6月27日(火)『ぼくは絶対にやめないぞ』

高校生の頃ものすごく癪に障る奴らがいた。

後も先にもこんなに癪な奴らはこいつらが最初で最後だろうというレベルで癪。叶うことなら木刀で突いてやりたかったくらい。

当時奴らみたいに、はしゃぎきれなかった、ただの嫉妬からくるものかもしれないが存在自体が癪で視界に入れるもの嫌なくらいだった。幸いクラスが違ったのがせめてもの救いだった。

高校卒業して大学生になり、月日が流れたある日。そいつらがYouTubeを始めるという情報が流れてきた。YouTuberになりたかったのか、何をしたかったのかは全然わからなかったけど、そんな情報だけを目にした。

その頃ぼくは既に芸人になることを決めていて、系統は違えど数多いる同業者のなかで頭角を現すのはとても難しく、食っていけるのもほんの一握りでその中に自分たちが割り込んでいけるのか大変な世界という共通したものがあるため、めちゃんこ嫌いではあったけど、厳しい世界で生きていくこと決めた覚悟とこれからの生き様に敬意を表しつつ、心の底から応援していた。

登録者が一万人行くまで動画投稿を始めないという、初手からえげつない企画をやってて驚嘆したが、一万人突破した時はぼくも大いに喜んだ。チャンネル登録や動画の視聴などは、どうしても性が許してくれなかったけど、サムネや各SNSは頻繁にチェックして、応援だけはしていた。

いつかぼくが売れまくって、高校の同期ということでコラボ動画のオファーが来た時に、満面の笑みで断ってやろうとまで考えていた。それがきっかけで向こうがプロレスを始めたとしても全部いなしてやろうかとも、奴らがワーワー喚いているのを上から高らかに笑ってやろうとも考えていた。

そんな中、ぼくはお笑いや学業が活発化したり、映画や漫画、ドラクエに没頭していたぼくはいつしかその存在を忘れてしまっていた。徐々に飽きがやってきたとかではなく、シンプルに他のことが面白過ぎて普通に頭の中から抜けていた。

そして最近になってふと思い出した。頭の中から抜けていたわけではなく、面白過ぎるものたちの陰に隠れてしまっていただけだった。

そして以前のように現状がどんな感じなのか気になったのでYouTubeで調べてみた。

いくら探しても出てこなかった。

改名でもしたんだろうかと、インスタやツイッターで探してみても全くかすりもしなかった。

全てを消してた。

やめてた。

ぼくはがっかりしたし、悲しかったし、悔しかったし、腹が立った。

何なんだお前らは。

お前らが成功するか失敗するかなんてどうでもよかったが、ぼくがお前らの覚悟や夢を敬い応援していたものはどこに行ったんだ。ぼくだけじゃなくて少なくともSNSをフォローしてくれていた高校の同級生たちの期待と応援はどこに行った。

芸人さんでもなかなか芽が出ずに辞めてしまう人もいる。大勢いる。めちゃくちゃいる。果てしないくらいいる。

ただそんな人たちは、自分の可能性を最後まで追い求めてやめていったわけで、それ相応の歴がある。下積みを長いこと続けて、まだかまだかと、来年こそは、絶対売れる、結果は出る、俺は大丈夫なんだと信じて、日々身を削って生きている。それでも家族のためや、賞レースに出れなくなる芸歴になることで、夢をあきらめる選択をする。もしかしたらあと1年後にはチャンスをつかんでいたのかもしれないなど考えだしたらきりがないし、"絶対に売れない方法はやめること"と本に書いてあった。その可能性をなくしてしまうことは、夢をあきらめることは、中途半端なものや生半可なものではなくて、相当な覚悟と重圧のもとの選択。

それがたった1年や2年でやめてしまうってなんなんだ。

たかが数年結果が出なかっただけでやめてしまうとはなんなんだ。

その業界、世界をなめていたのか。

お前らの覚悟というものは所詮その程度だったのか。

本当に無念。

たとえどれだけ当時嫌いな存在であっても、似た夢を追う存在として励みの種になるはずだったのに。奴らの頑張りがぼくの頑張りに繋がると思っていたのに。奴らが今どこで何をやっているのかはわからないが、もしまた新しく挑戦することがあったら、その時は死ぬほど頑張ってほしい。ぼくもその頑張りを見て死ぬほど頑張りたいから。

こいつらとまた違う人で、これまた同じような業界で頑張っている同級生がいる。その目標位置は詳しくわからないけど出演しているミュージカルが全国で公演があったりと頑張っている。ぼくも実際見に行った。主役という位置づけではなかったものの、主要キャラとして名前をもらっていたし、数少ない見せ場でしっかり輝いていた。

同じ年代の人が頑張ってくると燃える。

それが同級生となると余計に燃え盛る。

ぼくは絶対にやめないぞ。何があろうとも絶対に。10年たっても、20年たっても舞台に立ち続けてやる。それで結果がでなくてもTHE SECONDなどがある限りいつでも可能性を秘めている。

絶対に売れない方法はやめること。

絶対に売れるためにぼくはやめない。


若林さんの本が面白過ぎるそんなある日。

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