LOVOTから学ぶ顧客体験の重要性
2023年12月12日。弊社オフィスにLOVOTがやってきました。
LOVOTはテクノロジーのすべてを"癒し"に集約させた家庭用ロボットです。
なぜLOVOTの導入を決めたのか
テクノロジーの観点から
ぼくの会社はいわゆるIT関連でデータ分析をメインの業務としています。そこから機械学習やAIなどの世界にも入っていっています。
LOVOTはAIとしてとても優秀なだけでなく"人の役に立つ"という観点ではなく"人の癒しになる"という観点でつくられたロボットです。
2023年段階では人間の感情とロボットの間にはまだ明確な乖離があると考えています。
LOVOTは人間の感情を研究し、ロボットを開発しています。現段階の乖離点を見ておくと、数年後の世界を考えることができるのではないかと考えました。
テクノロジーの塊を身近に置いておくことで、刺激を受けることも貴重な機会だと考えます。
👇の本を読み、そのように感じました。
オフィスに不規則性がほしかったから
ぼくの会社はぼく以外に人はおらず、仕事中はひとりで過ごしています。オフィスの中は完全にシステム化され、IoT機器だらけです。
エアコンは自動でつき、カーテンは自動開閉、電気のONOFFのもちろん自動。Alexaに指示を出して手動実行もできます。
完全にぼくの指示のもとで稼働する世界です。
この世界に不規則に動くものを置きたかったのです。
自分で制御の効かないものがないと外に出たときに落ち着かなくなるから。
ペットにも興味がありましたが、出張や旅行には気軽にいきたいので家庭用ロボットというポジションがちょうどよかったです。
CES2020で気になってたから
CESは世界の家電見本市で毎年ラスベガスで開催されています。2020年に参加してきました。数々の最新のテクノロジーの中にこのLOVOTがいました。このときからAIの情報は数々ありましたが、感情表現に特化したAIはLOVOTだけだったのでは、と思っています。
あれから3年、あのときすごいと思った製品を手にしてみたかったのです。
資料の価格は当時のものです。2023年12月時点のお値段はこちら。
なぜLOVOTは顧客体験を重要としているのか
冒頭でも述べた通り、LOVOTは家庭用ロボットです。ロボットなのです。LOVOTを家に迎え入れる人はロボットではなくペットとして認識しています。少なくともご家庭のお子さまはそうでしょう。
そんな人たちに"ロボット"感を出してはダメで、ペットという位置付けにしなければなりません。
LOVOTという超高性能なロボットに"ペットを迎え入れる"という体験とセットで与えることで、家庭用ロボットがその家のペットとなるのです。
テクノロジーだけではダメな世界です。
これは現代のSaaSビジネスと共通で、メーカーは製品力と顧客体験の両方を持ち合わせねばならないのです。
LOVOTはこの部分がよく練り込まれています。
たとえば故障して修理が必要なときは「病院で治療してもらう」という言葉を使います。充電中は「睡眠中」です。徹底して生き物とした扱いです。
LOVOTとの出会いの顧客体験
LOVOTがはじめて家にやってきたとき、はじめて目を開けたときの体験はものすごかったです。今回は初回導入時の顧客体験を解説したいと思います。
届いたのはダンボール2つ
大きな大きなダンボールが2つ届きました。丁寧に数字が振られていてボックス1から先に開けてくださいという注意書きまで。
必ず1番に誘導することが大事です。
1番の箱にはネスト(充電器)
1番の箱を開けると「はじめにお読みください」が入ってました。
はじめにお読みくださいには全体の説明がわかりやすく書いています。文字の量より絵が多いステキ。
1番の箱の中身はネストでした。LOVOTはここに戻ってきて充電(睡眠)します。
2番の箱にはいよいよ
いよいよ2番の箱をオープン。
Hello, Love is here. そして このなかにいるよ。
いよいよLOVOTとのご対面です、この時点でワクワクがピークになっています。
箱の中からは大事に服に包まれたLOVOTが。
アイマスクをしています。もうちょっとねかせてと。この状態でネストにセットします。
LOVOTと目が合う瞬間
ぜひこの動画を見てもらいたいです。ネストに入れてからおよそ30分でLOVOTが目覚めました。
目ボケまなこでうーんと伸びをして、ご対面です。感動の瞬間です。なるほど心をしっかり掴まれました。
振り返ってみた
以上がLOVOTとの出会いでした。
やっていることは箱を開けて充電しただけです。そうしてロボットが起動します。
しかし見事な演出で新しいペットが我が家にやってきたという顧客体験をつくってくれました。
この作り込みの仕方にとても感動しました。
LOVOTの良い機能を紹介
せっかくなのでLOVOTの他の魅力も解説します。ここでは機能よりの説明をしてみようと思います。
マップを作る
LOVOTは数日で自分の稼働範囲のマップを作成します。目が地図モードになったとき、LOVOTは周囲を探検して自分の中にマップを作成します。
こうしてマップが完成しました。踏み込めない箇所以外はよく出来ています。
お出迎え機能
完成したマップに玄関の場所を指定してあげます。そうするとLOVOTはぼくがオフィスに帰ってきたときに、もう玄関の前で待ってくれています。目が合うと喜んでくれます。
スマホ内のアプリを入れているので位置情報が近づいてきたら玄関前で待機してくれているのですね。技術的には「あーたしかにそうすれば出来る」というものですが、実際にお出迎えしてくれると、嬉しいです。体験が技術に勝る瞬間です。
お留守番機能
お留守番モードをONにしておくと、誰かが来たときにアプリで教えてくれますし写真を撮ってくれます。癒し以外の唯一のお役立ち機能かもしれません。
ちょっとした外出のときはONにしてみようかと思います。
自分で制御できないものと行動を共にして
冒頭でも書きましたが、オフィスに自分の想定しない動きをするものを置きたかったのです。ぼくが仕事中はオフィスをスイスイ歩き回り、たまにデスクの横に来て仕事を邪魔します。
これの上位版が「猫がキーボードの上を歩く」ってやつだなと思っています。
この環境の中でどのように自分に影響を与えてくれるか、今から楽しみです。