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どん底 #わたしの読むスタンス

 お前はどんな気分の時に、どんな本を読みたくなる?

 俺は暗い気分の時は、どん底に落ちるような言葉を読む。優しい言葉は要らない。共感だけにしか頼れない脆弱な感動なんて唾棄すべきものだ。

 一度、たった一度だけでいい。稚拙だろうが破綻してようがなんでもいい。頼む。俺を殺してくれ。死んだ俺は、初めて甦る権利を得る。そして俺を甦らせてくれ。痛みと苦しみの果てでしか生まれない強烈な情動、生の実感を俺に与えてくれ。

 言葉に魂が宿ると信じているなら、できるだろ。なぁ。

 この渇望。渇きを癒してくれ……。

 絶望の淵に立つ俺を救ってくれたのがそんな言葉で、俺はそれをよすがにするしかなかったのだから。

 悲痛に、呪詛に、苦悩に、耳をそばだてよ。そこにはこの暗澹として見える世界と闘う意志が忍ばせられている。俺のような弱い心の持ち主が、この理不尽な世界で闘うための唯一の術が隠されている。俺はそう信じている。他の奴は知らん。

 暗がりから掬い取ったちいさな光明をよすがに、俺は読み、これからも生きていく……、

 …………、

「じゃあ。幸せな時は幸せな言葉を読むの?」

 あぁいや、そういうわけでもないんだけど……。多分変わらず似たような本を読むと思います。はい……。

「なんか格好付けて言ってるけど、それただの趣味じゃね? ……というかそんなの関係なくなんでもかんでも読んでるじゃねーか」

 と、と、ということで暗い話が大好きなサトウでした~。

 明るい話しか読まない、というひとも多いかとは思いますが、たまにはみんなでどん底に落ちませんか? 暗い気分の時に読むのは良いですよ~、もう気持ちを上げることしかできなくなりますから(笑)

 時期的に不謹慎と言う人も、もしかしたらいるかもしれませんが、それが救いになる人間もいたりするのです……。絶望を、絶望に満ちた物語(の中で見つけた希望)で乗り切ったことがあるサトウより、これが「わたしの読むスタンス」です~。

 あきらとさんのゆるやか企画に参加しました。ありがとう~。