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NEW GUNてどんな感じ?〜vol.12〜

退院2日目。

クリニックに10:30と先生と約束していたので、初の電車。

結構早めに出て時間をかけて向かう。しかし、歩いている以上に電車は怖い。座れても、隣の人の動きが怖い。人って他人とこんなに接触しながら生きているのね…。身体も疲れるが神経も疲れる。

クリニックについた頃にはヘトヘト。その日はとても混んでいて時間前に行ったけれど、なかなか呼ばれない。

10:30は予約時間ではなくて、担当の女の先生の診察開始時間だったようなのだが、だんだん座っているのも辛くなって来た。

「すいません。今日10:30にお約束しているんですが、もう少し時間はかかりますか?…退院したてで、ちょっと座っているのも辛くなってきて…」

順番を早めていただいたようで、すぐに診察室に通してもらえた。

そして、その辛さはドレーンを通していた傷口にまだ排出するべき体液がパンパンにつまっていたのが原因で

先生「これは辛いね」

と塞がりかけている穴をもう一度あけてぎゅーっと液体を出し、穴に注射針で水をかけて洗浄し、ガーゼを詰め、ガーゼを貼り、さらに洋服につかないようにペットシートを吸水シートの様に貼ってくれた。

(ペットシート最強だな…)

その後、抗生物質を点滴。熱が引くまで毎日通って傷口の処理と点滴をしてもらうことになった。身体の中の液体を抜いてもらうだけで、ものすごい身体が楽になった。ちなみに入院中は久我山病院でも勤務されている院長先生が担当だったので、担当医である女の先生とは手術以来お会いしてなかったが、専門医と言う経験値ってすごいんだな、と思った。


さて、翌日は友人の結婚パーティー。ここで調子が良くなって本当に良かった。元気だったら、ケーキを作ってプレゼントしたかったのだが、そうもいかないので、スポンジは東中野のcafe iwabuchiさんに頼んだ。帰り道に業務用のホイップクリームを手に入れ、家に帰る。

さて、私は髪のセットも出来ないじゃん!と云うことで、もしかしたら抗ガン剤で髪も抜けるかもしれないし、一旦家で休んでから夜は新宿okadayaにウィッグを買いに行った。すごく親身になってくださる医療用ウィッグにも詳しい方がいらして大変助かった。

「別に医療用ウィッグじゃなくて大丈夫ですよ。人毛じゃなくても今時安くていいのいっぱいありますから」

「実際脱毛された場合は付属のネットではすべってしまうので、医療用のネットが必要です。でもすごく蒸れるので、ガーゼの帽子をかぶると楽みたいですよ」

というわけで、せっかくだから遊ぼうと金髪をひとつ。仕事にもいけるユルフワボブのをひとつ買った。

余談だが、行きの電車でモロッコ人の人に声をかけられた。私の手荒れがあまりにひどいので…だった。彼の息子がやはり皮膚炎で苦しんだのだが、良質のアルガンオイルで治癒したとのことだった。彼自身オーガニックのアルガンオイルを扱う仕事をしているとのことだったが、営業だと思われないよう気を使って話してくれているのが分かった。ネットで調べてみてね、ありがとう、と別れた。

帰り道、飲み友達と偶然会う。前日FBで乳がんになって入院していたと書いたばかりだったので、彼もなんて言っていいのか分からないという顔をしていた。でも、顔を見て、声を聞いて、伝わる互いの気持ちみたいなものはすごく大事なんだと思った。文章だけだとやはりとても重いのだ。

なんかこの時期、自分を支えてくれるエネルギーみたいなものが集まっているように感じた。些細なこと全てに人の優しさを感じた。文字通り人の優しさに生かされていた。


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