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The Beatles Soundの作り方?(DAWネタ)UAD V76 Preamplifierやテープレコーダーシミュレーターについて

こんな記事を書いて読でくださる人がいるのかわかりませんが(笑)。

ビートルズのカバーやコピーのアプローチは色々かとは思いますが、私の場合は、「質感を再現するのも面白いな」と思って、当時、彼らが使っていた機材のエミュレーションプラグインなどを使って色々やっています。それについて書いてみます。

※良かったらですが、うちのチャンネルのビートルズカバーの再生リストへのリンクを貼っておきますので、こちらを聞きながら(映像はともかく音だけでも)読んでいただいても良いかもしれません(笑)。

うちのバンドでビートルズの曲をやる場合、ほぼ毎回使っているプラグインの一つがUADのV76です。これはマイクのプリアンプでして、こいつはまずだいたいの場合、使っています。

本家でもおそらくアビーロード以外のアルバムではほぼつかっているかと思わるのがこの機材でして、UADのは例によって、これをエミュレーションしたもので、なかなかの音です。

私がメインでよく使っているマイクはPeluso 22 47 LEですが、これもNeumannのU-47をベースにしたSoundです。このマイクはビートルズのお気に入りだったとのことで、彼らのほとんどのレコーディングで使っているそうです(このマイクはビートルズ再現用というわけではなく、音楽的なマイクで妻の声にも合うし、いいなと思って購入したマイクですが、それがビートルズ再現時に結果的に有利になったというか…笑)。

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ということで、この組み合わせで行けば、結構、ビートルズの音にも質感を近づけることができるかなと思い使っています。

記事としてはビートルズマニア向けに「ビートルズサウンド再現道」などと銘打てば面白いのでしょうが、私は、ビートルズは若いころから好きですが、とてもではありませんがビートルマニアではありません。

それに音質的なところで言えばもともとビートルズの音については、いわゆる良い悪いで言えば「音質悪!」って思っているほうです。ついでに言えばEMI系の音は、クラシックも含めて「音悪いな」という感想の持ち主です(笑)。

ただ、ビートルズのアルバムの音については、それが音楽として作品の質とは別のところで強く影響していて、やはりあの音であってこそ「ビートルズの音だな」と思うところがある感じです。ですので、それを再現してみようかと思っているわけです(人によってはどうでもよいことなのかと思うのですが)

ということで、その音質も含めて当時のサウンドとして脳裏にすりこまれているわけで、質感の制御はすごく重要なファクターだなと思っています。

要するに、オーディオマニア的な観点から言えば「音が悪い」とは思うのですが、ビートルズの再現という観点で言えば「避けて通れないし、今となってはあの音でないとなんかしっくりこない」みたいな感じでしょうか(笑)。

ビートルズ関連の本はエメリックさんの本や、ジョージ・マーチンの本、その他、「英国レコーディング・スタジオのすべて 黄金期ブリティッシュ・ロックサウンド創造の現場」(この本は大変面白かったです)などを読んでいましたので、ある程度の基礎知識もあったので、持っている機材を使って、質感も含めて再現を試みているといったところです。

というか、これは長くなるので次回に譲りますが、この「音が悪い問題」は、別にビートルズが悪いのではなく、当時のイギリスはアメリカの商用スタジオと比較した場合、機材面ではだいぶ遅れていたことがわかってきてます。

<UAD V76を利用する>

まず初めに書くと、決め手の一つはプリアンプかなと。

それがこのUADのV76のプリアンプの利用です。

コンプレッサーは曲に応じて色々なものを使いますが、ビートルズをやる場合このV76はほぼ確実に使っています。

マイクでの利用は当然としつつ、ほぼ全部の楽器のインサートにこれを入れてます。

<V76のマイクでの利用時の設定>

で、設定ですが、歌の場合、プリセットの「V76 Fab 4 Vocal」を読み込んで、それを軸に曲に合わせて調整して使います。まぁ、これは見る人が見ればすぐにわかる名称ですね(笑)

そのままだと曲によってはイメージが合わないので、レベル突っ込み気味の設定なども作っています。そうすると「あの音」に近い感じになったりして面白いです。

<録音した部屋の質感のコントロール>

後、その後段には、必要に応じてですが、EQを入れたり、コンプレッサーを差し込み、最後にWavesのJ-37UADのStuder A800を個別Channelにインサートして、再現を試みています。

後はよくやるのが、Effect用のグループBUSを創っておいて、AUX SENDでUADのOcean StudioWavesのIR-Lなどに出力してスタジオの反射を創ります。以前の記事でも書きましたが、うちの場合、自宅防音スタジオがありますので、基本、デッド寄りで録音しておいて、これらのスタジオの部屋を再現するプラグインを使って、部屋の雰囲気などを再現を試みています。


<Reverb PlateReverb>

これに加え、WavesのAbbey Road PlatesかUADのEMT 140を使ってPlate Reverbを差し込みます。

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後は、WavesのIR-LのPlateReverb辺りを使うこともあります。

余談ながら、UADのCapitalのチャンバーReverbも持ってますが、あれは残響が長いのであまりつかっていません。

チェンバーを使っての残響再現は今後、また研究してみようかとは思っています。

そして、これら空間系のサウンドをまとめたBUSを創って、場合によっては、そこにもテープシミュレーターなどを差し込みます。

<Vocalのダブルトラック録音 あるいはADT処理>

後、大切なことを書き忘れていたので追加で書きますが、Beatlesのボーカルの処理で忘れてはならないのが、「ダブルトラック」録音、あるいはそれをテープで再現したADT処理です。

