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一歩進んだ音楽理論 和声学編

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和声についてのあれこれをご紹介していきます。
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2023年2月の記事一覧

カデンツ 一歩進んだ和声学 Part 7

今回はカデンツについてを紹介していきます。和声というのは無秩序に和音を並べるだけでは成立しません。文章のように正しい語順のようなものがあるのです。 英語のS(主語)+V(動詞)+O(目的語)+C(補語)のような文構成が和声にもあります。和音はそれぞれ役割を持っており、その役割に応じて正しい和音配置を行っていく必要があります。いったいそれがどういうものなのか、見ていきましょう。 1 トニック、サブドミナント、ドミナントまずはこの3つの言葉、トニック、サブドミナント、ドミナン

和音の第1転回形 一歩進んだ和声学 Part 8

今回は和音の転回形、すなわちオンコードについてをご紹介します。 オンコードは根音(ルート)以外の音が最低音となる和音の形です。すなわち第3音や第5音が一番低い音に配置される和音の形です。 ここでは第3音を最低音とする第1転回形を学んでいきます。この形になった際に色々な制約がさらに生まれます。では見ていきましょう。 1 第1転回形先程述べた通り、和音の第1転回形とは第3音が最低音(バス)に配置される和音の形です。この和音を表す場合はローマ数字と右上に小さく1を表記します。

和音の第2転回形 一歩進んだ和声学 Part 9

今回は和音の第2転回形を学んでいきます。こちらは和音の第5音が最低音(バス)に配置される和音の形で、この形は現段階では特定の形でしか使用されません。あまり覚えることは少ないので第1転回形よりは楽だと思います。ではどんなものなのか見ていきましょう。 1 第2転回形先程述べた通り、第2転回形は和音の第5音がバスに配置されている形です。この和音を表すときはローマ数字に右上に小さく2を付けます。 46の和音とも呼ばれることがあります。 上3声は基本形と同じく、根音、第3音、第5

V7の和音 一歩進んだ和声学 Part 10

今回はV7の和音を学んでいきます。 いわゆるセブンスコードですが、3和音に7度の音を付け加えることで出来上がります。ここではドミナント和音であるV7を扱いながら、この和音のルールなどを見ていきましょう。 1 7の和音7の和音のことをいわゆるセブンスコードといいますが、この和音群は先程述べた通り3和音に7度の音を加えたものをいいます。 7の和音を表すときはローマ数字の右下に小さく7と表記します。 このように3和音に付加された構成音を付加(構成)音といいます。付加(構成)音を

V7の和音根音省略形体 一歩進んだ和声学 Part 11

今回取り扱うのがV7の和音の根音省略形体というものです。その名の通りV7の和音から根音を取り去ったものであり、実質VIIの和音と同じものになります。しかしここではV7の和音根音省略形体とVIIの和音は音は同じでも明確に違うものとして取り扱います。では、どのような機能を持っているのか見ていきましょう。 1 V7の和音根音省略形体V7の和音根音省略形体を表すときはV7に斜線を引きます。 V7の和音根音省略形体は3種類の低音位があります。 V7の和音根音省略形体第5音低音位(