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楽曲解説集

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クラシック音楽の作品を解説していきます。 主に曲構成、和声などを分析しています。
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#ワルツ

ショパン ワルツ第7番嬰ハ短調 楽曲分析

今回はショパンのワルツ第7番Op64‐2の楽曲分析をしていこうと思います。有名な子犬のワルツと共に出版されたこの作品は、このワルツはそこまで技巧的でなく、またメロディの出来栄えもよいので彼の作曲したワルツの中では人気の高いものの一つです。ではどのような構成をしているのか、早速見ていきましょう。 1 概要作曲されたのは1846年~1847年にかけてとされており、ショパン晩年の作品です。第6番、第8番と共に一つにまとめられOp64として1847年に出版されました。この1847年

さよならを告げるワルツ ショパン ワルツ第9番

今回はショパンのワルツ第9番の楽曲分析をしたいと思います。この曲は『別れのワルツ』の通称を持ちますが、どのような経緯でこの名がついたのでしょうか。また音楽的にはどのような構成をしているのか、早速見ていきましょう。 1 曲が出来上がるまでこの曲は失われた自筆譜では1835年の9月、ドレスデンと書かれています。 これはヴィンツェンティ・ヴォジンスキ(Wincenty Wodziński)伯爵とテレサ・ヴォジンスカ(Teresa Wodzińska)伯爵夫人との娘である、マリア・

子犬のワルツ 楽曲分析

ピアノを弾く方なら一度は憧れるであろう作曲家ショパン(1810~1849)。彼の代表作といえる『子犬のワルツ』の楽曲分析をしていこうと思います。約2分の短い曲で、和声も複雑ではないので親しみやすい作品です。ではどのような構造をしているのか見ていきましょう。 1作曲年現在では1846~47年頃の作曲だと考えられており、他の2曲のワルツとまとめられて作品64として出版されました。通し番号順にワルツ第6番と呼ばれることもありますが、ショパンは生前に出版されなかったワルツを何曲か遺