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楽曲解説集

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クラシック音楽の作品を解説していきます。 主に曲構成、和声などを分析しています。
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#作品分析

フーガト短調BWV578 楽曲分析

今回はJ・S・バッハ(1685~1750)のフーガト短調BWV578の楽曲分析を行います。フーガというのは対位法という作曲技法が使われている楽曲で、対位法というのは「複数の声部(パート)が調和を取りながら重ねていく」技法です。対位法ではどのパートがメロディでどのパートが伴奏というのがありません。全ての旋律がそれぞれ独自性を保ちながら曲が構成されていくのが対位法の大きい特徴です。はたしてその技法を使ったフーガというのはどのような構造をしているのか、さっそく見ていきましょう。

春の歌 楽曲分析

今回はメンデルスゾーン(1809~1847)の無言歌集より『春の歌』の楽曲分析を行います。メンデルスゾーンのピアノ曲の中ではとくに有名なものです。魅力的な旋律が有名ですが、いったいどのような構造をしているのかさっそく見ていきましょう。 1 拍子、調、構造2/4拍子、調はイ長調 AーBーCーAーCの構造です。 大まかにすれば3部形式の楽曲です。 2 解説① A 0:00~ "Allegretto grazioso(アレグレット・グラツィオーソ。やや早く、優雅に)"との指示

ピアノソナタ第1番へ短調Op2-1 楽曲分析

今回はベートーヴェン(1770~1827)のピアノソナタ第1番へ短調Op2-1の楽曲分析を行います。ベートーヴェンのピアノソナタ全32曲は「ピアノの新約聖書」と呼ばれるほど、クラシック音楽では重要な作品群です。この第1番は第2番、第3番とともにOp2としてまとめられ、この作品群の中では唯一の短調作品です。記念すべき第1番となったこのピアノソナタはいったいどのような構造をしているのか、さっそく見ていきましょう。 1 拍子、調、構造第1楽章 2/2拍子 ソナタ形式 へ短調 第2

ポロネーズ第1番 楽曲分析

今回はショパン(1810~1849)のポロネーズ第1番嬰ハ短調op26-1の楽曲分析を行います。ショパンのポロネーズで初めて出版されたものです。有名な第3番や第6番などに比べると個性は薄いですが、彼の祖国の音楽であるポロネーズを理解する上で重要なものとなります。どのような構造をしているのか、さっそく見ていきましょう。 1 拍子、調、構造3/4拍子、調は嬰ハ短調 AーA'ーBーAーCーDーCーAーBーAの複合三部形式です。 しかし、構成に関しては議論すべきことがあります(後述

奇想曲第24番イ短調 楽曲分析

今回はパガニーニ(1782~1840)の『奇想曲第24番イ短調』の楽曲分析を行います。パガニーニはイタリアのヴァイオリニスト、作曲家で超人的な技巧を持っていたヴァイオリンのヴィルトゥオーゾとして知られています。今回紹介する曲は後にリスト(1811~1886)、ブラームス(1833~1897)、ラフマニノフ(1873~1943)などがこの主題を用いたピアノ作品を書いています。またリストの『ラ・カンパネラ』の原曲を作った作曲家でもあります(ヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調第3楽章)

亜麻色の髪の乙女(La Fille aux Cheveux de Lin) 楽曲分析

今回はドビュッシー(1862~1918)の代表作『亜麻色の髪の乙女(La Fille aux Cheveux de Lin)』の楽曲分析を行います。ドビュッシーのピアノ曲の中でも『月の光(Clair de Lune)』や『2つのアラベスク(Deux Arabesques)』などと並び彼の代表作といえる作品です。いったいどのような構造をしているのか、さっそく見ていきましょう。 1 拍子、調、構造3/4拍子、調は変ト長調 AーBーAの3部形式で構成されています。 元々は前奏曲