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脳の神経に巻かれた絶縁体ミエリンは、考えられていた以上にダイナミックで複雑

Myelin - Wikipedia

そもそもミエリンって何?

神経が情報伝達する際には軸索(Axon)を通じて電気信号(電気的興奮)として情報を伝えます(神経細胞同士の間は主に化学物質が情報を伝える)。

軸索はミエリン(髄鞘)という絶縁体で覆われていて、電気信号としての情報が伝わりやすくなっています(自律神経は無髄)。

多発性硬化症はミエリンが原因

この絶縁体であるミエリンが壊れることで起こるのが多発性硬化症です。

ミエリンの状態と情報伝達のスピードの関係

前提が長くなりましたが、今回のWhy Our Brain Wiring’s Insulation Mattersという記事で紹介されている研究はミエリンの状態(厚さや数)と情報伝達スピードを調べています。

まず、新しいMRI(磁気共鳴画像法)技術でミエリンの状態(厚さもしくは数)をより正確に把握します。

その後に同じ被験者に対して、TMS(経頭蓋磁気刺激)で脳を刺激することで脳内において電気信号がどの程度のスピードで伝達するのか計測します。

ミエリンが多い(厚さもしくは数)被験者ほど、脳の異なる領域間における電気的な接続が強くなることが分かりました。

うつ病治療の効果や脳のメカニズム解明など、様々な応用が期待される

うつ病の治療にはTMSも使われますが、TMSの効果は人によって異なります。もしかするとミエリンの状態が違うことによって、効果に差が現れているのかもしれません。

既にピアニストと一般人で、特定領域におけるミエリン(白質)に差があることが分かっていますが、今回の研究のように伝達スピードも調べることで、さらに色々なことが分かってくるかもしれません。

【龍成メモ】

ミエリンの成分の多くは脂質です。脳の中で神経細胞が集中していて軸索も多い部分は脂質によって白く見えるため(ピンクがかった白色)、白質(White Matter)と呼ばれています。

Matterという単語自体は、ご存知の通り英語で"It does matter"のように動詞として「意味がある」とか「価値がある」という文脈で使われます。

そうなんです。紹介した記事の "Insulation Matters" という部分は、白質が英語ではWhite Matterであることを使ったオヤジギャグなんです。。。

ちなみに、Insulationは絶縁という意味で、ミエリンのことを指しています。

#ミエリン #TMS #うつ病

Photo by Gokhan Tek

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