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2020.5.31 「五百万石100%使用、精米歩合60パーセント、アルコール度数15%で〇〇円」な話。

※冗長な解説無しでお送りします。

さあ、タイトルのようなお酒があったとしたらいくらくらいだと思いますか。日本酒好きの皆さま。

そうですねー、おそらく大体の方が1100円~1400円くらいを想像したのではないかと思います。(違ったら失礼いたしました。)

なんでそんな予想が立つかと言うと、大体の日本酒はスペックからの原価積み上げ方式で価格が決まっているからだと思います。つまり、米があれで、精米歩合がこれくらいならこれで、アルコール度数がこれくらいならこれで…と総合していくと大体の価格が決まるのです。

(そもそも予想が立つのが本当はおかしいと思うんですが。おかしいと言うか、辛いと思います。)

原価に決まった利益分(誰かの取り分)を加算して値段が決まるのだとすると、技術革新のための投資をしても、誰かが技術的に上の方に行ったのだとしてもそれを加算するのが難しくなります。(加算できなければ誰かが割りを食うことになります。)

という観点から「スペック非公開」の酒を考えると、これいい感じじゃないかなと思ったりします。といってもこれをする蔵の(表向きの?)理由をきいてみると「スペックで味に関して偏見を持ってもらいたくないんです」という答えが返ってくることが多いです。それも大事なんだけれど、もっと大事なのは「スペックから想像される(されてしまう)価格の幅に乗っからなくて良くなること」なんじゃないかなと思ってます。タイトルの酒みたいに変な縛りを受けずに済むわけです。

(もちろんそこには「誰かにとってそれがおいしければ」という大きな但書が入るわけですが。)

いい意味で、ミステリアスであってほしいんです。まあ、時代の流れもあります。「は?食品なら情報公開しろよ。」というご意見があるのはごもっともです。しかし、情報公開したことでそのものが持っている価値がよくわからない縛りの中に放り込まれるのだとしたら、そんな情報公開には価値がありません。

逆です。誰かの勇気によって提示された価格を誰かが受け入れることで価値が生まれるのです。はじめから「これでいいでしょ」の中に(本当は)革新的かもしれないものを組み入れなければならないようなシステムはさっさと破綻すべきです。と、思ってます。

明日からも楽しいお酒に出会いたいし、その楽しさが未経験なものならできる限り敬意を払いたいのです。その敬意の中には金銭も当然含まれます。誰かの勇気に対価を払ってまた新たな勇気が生成されるような循環にわたしは与したいのです。

C'est la vie.

カンパイ。

酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。