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NEW GUNてどんな感じ?〜vol.28〜

アブラキサンが始まる前に鳥の雛みたいにうっすら生えていて病人臭さを盛り上げていた薄毛をバリカンで刈り上げた。そしたら、なぜか生えてきた。てっぺんは白髪だらけ、耳の上は黒い髪。波平さんみたいな。。。

アブラキサンも髪は抜けるはずなのだがぼちぼち生えてはくるので2〜3回刈り上げた。そのうち白髪だらけだった頭頂部も黒い髪が生えてくるようになった。

(年季の入った卓上鏡は気にしないでね)

左手を見ていただくと手荒れもむくみもひどいけれど、爪が黒くなっているのが分かるでしょうか?これはEC療法の時からで抗がん剤の副作用です。

抗ガン剤に耐えるのはやっぱり体力と気力ではないかと思うのだけれど、EC療法の時と違って、アブラキサンとハーセプチンで毎週通院するようになり、体調が良い時がなく、仕事に行くために体調を整えるには休みは家にいるようになる。友達ともSNSやメールばかりでほとんど会わなくなった。

2月は私の誕生日で休みに外に出ようと旦那と自転車で近所を散策した。が、病気になる前は一番重いギアも平気で漕いでいたのに、軽くしても息が切れる。旦那が先に行っては待っている。気持ちに身体がついていかない。

誕生日の翌日は10代の頃から大好きで、交通事故で活動を休止されている岡崎京子さんの展示を観に行った。ファンにとっては待ち望んだものであり、今の彼女に会える(本人に会えるという意味ではない)二度とないチャンスだ。想像していたよりも内容が濃く、すごいボリュームだった。

もう感極まりまくり!なのだけれど、やはり身体がしんどい。脚は半分引きずっている。集中しきれない。

もう一度来よう!と思った。パンフレットを買い損ねたので、後日もう一度来たのだけれど、やっぱりしんどくなってしまって展示を観るのは諦めた。

元気な時は暇さえあればライブに展示にと出歩いてばかりで、行動力ですべてを解決していた。が、そうはいかなくなったのだ。本くらいは読もうよ、と思うのだけれどなかなか集中出来ず、昔読んだ本を引っ張り出してきては安心してストーリーを追う。新たな発見もあって楽しい。小さな喜び。

でも、でも…精神的にしんどくなってきた。

職場や病院ではダメなのだ。友達に会いたい。

3月の末に友達が子どもを連れて遊びに来てくれた。すごい嬉しくて嬉しくて気持ちが満たされた。それから、友達には家に遊びに来てもらうようになった。マイペースを保てるし、帰り道に具合が悪くなる心配もない。遠いところ我が家を訪ねてきてくれた友人に感謝。

友達が妊娠した時に

「今まで酒とタバコと友達に頼って生きてきたんだと痛感した」

と言っていたけれど、闘病でも同じことを感じた。友達に会えないことがこんなに辛いことだなんて思わなかった。飲み屋に行けば友達がいて、お酒があって、どうでもいい話をして、大笑いして、そういうのがどんなに大事なことか痛感した。

でも、永遠に続く訳ではないのだ。

(マラソン、マラソン…)

がんばりすぎないこと。給水所に立ち寄ることだって必要なのだ。ちょっと苦しいけどね。



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