2021年ベストアルバム30

 個人的には色んなジャンルを聴きあさったと言うよりは、旧譜も含め明確に自分の好きなジャンルを深掘りして聴いた1年だったかと思う。デスメタル、ハードコア、インダストリアルとかその辺が多いけど、トップ30まとめてみました。
 ただ個人的に好きだった作品と感想に毛が生えた文を並べただけだけど、ホントに良い作品ばかりなので是非。

30. Yellow Bulb. / Data Reject
genre: No Wave、Industrial Rock

初期Swansのキモいところを抽出して、現代のサウンドプロダクションで吐き出した感じ。ジャケットワーク同様の超絶地下臭のする内容で○




29. CARTHIEFSCHOOL / CARTHIEFSCHOOL
genre: Post Punk、Alternative、Post Hardcore

最近だとthe hatchに近いファンキーなリズムに鋭利なギターが絡むポストパンクタイプのバンド。個人的にはボーカルの語り口調〜シャウトの感じがkillie伊東さんっぽく感じ、そこもかっこよくて好き。




28. Vision Video / Inked In Red
genre: New Wave、Dark Wave

もっと話題になって良かった1枚。 特に新鮮味はないけど、皆大好きThe CureとNew Orderのポップサイドいいとこ取りサウンドとして完璧。 新しもの至上主義的な風潮の弊害で、こういう新しさはないけど作品として最高ってのは無視されやすいけど、内容は格別。




27. CROSS STITCHED EYES / Autosarcophagy
genre: Post Punk、Death Rock、Crust Punk

Amebix、Killing Joke辺りのクラスト〜ポストパンク的な雰囲気を漂わせていて、個人的にはUK Decay的なドタバタ感も感じられ最高。と思っていたら、ex) ZYGOTEやUK SUBSのメンバーのバンドらしく納得。




26: 8 Hour Animal / Resigner
genre: Industrial Metal、Noise

インダストリアルメタルの代表格だという触れ込みでMinistryやGodfleshを初めて聴いて「インダストリアルっていう割にノイズ少なめだし基本バンドサウンドなんだな…」と思った経験がある人にお勧めしたいグラインド通過型、臨界点振り切ったインダストリアルロック。多くの人がインダストリアルメタルという名前を聞いたときこういう音を想像したんじゃなかろうか、という妄想を実現してくれた音。




25. Uranium / Wormboiler
genre: Industrial、Noise

ガビガビシャーシャーのハーシュノイズに呻きボーカルが乗るという、手法としては古典的なデスインダストリアルなのだけど、やはり現代的サウンドを通過している分サウンドのアップデートが素晴らしい。低音の響きと音の分離の良さ(ノイズにおいて誉めるべき点かは怪しいが)はこのジャンルの中でも秀でていると思う。聴きやすさも魅力。




24. Dridge / Curing
genre: Sludge、Doom Metal、Death Rock

"Greef meets Christian Death"というキャッチコピーで飛びついたんだけど、まさにそんな感じの音。敢えて言うならスラッジ要素とデスロック要素が若干乖離してる感(どちらかが強く出過ぎてる曲が多い)もあるが、上記のどちらも好きなら聴いて損なし。




23. MORAL ORDER / THE EMPTY CROSS
genre: Death Industrial、Power Electronics、Dark Ambient

ダークアンビエント的な音空間の中でパワエレ/デスインダストリアルが鳴っている感じ。「辺りの見えない完全な漆黒の中にGenocide Organを放り込んで演奏させた」とでも言えば良いか。リリースもTescoでその向きには完璧にオススメの1枚。




22. ニイマリコ / The Parallax View
genre: Alternative、Post Rock

sukekiyoや鬼束ちひろが好きな人にはマストではないか… 絶望的(だが光も見える)な歌詞と歌の表現力(歌が上手いかどうかというより声色の誘引力がすごい。仙女感がある)に、全編に渡ってKLONNS剤電さんのダークメルヘンでエセリアルなアレンジワークが絶妙。 全てのダーク音楽好きにオススメ。




