NEW GUNてどんな感じ?〜vol.5〜
乳ガンというのはどんな症状が出るんだろうとネットで調べる。とにかくなんかだるくてしんどかった。これが夏バテなのか、精神的なものなのか、乳ガンのせいなのか全然分からなかった。
でも、調べてみたらしこり付近が痛くなる場合があることを除いて、特に具合悪くならないようだった。とにかく大変なのは術後だ。
私は温存手術なら3日程度入院と言われたが、日帰りのところもあると言う。
なので、職場には入院までは普通に働けるけれど、退院してからは分からないと伝えた。
しかしながら、入院までにはやることがいっぱいあった。
8/28 手術入院をする久我山病院に初めて行く。手術前検査と入院に関する説明を受けるためだ。
(大丈夫かな〜?)
と心配だった。とにかく仕事がハードで、月の前半は沢山休ませてもらえたものの、後半は8/16〜入院までの間に1日しか休みがなかった。8連勤〜休み〜8連勤という普通はないスケジュールだった。それでも肺活量、心電図、レントゲンなどなど全てクリアした。ほっとした。
入院までに準備しなければならない書類を沢山渡された。ほかに会社に提出する書類もある。生命保険の書類もある。何を書いてるんだか全然分かんないけど休憩時間にひたすら書類を書く。
家に帰ったら、1週間くらい家を空けるつもりでの片付け、左腕が不自由になっても暮らせる準備、入院準備が待っていた。
その間に仲の良い友人には出来るだけ会って話を聞いてもらった。
なんで仕事がハードかと言うと、夏休み中で休む人が多いからだった。
人も少なくて、がんばるのが当たり前の状況の中で
「今日残業出来る?」
と他の人ががんばれば終わる仕事量の時に言われた。
「この後の予定は無いですよ。でも、私2連続8連勤なんですけど残業した方がいいですか?」
別にやりたくなければ予定があると言えば良かったのだ。残業はせずに済んだ。
(なんで私ばっかり!)とも思っていたし、責任感が無い人に怒りも感じていた。でも、今は自分が変わるべきなのだと思っている。
ごはんを食べにおいで、と誘ってくれた友達家族の奥さんの方は看護士さんで、ちょっとその時の私にとっては難しい入院時に関するアドバイスを貰った。
「あのね、ナースコールを押さない、迷惑をかけない患者さんは私たちにとって確かに助かるの。でもね、結局うるさい人のほうを先にして、何も言わない人をどうしても後回しにしてしまう。だからね…上手く言えないんだけど、迷惑かけちゃいけないなんて思わなくていいから」
翌日は自分が把握していたシフトより1時間長い予定を言われて驚いた。自分の見間違えかと思って再確認しなかったのだが、私の認識があっていた。
まるで私の中にタイマーでも仕掛けていたかのように予定のアップ時間辺りからめまいが止まらなくなり、少し作業しては立ちくらみで座り込んでしまった。何回かそれが続き、とうとう足下が崩れ後ろに倒れてしまった。学生アルバイトの男の子が水を持って来てくれた。数ヶ月前に自分も体調を崩して入院していた別のアルバイトの男の子が休憩室に連れて行ってくれた。
「身体壊したことない人には分からないんですよ」
分かってもらえることが本当にありがたかった。
その日はいっさい家のことをやらず、朝まで眠った。
翌日は同級生数人とビアガーデンに行く約束があった。たくさん寝たので体調はまあまあ。悩んだけれど、気分転換もしたかったので行くことにした。
自分の病気の話もした。
「もしさー、お金足りなくてあきらめなくちゃいけない治療とか出て来たらあきらめないで言ってね!自分だけじゃ出せなくてもみんなに声かければあつめられるじゃん!そんなんで死なないでね!」
死なないよー!とか言いながら、仲間の存在が本当にありがたかった。泣きたくなるほど嬉しかった。
とにかく心細かった。友達の好意は私の生きるパワーとしてありがたく頂こう!怖い病気になって初めてそういう人に頼る自分を許せた気がする。
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