーズを思いついたことでした。
京極夏彦の「ヒトごろし」か別の新撰組の小説読んだときに、芹沢鴨の描写に狂気を感じていて、最終的には暗殺(まさに凶)されたのが鮮明でした。
その狂気から凶に向かうのをイメージしたときに、心拍数高め=BPM速めの4つ打ち、狂気は歪んだギターかなーと思いまして、デジタルハードコアだなという結論に達しました。
私の中でデジタルハードコアといえば、Atari Teenage Riotです。
二言目に「デストローイィ!」とシャウトするアレックエンパイアが好きなわけです。
パクろうとしてもパクれない才能に恵まれている(単純に技術力不足でパクれない)ので、Atari Teenage Riotっぽいことをしようと思い立ちました。
私の頭の中で、京極夏彦と新撰組とAtariTeenageRiotが融合しました。
音ネタ作り プリプロダクション
(これは別の記事で詳細を書きます)
最近、KORGのGadget2がお気に入りで、iPadで遊んでいます。
ノリだけで音を重ねてから、1音ずつオーディオインターフェースから出力し、マイクプリアンプ(ART StudioV3)を経由して、DAWに取り込んでます。
ファイルで連携した方が便利ですが、デジタル臭を可能な限り消すのが目的です。
Logic Pro X Vintage EQシリーズ
いつの間にかLogic Pro XにVintage EQ Collectionなるものが追加されました(疎くて気がつくのが年単位で遅い…泣)。
このEQは過去の名機(下記)をシミュれとしているそうです。
・Vintage Tube EQ - Pultec EQ-1AとMEQ-5
・Vintage Graphic EQ - API560
・Vintage Console EQ - Neve 1073
Logic Pro XにはChannel EQがあるのですが、音の調整時にカットするときには便利ですが、攻めのEQ・音作りのEQではありません。
Vintage EQ Collectionは攻めれますね。効きかたがぐっときます。ぶいぶいいわせます。よだれがでそうです。
サンレコで、海外のミュージシャンやエンジニアが「日本人は低域を切りたがる」とおっしゃっていて、「何をー」と思いつつも「確かに俺も切るな」と思っていました。
キック
エフェクターの順番は下記の通りです。EQで攻めて、コンプで潰します。乱暴です。
1. Vintage Tube EQ
2. Comp Studio FET
1. Vintage Tube EQ
早速、Vintage Tube EQを使います。
上の段で低音域の60Hzをオーバイコライジング(過剰に)しました。逆に高音域は何もしていません。
60kHzは耳で聴こえない音域ですが、やはり体で感じる部分が違います。ヘッドフォンで聴くと、鼓膜が揺れる感じがします。
下の段は200kHzあたりを少しブーストしています。
アウトプットはDRIVEで少し歪ませ、モデリングはSilkyにしました。
この辺は好みです。
ボリュームは、ミキサー のボリュームを0にしたときに-9くらいになるように調整しました。
攻めたぶんボリュームをだいぶ下げました。
2. Comp Studio FET
正直コンプは感覚だけで扱っていて、正解がわかっていません。
この曲はBPMが164と速いので、スピード感を損なわないようにアタックとリリースを気をつけました。レシオは4:1くらいで全て勘です。
スレッショルドだけは-3を超えないようにしています。
サイン波(キックの補正)
キックの補正というか、減衰部分の補強のためサイン波を入れます。
音源はKORG Gadget2 Tokyoのサイン波です。
エフェクターの順番は下記の通りです。
1. Comp Studio FET
2. Vintage Graphic EQ
1. Comp Studio FET
キックとサイン波が変に被らないように、インプットをキックにしてサイドチェインコンプを入れます。
アタックが強すぎたので、ATTACKを0にして頭を潰してます。
2. Vintage Graphic EQ
キックの補強なのでキック聴きながら調整します。
キック ステムミックス
キックとサイン波のアウトプットにバスを選択して、1つにまとめます。
そのとき、まとめたトラックのボリュームを-9くらいにします。
筆者はキックのボリュームを-9くらいと決めてます。
このようなトラックをまとめる手法をステムミックスといいます。
2つのトラックに同じようなエフェクトを入れるときに便利です。
ベース
すっかりVintage EQ Collectionが気に入りました。ベースにはVintage Graphic EQを使います。
エフェクターの順番は下記の通りです。
1. Vintage Graphic EQ - 攻めEQ
2. Comp Vintage Opto
3. Channel EQ - 守りEQ(キックとのかぶりを防ぐためのカット用)
1. Vintage Graphic EQ - 攻めEQ
キックは60Hz-100Hzと200Hzあたりを強調しているので、ベースは100Hz-200Hzくらいが目立つようにしました。
Channel EQの波形を目で観て、耳で聴いて自分好みにします。
2. Comp Vintage Opto
普段スレッショルドの調整をするときは-3を超えないようにしていますが、サンレコか本でオプティカルコンプの場合、-10くらいは原音を崩さないと書いていたので鵜呑みにしています。 笑
ぶっ・わー感を出るようにしました。わかりますか?
3. Channel EQ - 守りEQ(キックとのかぶりを防ぐためのカット用)
キックとの棲み分けをしたいので、Channel EQでも低域を削ります。
ベース中音域
ベースをなぞるように歪み(中音域)が欲しいので、補強します。
速い曲なのでコーラスで厚みをつけてもあまり意味がない気がしますが、なんとなく薄く入れます。理由なんて不要です(なぜか強気)。
エフェクターの順番は下記の通りです。
1. Vintage Graphic EQ
2. Channel EQ
3. Retro Chorus - Pedalboard(今パクトエフェクター のシミュレート)
1. Vintage Graphic EQ
ベースを聴く&波形を見ながら、中音域を目立たせます。結果的に1.0kHzを少しだけあげてます。原音が中音域が多めだからです。
逆に低音域はカットします。
2. Channel EQ
さらに低音域をカットします。
3. Retro Chorus - Pedalboard(今パクトエフェクター のシミュレート)
完全に趣味です。
ベース ステムミックス
ベースもキックと同様、ベースと中音域追加ベースをステムミックスします。
ベースはベースでバランスをとり、ベースステムのボリュームが-12を少し超えるくらいにします。
個人的にはキックに対して、ベースが少し小さめに聴こえるくらいがちょうどいいです。
ローパート ステムミックス
キックとベースのステムをさらにローパートとしてまとめ、ボリュームは-6いかないくらいにします。
最後に溶け込みリバーブで、キックとベースを「同じ場所」配置します。
この曲は冒頭で書いた通り暗い曲なので、狭い部屋(洞窟?)にいるイメージです。
これをリバーブで表現します。
ローパートから、プリフェーダーでバスに送り、送り先のトラックでリバーブをかけます。
ChromeReverbのDark Roomを使いました。Attack, Size, Density, Decayを好みにしています。
バス送りにする場合のリバーブはDry 0%, Wet 100%にします。
最後に
家で爆音出せないので、残念ながら低音は勘です。低音域はヘッドフォン(AKG K271 MK2)頼りです。
音だけでなく、鼓膜の揺れを感じながら自分の感性を信じます。
きっと大丈夫(爆音でチェックしたい〜)
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