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120%での復帰に必要な条件

これまでのnoteでもお伝えしてきたように、
私は理学療法士としてスポーツ整形に勤務しながら
バスケットを中心に現場でトレーナー活動を
香川に帰るまで神戸で活動してきました。

クリニックへの依頼でサポートを開始したプロバスケの
現場以外、はじめに行った女子高校バスケチームとその後に
関わり始めた実業団女子バスケチームへはACL損傷を防ぐ為に
どうすればよいか模索する為に現場へでていました。

クリニックで担当するACL術後選手の大多数が女子バスケの
選手達であり、彼女達を元どおり以上のパフォーマンスで
復帰を目指させることは必須課題でありました。

※この膝の写真だけでいつ頃どんな状況で怪我して、復帰後にどのような症状で悩んでいたか手に取るように思いだせます。(2009年頃にリハビリした最初のサポートチームの選手)


また対戦相手であっても現場で復帰後の選手の
状況を動画で撮影したり指導者・チームトレーナーから得られる
情報などはクリニックに勤務しているだけでは把握することは困難であり
有益な情報の多くが現場にあったのです。
(おかげで他校のトレーナーや指導者の方とネットワークは構築できるようになりました。)


クリニックでのリハビリ時に動作がスムースであったり
可動域、筋力、筋持久力など復帰を目指すうえで
申し分ない条件にみえても現場では思うようなパフォーマンスを
発揮できない選手も沢山みてきました。

今回はACL損傷と女子バスケの現場を通して感じた
120%で復帰する為の条件について第一弾としてお伝えしたいと思います。


まず私が最重要視しているポイントは

《受傷原因を本人が納得できるレベルで最低5つ、理想としては10個抽出し可能な限り全てを復帰までに解決する》


一般的には筋力低下や股関節の可動域の低下など、
様々な要因がありますが、受傷した前後の時系列や
過去の受傷歴から本人が不幸にして受傷したのではなく
多くの要因が重なり結果的にこのタイミングで必然に
怪我してしまったのだ。


そう認識してもらえることが重要となります。


なぜなら受傷前にはその膝には痛みも違和感も感じていない
状況で受傷することが多く、膝だけを違和感のない状態に
戻してもほとんどの場合原因は解決できておらず、
120%での復帰は難しいのです。


ではどういったことが原因となるのか?
その一例をご紹介します。


以下は全てこれまでの術前から完全復帰まで関わった
500例近くの選手達に実際に起きていた状況です。

・反対側の足首の捻挫で練習休止後、復帰してすぐ受傷
・同側の股関節に硬さやあり詰まり感があるままプレイしていた
・慢性的に腰痛を抱えていた
・生理中練習できないほど体調不良になる選手の生理直後の練習試合で
・同側のシンスプリントに悩まされていた
・かかとを床につけてスクワットできないほど両側の股関節、足関節が硬かった
・雨の日でディフェンス時足を滑らせてしまった
・スクワットで太ももの前側の筋肉を積極的に強化していた
・体幹の柔軟性がない状態で斜め後ろからのパスを前方に進みながらキャッチして受傷(左膝受傷で体幹の右回旋が硬かった)
・動きがよくいつもなら倒れそうな局面でストップ、着地できると思い強引に片脚でジャンプ着地をした。
・試合目にシューズの紐が切れ、縁起が悪いなと思いながら試合に臨んでいた。
(マイナスに捉えるような私生活での悪い出来事も重なっていた)

他にも無限に沢山ありますが、上記の一例からも
これが受傷の要因になったと本人が認識できればいずれも
身体環境や認識の仕方によって改善の余地があったものばかりかと
思います。

今回私が伝えたかったことは。

元以上のパフォーマンスにして復帰させるということは

決してリハビリで強靭なフィジカルを手に入れて復帰することだけでなく

受傷したとき(厳密には直前だが)

の状態が100%だとしたら

そのとき問題であった部分(もちろん受傷と結びつく要因)
を解決し復帰させる。

このことが120%での復帰の条件として

まずは重要であると考えます。

そしてまた後にも述べていきますが

そういった問題を解決していく

地道な原因探求の作業こそ

ルーティーン化したトレーニングだけでは防げない

再受傷の予防において非常に重要な観点となるのです。


そして、受傷前の状態を誰よりも知っている選手たちは

足首の硬さが改善され

股関節の柔軟性を向上させる術をみにつけ

脊柱が自由自在に使えるようなると

膝への負担はおろか、自身がこれまでよりも

動きやすくなっていることを自覚しプレイする楽しさを

これまで以上に満喫できるようになるので。

それが過信に繋がらないようには細心の注意が必要ですが。

受傷要因を解決するということは

膝への不安を拭い去るだけでなく

精神的な強さを身につける大きな武器へと繋がるのです。

この辺りについてまた明日以降、お届けいたします。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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