これはアルバム的にダブルトラックをやっていた時代のものはダブルトラック録音し、それ以降のADT処理時代のものはWavesのADTのプラグインを使って再現しています。

ここまでやると、だいぶ、それっぽい音になると思います(笑)。

<ギターの場合>

ここはギタリストの方の参考になればよいのですが、ギターの音をギターとアンプだけでああいう音を再現できるかといえば、これはかなり難しいと思います。

なぜなら通常のレコーディングでは、ギター+アンプでああいう音になっているわけではないからです。DAWに慣れている若い世代の人はともかく、私(アラフィフ)世代のギタリストの多くは、割とその辺りをご存じない方が多い(あるいはイメージがしずらい)のかと感じるところはあります。

まぁ、それもあるので、少しまとめると通常のレコーディングでは、ギター、アンプ(私の場合多くは、Fractal Axe FX2XLVOX AC-15AC-30を利用してます)、マイク、プリアンプ、EQ、コンプレッサーを経由して「レコーディングの音」いわゆるレコードの音(当時はレコードですので)の雰囲気をだしてみようと思っています。

※脱線しますが、レコーディングの音というのは大抵こういう形で処理された音ですので、よくある「原音再生」という言葉は、ある意味、私の中ではほぼ無意味な言葉です(使われ方のニュアンスとして「生」とか「ライブ」とかそういう意味合いで使われていることが多いので、これがMasterに近いという意味ならそれはあっても良いかもしれませんが)。クラシックだとそれがあるのかという話もありますが、カラヤンのレコーディングでもその辺りは意識されていて、そういう意味ではクラシックと言えど、録音された音は「処理された音」なので、この言葉はあまり意味がないと思います(笑)。まぁ、彼の場合、クラシックでは少し例外かもしれませんが、それでもよくイメージされているような「原音再生」ってのはあり得ないというか。まぁ、それが「生」とか「ライブ」とかと「同じ音」いう意味では特にそうですね。

話を戻しますが、私の場合、手持ちのギターで彼らがよくつかっていたものに近いものとしては、Gibson 335を使います。リッケンバッカーやグレッチ、エピフォンカジノは持っていませんし、それを買う予定もないので335で代用しています。

他、中期以降は意外にStratocasterを使っていたりもしますので、そこは色々試して見て335以外をつかうこともあります。

まぁ、ここは機材の話でまとめてますが、後は、弾き方のニュアンスやピックなんかも影響はしますが、それは横に置くとして、機材の関係でまとめるとこんな感じでしょうか。

ベースやその他の楽器については長くなるので割愛しますが、だいたい似た感じではありますかね。

<Master BUSでの処理>

そして、最終段のマスターバス(Master BUS)にはUADの「AMPEX® ATR-102 MASTERING TAPE RECORDER」を差し込むことが多いです。設定は「type 111 75ips」辺りを軸にして微調整して使うことが多いです。

これでアナログの質感のシミュレーションをしています。

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AMPEX® ATR-102 MASTERING TAPE RECORDER

UADのStuder A-800も使いますが、こちらは個別Channelでのインサートの方が合う印象はあります。こちらのアンペックスのはトータルにかける方が効果的な印象があります。あくまで個人的な感想ですが。

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このATR-102は1976年のものらしいので、サウンド的には少し時代の差があるのですが、音は良いですし、質感のコントロールはしやすのでこれを使っています。

オープンリールのレコーダーの機材のプラグインはWavesのJ-37も持っていますし、これこそまさにアビーロードの機材なんでしょうが、どっちかというとUADのアンペックスを使っています。

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この辺りはいわゆる「汚し系」のSoundのための機材とも言えますが、クラシックロックをテーマに録音する場合、大変重宝する機材です(笑)。

私自身はソフトシーケンサー時代含め、PCでの音楽制作をもう20年以上色々やってきましたが(趣味、仕事含め)、初期のDAWは分離の良いデジタルSoundが売りでしたが、クラシックロック系をやるならUADの機材は手放せませんね。

Digital系のSoundのまとめかたにもこつがありますが、アナログ系でのまとめかたや質感のコントロールもまた、味があって面白いですね。

<Mono Mix or Stereo Mix> 

ビートルズの場合、ここは重要なところなんですが、Mono Mixで仕上げることもありますが、Stereo Mixにすることもあります。ただ、Stereoの場合は、さすがに「再現」ではなく、自分なりのミックスにしています(笑)。

理由は、オリジナルはともかく、「ちょっとあれを現代でやるのはなと」思っているからです(笑)。

この記事を読んで、「どれどれ」という感じで興味を持っていただけるのでしたら、以下を見て頂けましたらと思います(一部海外の方とのコラボレーション動画については、そちらの方が各自で録音していますので、マイクはあれですが、それでも私がミックスしているのでこの法則はある程度あてはまっています)



最後に、今、次回か次々回くらいにアップロード予定なのですが、今、イギリス人のAlexとThe Beatlesのペーパーバックライターを制作途中です。ここでも、ギターには同様の処理をやって、音の再現を試みています。

まぁ、こんな記事、読んで面白いと思う人がいるのかわかりませんが、書いてみました(笑)。





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