見出し画像

車に子供を置き去りにしてしまうのは何故か?

How the Brain Forgets: When Memory Lapses Become Fatal という論文ニュースから。

子供の置き忘れが発生すると、「そんなミス、普通するか?」という書き込みやコメントを目にします。

しかし、我々は人間です。ミスをする生き物です。

しかも、ある特定の状況に置いて、普段よりもミスが多くなります。

今回紹介する研究を通して、子どもの置き忘れと言った考えられないようなミスが誰にでも起こり得る可能性があるということ、そしてその予防策について考えていければと思います。

「予定(展望)記憶」という記憶のカテゴリーがある

予定記憶(英語で言うとProspective Memory)という記憶の定義があります。

これは過去起こったことや手順などを覚えてるという記憶とは異なり、「将来やるべきこと」を覚えているかどうかの記憶になります。

「会社に行く前にゴミを出さなきゃ」とか「仕事帰りにスーパーで牛乳を買っていかないといけない」とかが予定記憶です。

リマインダーがないと「携帯電話」を忘れて帰ってしまう学生

ノートルダム大学の学生192人に実験に参加してもらい、実験中は携帯電話を預かります。そして腰につけるアクティビティトラッカーを学生に渡します(トラッカーで何か測りたいわけではなく、あくまでも記憶実験の道具として使用)。

一つのグループには「実験終了後に携帯を返してもらうように言いに来て、トラッカーも返却するように」と伝えます。もう一方のグループには何も言わずに実験に参加してもらいます。

「トラッカーを返却する」ということを最初に言われなかった(リマインダーがなかった)グループは7%の学生が携帯を忘れて帰ってしまいました。一方、「トラッカーの返却」を最初に言われたグループ(リマインダー有り)で携帯を忘れた学生は5%でした。

チャイルドシートの後部座席義務化前は珍しかった赤ちゃんの置き去り

携帯電話の実験から「適切なタイミングでの合図(=トラッカーの返却)」によって予定記憶が想起されやすくなることが分かりました。

チャイルドシート義務化前は、助手席に子供がいるケースが今よりも多いので、視覚的にも聴覚的にも「合図」があるため、子供に容易に気づくことができました。

しかし、(義務化後は)後部座席で子供がいるので、ぐっすり寝ていたりすると、保護者に対して子供から何の手がかりも発せられないので(視覚にも入らず音も聞こえない)、(特にイレギュラー対応で子供で乗せてたりすると)子供を乗せていたことすら忘れるという状況が発生します。

置き忘れ防止ブザーなども有効だとは思いますが、二重三重に「リマインダー」をめぐらせておくという意味では、(常に子供を送り迎えしない親は)子供と一緒の時にだけ助手席にぬいぐるみを置くなどして「視覚的」にも子供がいることを忘れない仕組みがあるとよいかもしれません。

男性の方が予定記憶が弱い?

一般に言われるような男性の方が女性よりもこの種の間違いを犯しやすい、つまり予定記憶が弱いという証拠はありませでした。

【龍成メモ】

「親が子どもを車に乗せているが、通常その活動(=子供の送り迎え)を行う介護者ではない場合、そして車で通勤するという日常的で決まったパターンの中での送り迎えになると、子どもがそこにいることさえ忘れてしまうかもしれない」と研究者も指摘してます。

つまり予防的な手立てがなければ親が注意していたとしても(特にイレギュラーな役目を担っている場合は)、一定確率で「記憶エラー」が起き、危険な事象につながるということになります。

#子供置き忘れ #車内放置 #予定記憶 #子供置き去り

よろしければサポートお願いします。 頂いたサポートは心のエネルギーになり、さらに記事を書くモチベーションに繋がります。 ありがとうございますm(_ _)m