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楽曲解説集

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クラシック音楽の作品を解説していきます。 主に曲構成、和声などを分析しています。
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#モーツァルト

ピアノソナタハ長調K545 楽曲分析

今回はモーツァルト(1756~1791)のピアノソナタハ長調K545の楽曲分析を行います。日本のソナチネアルバムにも収録され、ピアノに触れたことのある方もこの作品に挑んだ経験がある方もいらっしゃるかもしれません。いったいどのような構造をしているのか、さっそく見ていきましょう。 1 拍子、調、構造 このピアノソナタは全3楽章構成です。 第1楽章 ソナタ形式 ハ長調 4/4拍子 第2楽章 AーA'ーBーA'ーCーDーAーA’ーコーダの複合三部形式 ト長調          

トルコ行進曲 楽曲分析

今回はモーツァルト(1756~1791)の『トルコ行進曲』の楽曲分析を行っていきます。彼の作品の中でも特に有名なものとして知られていますが、この曲はどのような構成をしているのでしょうか。 1 元々はピアノソナタの第3楽章この曲は元々、ピアノソナタイ長調K331の第3楽章として作曲されたものでした。このソナタも古典派時代のソナタとしては特殊なもので、 第1楽章 変奏曲 第2楽章 メヌエット 第3楽章 トルコ行進曲 という構成で、ソナタに必要なソナタ形式の楽章を欠いているのが

悲しみのモーツァルト。ヴァイオリン・ソナタ ホ短調K304

W・A・モーツァルト(1756~1791)の作品というのは、個人的見解だがモーツァルト自身の感情を音楽には入り込めていないと最近思う。それはシューベルト(1797~1828)の作品を聞いてみればなんとなく感じる。 特に短調の作品は自身の感情を反映しやすい。人間はポジティヴな感情よりかはネガティヴな感情に入り込みやすい。例えば「死」や「別れ」というのは物語によっては人の涙を誘う。そういった「負」の感情に感化されやすい。「悲しみ」は人の心を動かす強く動かす要素なのだ。何故かはわ