21. Half Mortal / Cut Off From The World
genre: Noise、Power Electronics、IDM

喚き入りノイズ/パワエレ系Half Mortalの1st作。元々中の人はIDM作家としてキャリアがある人みたいで、それもあってか単なる垂れ流しノイズではなく、微メロありビートあり展開ありと、曲として成り立っているため非常に聴きやすい。それでありつつノイズの攻撃性は健在なのも素晴らしい。Hospitalリリースなだけあり、PrurientのFrozen Niagara Falls辺りが好きな人には手放しで薦められる。(ちなみに2021年中に2枚目もリリースしていてそちらも良盤です。)




20. MASS-HOLE / ze belle
genre: Hip-Hop、Rap、Boom Bap

ヒップホップは音楽的な知識が皆無なのであまり語れないのだけど、とにかくド渋なトラックとリリックが最高。ジャケット通りモノクロームでスモーキーなブーンバップ。




19. Turnstile / GLOW ON
genre: Hardcore

オールドスクールなハードコアが基調だけど、Blood Orangeのゲスト参加や独特なパーカッションの使い方など、一筋縄ではいかない個性を発揮している。メロディアスなボーカルラインも特徴だけど、声のアツさと太さがハードコアであることを損なわせない。時折来る落とすパートもアツい。セルアウトとは言わせない傑作。




18. VITO FOCCACIO / 渇望の翼
genre: Hip-Hop、Rap、Trap、Gothic、Noise

遂に実現してしまった、ゴシックとヒップホップ(ラップ)の邂逅……。時にノイズも交えるゴシックでダークなトラップ(ENDONの那倉兄弟、愛甲氏も参加)の上に哲学的なリリックが乗り、確実に唯一無二の音が鳴ってる。




17. quiqui / もう少しの暦
genre: Emoviolence、Chaotic Hardcore、Skramz Jazz

クリーンギターと絞った音数による奥行きのある空間の静けさから一気にひしゃげんばかりに歪んだ音と叫び、変拍子のオンパレードで激情を体現する曲、サックスが吹き荒れる曲、煮え切らない哀愁を垂れ流す曲……バリエーションは多いがその全てがEmoの一言に集約される、Emo総決算的大傑作。個人的にはblack midiとか好きな人にもオススメできるかも。




16. Amenra / De Doorn
genre: Post Metal、Sludge

暗黒重遅メタル帝王の新作、今回も壮絶で悲痛でドラマチックで、やはり安定のクオリティでした。こういうバンドには下手に色んな要素に手を出して進化するよりも、その世界観をより深化させていって欲しいなと思う。その意味で今回も傑作だった。




15. SOLVENT COBALT / PRIVATE GLOAM
genre: Post Punk、Dark Wave、Hardcore Punk、Alternative

強靭で冷徹なマシンビートに強烈なノイズと、うっすらと聴こえるメロディアスかつオブスキュアなボーカルで、国外まで見渡しても今年最高のポストパンク。ハードコア出自のバンドってのも個人的には響く要因かも。




14. Cerebral Rot / Excretion of Mortality
genre: Death Metal、OSDM

腐臭!モッシュ!ガビガビ!と、トレンドオブトレンドなデスメタルだけど、とにかくクオリティ高し。痒いところ全てに手が届く完璧デスメタル!




13. FLUIDS / Not Dark Yet
genre: Gore Grind、Death Metal、Industrial

ベースとなる音楽性は王道のパソロジカルなゴアグラインドなんだけど、全編に渡りドラムの代わりにリズムマシンが大暴れ。単なるドラムの代替えとしての存在ではなく、インダストリアル的な意図を感じる暴力的使い方。そして、インダストリアル的要素がインテリジェンスではなくひたすら腐臭と暴虐さに拍車をかけているのが恐ろしい。




12. Durian / Scare Tactics
genre: Grindcore、Powerviolence

今年最高峰グラインド!!突進ブラストに突然のストンプパートで無軌道ながらも絶妙な緩急が体動かしてくる感じ。ちょっと篭り気味な音質もむしろ良い。コンコンスネアに燃える!その手のフェチには大推薦!!




