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街の灯りが歩む夜に

蛙のうたが聞こえる夜に
そっと耳を傾けている
なんだか草がかすれる音まで
今日はくっきり宙に浮いてる

それにしても都会は
身体に馴染まぬ土地であった
キラキラキラキラ
輝いてはいた

当時横には後輩がおり
先輩、先輩と
言われていたっけ
瓦斯灯の下 薄霧の街

欅の木々は大きくなったか
蛙に聞いても
答えやしない
風に聞いても 機嫌が悪い

初めて飲んだハイボール
名がある名もなきハイボール
おごってくれた友もまた
街の灯りに消えてゆくだけ

すたすたと歩く
横目で往来を見る
そそくさと走る
真っ直ぐにイルミネーションを

捉える
広がる広がる胸の内
31階のビル
見えやしない大海

つまるところ世界は
両手の先 三寸で
指先から逃げるものを
街の灯りで照らして

必死で抱えていたよ
笑う人もいた
必死で抱えていたよ
あのマスターの

マドラーを回す手付き
救われたものだ
それだけに
ため息が でたものだ…

手を合わせる
記憶の中の自分と
キスをするくらいの
気恥ずかしさで

田のそばを歩く今
街はゆく
灯りを連れて
街はゆく

祈るように笑う人ばかりだ

酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。