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【漫画】食糧支援の新しいトレンド「現金給付」ー新米国連職員のぱにゃにゃん日記 Vol.29

サバイディー!リョーヤです。

前回の「新米国連職員のぱにゃにゃん日記」では、ラオスでどのように食糧を届けているかご紹介させていただきました。

今回は、食糧を届ける以外の支援方法として「現金給付」について紹介します。

僕たちが行う食糧支援の方法は、単に食糧を直接届けるだけではありません。むしろ最近は、お金を渡す「現金給付」がトレンドになってきています。

食糧の代わりに現金を直接渡すことによって、以下のようなメリットがあります。

【現金給付のメリット】
・食糧を運ぶ輸送コストを大幅に減らせる
・地域でお金が使われることで市場が活性化する
・地域の食材を食べてもらえる(地産地消)
・新鮮な食材(野菜など)を購入することができる
・そのときに必要な食材、食べたい食材を選択して購入できる

特に、お金を受け取った人たちが購入の「選択」をすることができるところに現金給付の強みがあると思っています。

一方で、お金を直接渡しているというと、「お酒やタバコに使われるのではないか?」「ギャンブルに使われるのではないか?」という疑問をいただくことがたくさんあります。

現金給付に関する研究・論文はここ数年で増えてきているのですが、お酒やタバコ、ギャンブルに使われるという事例は多くないことも多数証明されてきています。また、こうしたケースを防ぐために、現金給付を行うターゲットは慎重に選択しています。本当に支援が必要な人たちのみをターゲットすることができれば、理論上は生活のために必要なものにお金が使われていきます。

とはいえ、100%防げるかというと、そうとは言い切れないのも事実です。ただ、その事実を認めたうえでも、大きく余るくらいのメリットが現金給付にはあると僕は思っています。

現金給付の方法としては、お金を直接手渡しで行うことが多いですが、最近は電子マネーでお金を送金するというケースも増えてきています。電子送金であれば輸送コストはゼロになりますので、とんでもないメリットです。

現金給付はこれからどんどん国際協力の世界のトレンドになっていくと思います。食糧支援としての現金給付だけでなく、サイクロンや大雨の到来が予測されたときの予防としての現金給付(Anticipatory Action: AA)であったり、急性栄養不良を未然に防ぐための現金給付(Cash for Prevention of Acute Malnutrition: C4PX)など様々な分野で活用され始めています。


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このマンガ連載は、マンガ家の織田博子さんにご協力いただいております。織田さんのプロフィールはこちら!