11. MOONSCAPE / MONOLITH
genre: Hardcore Punk、Metal Punk

ダークな(かつ微クラスティなメタルパンクといった感じもする)ハードコアパンクに、Hellhammer的なズルッと引きずるメタリックさが加わっていて最高!1曲目VILLAINとかなんかはBauhaus辺りの臭いもするかも?個人的には全編通してG.I.S.M.とHellhammerとBauhausをミキサーにかけた感じ、と言う印象で最高。




10. BLACKPHONE666 / PTN.YLW / HARM
genre: Noise、Gabba、Hardcore Techno

「ノイズの暴力性は好きだけど、ビートなりメロディなり何らかのキャッチーさがないとマトモに音楽として聴けない。」っていう少なくない悩みに完璧にお応えする最高の内容。爆音ガバキックの上を駆け巡る暴力的ノイズり暴走テクノイズならぬガバノイズ。




9. Body Void / Bury Me Beneath This Rotting Earth
genre: Sludge、Hardcore

ノイズも繰り出すPrimitive Manタイプのスラッジ。このアルバムの何が最高かというと、ひたすら圧殺スラッジが続くかと思ったらホントに忘れた頃にポンコツグラインドよろしくな突進パートやd-beatが現れるところ。




8: 踊ってばかりの国 / moana
genre: Psychedelic Rock

ロックバンドの美しさを体現したようなキャリア最高傑作。かつてない程完璧に3本のギター絡み合ってサイケデリックを演出する中、下津の唯一無二の歌声に涙。人の頭をビール瓶でカチ割るやつがとびきり優しい歌を歌う矛盾(実際のところこれは両立され得るし矛盾ではないかも)を、自身の音楽をもって証明してしまったかのような(?)優しさと危うさを両立したアルバムだと思いました。




7. Knoll / Interstice
genre: Grindcore

発狂系ボーカルにノイズ有りのカオティックなグラインドということで、まさしくFull Of Hell直系。このバンドだけの個性的なものがあるのかは自分にはわからんが、クオリティは最高で今年のFull Of Hell本家の新譜よりも個人的には刺さった。メンバーもめちゃくちゃ若いし、早くも2nd LPのレコーディングも完了したということで今後にも期待しかない。




6. Worm / Foreverglade
genre: Death Doom

前作のB級なロウさからは想像もつかないほどのS級高品質メランコリックデスドゥームになった今作。密教的な雰囲気を醸すシンセとか、アンダーグラウンド臭はするものの、時々めちゃエピックなシュレッドギターが飛び出したり展開は多様だったりとそこそこキャッチーなのも良い。 個人的に4曲目「Empire Of The Necromancers」で突然爆走するのが最高。




5. NOT WONK / dimen
genre: Alternative

とにかく美しいメロディと驚きのアイデア/展開の連続。夥しいジャンルの要素を取り込みながらも、あくまで主役はグッドメロディで、聴いていてとにかく胸が熱くなる「これぞNOT WONK!」な感じ。オルタナティブの一番前を進んでいる感動の傑作。




4. Mortiferum / Preserved In Torment
genre: Death Doom

一言で言うならデスドゥームだけど腐っているのとも密教的なのとも違う唯一無二さが凄い。音質も世界観もダークさの方向性がロットンなデスメタルとは違って、世界が崩壊するさまの様なスケール感がある。前作も名盤だったけど、遂に怪物的な作品を生み出してしまった。




3. Momentum / Momentum
genre: Hardcore

ソリッドながら荒さもあるギター、全体のサウンドのバランス等、完璧な内容。さすがのTaylor Young印。個人的にはギターリフの多彩さがアツい。キャッチーに刻むギターと落とすパート。今年最高のハードコアアルバム。




2. Jarhead Fertilizer / Product of My Environment
genre: Powerviolence、Death Metal

ひたすら漆黒の中をストップ&ゴーの激モッシーパワーバイオレンス。私的には2021年ベストモッシュパート受賞曲収録のアルバム。ベースの音がお下品過ぎて神です。近年ビートダウン型パワーバイオレンスで傑作がたくさん出ているけど、これは頭抜けていると思う。




1. Dream Unending / Tide Turns Eternal
genre: Death Doom、Gothic Metal、Dream Pop

明らかにデスドゥームなのに謎の透明感。ズルッと這いずる感じではなく空中を漂う感じ。 FFOアーリーAnathemaとのことだが、個人的にはdiSEMBOWELMENTを感じる異形さ。ゾッとするくらい美しく、クリスタルなデスメタル。リバーヴィな浮遊感がCocteau Twinsを想起させ、デスドゥームmeetsドリームポップとも言えるかも。文句なし私的2021年最高の大傑作。


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