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簡単にわかる!H-6爆撃機シリーズ

識別の前に…

はい、実はタイトル書いてる本人も未だにパッと区別つきません。 
 この記事では、日本語はもとより英語や中国語でもなかなか探しづらいH-6の見分け方について解説したいと思います。記事内で間違い等ありましたら、ぜひご教授ください。

 というわけでまずH-6とはなんぞや、というところから。もっともこの記事を見つけた方はご存知かとおもいますので簡単に。

 1950年に締結された『中ソ友好同盟相互援助条約』により中国はソ連から様々な兵器を購入しました。その中のTu-16がのちのH-6となります。
 1957年に製造権を獲得し、1959年には完成機2機とノックダウン用部品1機分を受領、哈爾浜飛機製造公司にてノックダウン生産(部品単位で輸入し、組立てを行う生産方式)を開始。1959年9月には初飛行を行いました。
 がしかし、その後の文化大革命によって国産機の製造がしばし止まっていました。1966年5月14日に行われた中国初の核爆弾投下実験に参加した機体もノックダウン生産によって製造された機体でした。
 国産機体が中国の空を飛んだのは製造権獲得から11年。以降多くの機体・派生型が製造され、現在も中国周辺国へ睨みを効かせ、我が国の脅威として存在しています。
 

 H-6は空軍及び海軍航空隊において運用されており、現在12種類が確認されています。そのうちの2機種は給油機。
・人民解放軍空軍
  H-6H、H-6M、H-6K、H-6KG、H-6N、H-6U
・人民解放軍海軍航空隊
   H-6D、H-6G、H-6L、H-6J、H-6DU
この中でも、よく日本周辺に飛来してくる機種はH-6K、H-6Gの2機種。以下、各派生型の紹介となります。

各機体の見分け方

H-6C (H-6F?)

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原型に近いと考えられるH-6。
写真は2019年に撮影された哈爾濱航空学校所属機で、各銃座が残り機首下のレーダーが他の機体に比べ小型。またパイロンは装備しておらず、爆弾倉に搭載できる武器のみ使用可能と考えられる。
出典『China military』

H-6H

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1999年から空軍で運用されている機体(写真は中央戦区所属の機体)。
海軍航空隊のH-6Dから改修。固定兵装は尾部機関砲のみ。側方観測窓と機体下部にデータリンクアンテナが装備されている。パイロンは2ヶ所。
出典『China military』

H-6M

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H-6Hから改修された機体で空軍で運用。
固定兵装は尾部機関砲のみ。主翼外側にECMポッド用パイロン、機体下部に誘導ポッド用パイロンを装備。自己防御装置として機首及び尾部に「RKG963A」ミサイル警報装置、垂直尾翼にレーダー警報受信機を装備。チャフ/フレアディスペンサの射出口は8ヶ所。
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H-6M ECMポッド

H-6G

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従来のH-6Dの代替として2004年から海軍航空隊で運用が開始された機体。
自己防御システムとして機首及び尾部に「RKG963A」ミサイル警報装置、垂直尾翼にレーダー警報受信機、機首両舷にECMアンテナを装備。主翼下のパイロンは左右合わせて4ヶ所。パイロン前部側が垂直になっており、YJ-12を搭載する場合はレールランチャを装着。
チャフ/フレアディスペンサは未装備。

H-6L

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2009年から海軍航空隊で運用されている機体。
G型の発展型と考えられる。

H-6K

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従来のH-6と異なり、機首の航法士用窓はレドーム化され下部にはE/Oターレット、機体背部にはSATCOMレドーム、後部側下部にはデータリンクポッド用パイロンとECMアンテナを装備。機首及び尾部に「RKG963A」ミサイル警報装置、垂直尾翼にレーダー警報受信機を装備。尾部機銃手用窓は完全閉鎖されている。
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H-6K E/Oターレット

H-6J

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 海軍航空隊で2018年から配備開始されたH-6Kの能力改修型。
ミサイル搭載能力が強化され、翼下パイロンは8ヶ所。そのうち外側パイロンはECMポッド懸架用になっている。

H-6KG

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 空軍で配備が開始されたH-6Kの能力改修型。
K型異なり、E/Oターレットがやや右舷側にオフセットされている。

H-6N

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従来型と大きく変わり、空中発射型対艦弾道ミサイルの運用を目的とした機体。
空中給油プローブが装備され、機体下部に対艦弾道ミサイル懸架用の半埋め込み爆弾倉、小型になったECMアンテナ(データリンクアンテナ?)が2ヶ所、新型のミサイル警報装置が装備されている。

給油機タイプ

H-6DU

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 H-6Dから改修されているが機首航法士窓や各部はそのまま、両翼に「RDC-1」空中給油ポッドを装備している。

H-6U

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 海軍航空隊で配備されている空中給油型。
H-6Dから改修されており、機首の航法士用窓の一部が閉鎖されている。爆弾倉が給油タンクとなり、両翼に「RDC-1」空中給油ポッドを装備。


H-6Kシリーズ機首付近之図

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H-6機種確認フローチャート

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 以上となります。一部不完全な箇所や誤りがあると思いますが随時確認が取れ次第、更新していきたいと思います。冒頭でも書いた通り、気づいた点などあればぜひご意見ください。


参考資料


China Military』
Chinese Military Aviation
防衛省統合幕僚監部 報道発表資料
『世界の傑作機 No.126 ツポレフTu-16“バジャー”』(文林堂)
『FLASHPOINT CHINA Chinese air power and regional security』(HARPIA PUBLISHING)
中国国内ニュースサイト


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